第17章: 偽りの英雄、本物の戦争 (1)
最後の一撃が近づいている。
アリザルの最後の陰謀が、古き仲間たちと共に形を成し始める。
数ヶ月が過ぎるのを待ち、信頼を築き、成果を見せ、ただ利用しようとする者たちを見極めて排除する必要があった。
ムーン・フォン・リアルドンは理想を掲げすぎてしまい、アリザル・レンデイラとリリアン王女と共に、その代償を払っていた。だが、ようやく安定が訪れ、三人はひと息つくことができた。
そのため、アリザルは屋敷の中庭にあるキオスクでジュースを楽しんでいた——が、どこかから猫のような視線を感じていた。
「何もさせてくれないじゃない!」
ミルリが茂みの陰から顔を出しながら声を上げた。
「それはお前の番じゃないからだ…」アリザルはジュースをひと口飲みながら答えた。「…読み書きの練習中のくせに、会議に出たかったのか?」
「ふんっ!」
それだけ返して、ミルリは黙り込んだ。
アリザルはグラスを見た。まだ半分ほど残っている。彼は再びミルリを見た。彼女はまだ茂みからこちらを覗いていた。
アリザルには分かっていた。彼女が「役に立ちたい」と思っている理由を。ミルリの精神は、基本的にその欲求によって構築されていた。だからこそ、彼は彼女に対して甘くなってしまうのかもしれない…。
「よし、仕事を与えよう…」
アリザルが言うと、ミルリは嬉しそうに茂みから出て立ち上がった。
「…エデュアルド・フォン・マリエンの屋敷の様子を見てこい。あくまで様子見だ、余計なことはするな。分かったか?」
ミルリは元気よく頷き、尻尾を左右に振りながらその場を駆け出した。アリザルは残りのジュースを楽しんだ。
それからしばらくして、漁師のような格好をした男がキオスクに近づいてきた。
「久しぶりだな、アリザル。まだ俺たちのことを忘れてなかったのは嬉しいぜ」
男はそう言って、当然のようにアリザルの前に腰を下ろした。
「最近は屋敷に人が増えて忙しかったんだ。そのせいで伝書鳩を送ったわけだが、ちょうどいい機会があってな。面白い仕事があるんだ」
アリザルは落ち着いた様子で応じた。
「面白い、ね。お前がそう言うと、言葉の重みが変わるな。"漁師たち"もきっと話を聞きたがるだろう。さあ、どんな話だ?」
男は興味深そうにアリザルを見つめ、商談のように両手を組んだ。
「市場を操作するってのはどうだ?」
アリザルが問いかけた。
男は驚いたように鼻で笑った。
「市場を? てっきりまたどこかの屋敷に突入するのかと…」
「技術的にはそうだな。殺す相手がいる。ただ、お前たちは信頼できる仲間だから教えておく。エデュアルド・フォン・マリエンの会社の株を売っておけ。今回の標的だ」
アリザルはそう言って、ジュースを飲み干した。
「なるほど、だが暗殺には金がかかる。表向きの理由は?」
男が尋ねた。
「私怨だ。屋敷に突入し、略奪して破壊する。そして、その場で奴を殺す」
アリザルは口元にわずかな笑みを浮かべた。
「かなり派手だな。すぐに衛兵が動くだろう…お前も分かってるよな?」
「もちろんだ。薬局を爆破する。狙いは同時攻撃による…警告だ」
アリザルは淡々と語った。
男は思わず笑い声を上げ、しばらくしてから言った。
「いいだろう。"漁師たち"にとっても光栄な仕事になりそうだ…」
“漁師たち”。それは選ばれた犯罪者たちによる精鋭の集団である。
新たな集団が姿を現す。
“漁師たち”が盤面に加わる。
エデュアルドの命運は、もう指で数えられるほどだ。