第19章: 偽りの英雄、本物の戦争 (3)
何かがうまくいくということは、何かがもっと悪くなるということだ……
成功は悲劇の前触れにすぎない。
そして今回、その悲劇はもうすぐそこにある。
漁師ギルドは白手袋のエリート犯罪集団だった。通常の役割を担うリーダーはいない。序列は曖昧で、指導者となるのは作戦遂行時だけだった。
彼らは中途半端なことを決して受け入れない。リスクが高すぎるプランや利益が少ないものは排除し、暗殺には常に正当性が求められる。今回のように、アリザル・レンデイラが首謀者で、エデュアルド・フォン・マリエンを殺せば市場で大きな利益が見込める場合などは特にそうだ。
ある漁師が対岸にある薬局を見つめていた。店はひっそりと在庫が片付けられていた。彼は手のひらにエネルギーの球を集め、それを握りしめた。すると薬局が破裂するように爆発した。爆発は制御されており、実害よりも「危険音」を響かせる演出だった。その漁師は何事もなかったかのように歩き去り、自分の役目――注意を引くこと――を果たした。
* * *
爆発音が轟いた。ミルリは耳をピクピクと動かし、音を捕らえた。彼女は壁を軽々とよじ登り、跳躍した。着地は静かだった。彼女は自然と音を消す術を身につけていた。
かすかに金属音が響き、何かが遠くに落ちた。「何も残すな、持ち出せないものは全部ぶち壊せ!」と誰かが叫ぶ。漁師たちは本気でその任務に取り組んでいる。ミルリもそう思った。
エデュアルドを排除することが最優先だった。そしてミルリにとっても、彼を早く仕留めることが使命だった。別にこの任務が嫌いなわけではない。もしアリザルが虐殺を命じたなら、彼女は迷わずそれを成し遂げただろう。命令は絶対だ。彼女の忠誠と有用性の証明だった。
味方も敵も無視し、ミルリは屋敷内を進んだ。作戦の一つは、部屋の配置を把握することだった。
彼女は簡単にエデュアルドを見つけた。追い詰められた貴族といえば、オフィスにいるはずだ。
二人は瞳を交わした。エデュアルドの目に映ったのは、冷酷さと無関心だけだった…。
「お、オレがお金を…!」とエデュアルドは口ごもりながらひざまずき、両手を上げて身を守ろうとした。
ミルリは一言も発せず、命令を最優先し、短剣を深く突き刺し、彼の命を刈り取った。
――深い会話もなく……
――儀式もなく……
――理想を叫ぶことすらなく……
ただ殺人、ただ命令。
彼女は証拠として首飾りをはぎ取った。アリザルは彼女の言葉を信じていたが、この暗殺は彼の築き上げた企業帝国への挑戦と、それに対する証になるはずだった。
彼女はそれをポケットにしまい、その場を去った。次の目的は、重要な同盟者との会合だった。
最初に出くわしたのはムーン。彼女に近づき、エデュアルドの首飾りを見せると、ムーンは無言で肯いた。「…行こう」とだけ言い、立ち去った。
辺りには数え切れない死体が散乱していた。全てが要となる部位に正確に切り込まれており、ミルリはムーンが医療、特に外科に関わっていることを思い出した。これを見れば、彼女が仕事にどれほど真剣か、よくわかる。
ミルリはわずかな戦慄とともに彼女の後を追い、関わりすぎないと心に誓った。
やがて全員が無事に集まった。
成功は、アリザルには気持ち良いものではなかった。まさかここまで完璧に事が運ぶとは――と思っていた矢先、入口で敵の援軍が到着した。どうやら一人だけが脱出し、助けを呼んだらしい。ムーリンは漁師たちと共に援護に残された。
この予想外の事態は、アリザルをいくらか落ち着かせたが、完全には安心できない。彼らは馬車に乗り込み、現場を去った。
* * *
もしイーディスの情報が正しければ、彼らはこの道を通るはずだった。「かわいそうな子だな」とアンドレイはつぶやいたが、その声に哀れみはなかった。イーディスは普通の少女で、友達や恋人が欲しかっただけなのに、望まぬトラブルに巻き込まれてしまった。
しかしアンドレイにとってそれは重要ではなかった…。
馬車の音が聞こえると同時に、彼はエネルギーを集め始めた。
手の中に宇宙エネルギーが集まり、青く輝く球が現れ、それは火の球になる。
馬車が見えた瞬間、彼はそれを投げつけた。イーディスが運転していた馬車の中から、彼女の恐怖に歪む顔が見えた。
火の球は車輪に直撃し、爆発が起き、馬車は横転した。
アンドレイはゆっくりと彼女の元へ歩み寄り、イーディスの髪を掴んで引き寄せた。破壊された馬車から皆が逃げ出すのを待ってから、彼は周囲を見渡した。
視線は特にムーンに向けられていた。ムーンは過呼吸になりそうだったが、それでも理性で制御しているように見えた。ムーンは彼へ憎悪を込めて見つめたが、アンドレイはそれを見て微笑んだ。
「やあ、お姉ちゃん。味方の中に裏切り者がいたって知ってたかい?」アンドレイはあくまで平然と言った。
そしてイーディスを地面に突き落とし、剣を突きつけた。
「もう…」彼は淡々と言い、「…どういたしまして」と続けながら、視線はムーンに注がれていた。
ムーンは反応せず、武器を握ったが動けなかった。負傷した脚が動きを止めていた。
「おまえだ!」とエミルが叫んだが、立つのがやっとで、また地面に崩れ落ちた。
「どうした?俺、技術的にはおまえらの命を救ったんだがな!」アンドレイは自信満々に言い、その後アリザルの方を向いた。
「初めましてだな…」とアンドレイは語りかけた。重傷のアリザルと目線を合わせるように身をかがめた。
アリザルの口元には血がにじんでおり、胴には馬車の破片が突き刺さっていた。それでも彼はアンドレイにナイフを突きつけようとした。しかしアンドレイは簡単にそれをはじき、ナイフを奪った。
「ありがとうよ…」アンドレイは言った。「…返してやるよ」と続けた後、ナイフを振るった。刃がアリザルに向かってゆっくりと落ちていった。
アンドレイがついに姿を現した。仲間たちは戦うことができない。
戦略は崩れ、静けさは霧散した。
アリザルは、自分の掌の中に収められないものがあると学ばなければならない……。




