意外な結末
本山が、関本に指示されて着いたのは、本山の自宅から離れたラブホ街だった。
関本の姿は本山以外には見えない、あくまでコアチップを持っている本山にしか見えないそうだ、ちなみに横に関本ついてきているが、特に目的を話そうとはしなかった。
童貞である本山にとってここは場違いな感じかして落ち着かない、すると「正面を見ろ」関本が言う
。
すぐさま本山が正面を見ると、折田が見知らぬ女性とラブホ街を歩いていた。
すると関本が「今だスマホを出せ、そしてラブホ入っていくのをを2人がちゃんと写るように取れ」
言われるままに本山は手慣れた様子で二人がラブホに入って行くのをちゃんと押さえた。
高揚感が冷めやらない本山は頭の整理ができ無かったが、次第に落ち着いてきて、冷静さを取り戻しできた。
すると折田が西田という彼女がいながら平気で他の女とラブホテルに行くことに頭に来た、それは、折田がモテるという事への嫉妬と西田が、可哀想だという気持ちが本山の頭の中で、入り乱れていた。
一呼吸置いた後、本山は関本に尋ねた「何で、ここに折田が来るのを分かってたんだ」それは本当に関本聞きたかったからと、気持ちを整理させるために言った。
関本は「前に検索エンジンのように、人の情報をお前から取り出すと言っただろ、お前の脳に刻み込まれている人間の情報、つまり、その人間にフォーカスしてその人間が今までどういう行動を取ってきたのかを俺は見る事が出来る、この曜日に毎週折田は同じ女とホテルに入って事をしている、なので、この曜日にまた来ると思って、お前を連れて来た」
「この写真をどうするんた」
「決まってるだろ見せるんだ」
「折田にだよね」少し嫌な予感がして弱々しく本山は聞く。
「2人に見せろ」
本山の予感は当たった、できれば、西田に見せるという事はしたくない、言葉も交わした事ないし、さらに彼氏の浮気現場を暴露するなんてできない。
関本は狼狽している本山を見ると「お前何か勘違いしていないか、誰が、1人ずつ見せろと言った、2人でいる所で同時にみせるんだよ」
悪い予感はさらに斜め上をいっていた、せめてもと思い本山は動揺しながら「でも、2人見せる俺が無事でいられる手段があるんだよな」
「何、寝言言ってるんだ、ない」
さらに狼狽する本山に関本は続ける。
「お前、何のリスクも背負わず、自分の手も汚さず、マウントが取れると思うのか、人の心を支配してこそマウントだろ、支配する様なマウントを取るにはインパクトが必要なんだよ、そしてそれが、折田の心にマウント取れる事ができる、現時点でお前の唯一の方法なんだよ」
本山は折田にマウントを取られている屈辱の日々を思い返していた、関本と出会って、もしかしたら折田のマウントから解放されるかもと思って少し薄れたのだか、マウント取られている状況は現在進行形である。
この地獄から逃れ、尚且つ折田に復讐、いや、マウントを取れるなら本山は思うと「じゃあどうやればいい」
関本はニヤリと笑い「じゃあ1番可能性のある方法を教えてやるよ」と言った。
後日の放課後、関本の指示によって本山が赴いたのは、通ってる学校の最寄り駅の人気のない道だった。
「ここで待ち構えればばいいのか」本山が聞くと、関本は「俺が調べた所、必ずと言っていいほどこの道を2人は、下校中通る」
「この浮気現場の写真を見せればいいのか」
「そうだ、見せる角度までちゃんと指示してやるよ」
「本当に効果があるんだろうな」
「さあな、未来の事は誰も分からない」
「分からないって」少し本山に動揺の色が走る。
「分からないが、可能性の高い事を指示する事はできる、未来は誰にも分からないが、少しでも可能性の高いことを手数を打って行えば、成功する確率は上がるんだよ」
「じゃあ何%ぐらいなんだよ」
「そりゃあ、成功したら100%になる」
ケムに巻かような関本の物言いに「じゃあ、お前は俺が失敗したらどうするんだよ」
「ゲラゲラ笑ってやるよ、俺は人間より少し賢いからな」
いつもならブチ切れるはずの本山だったが「それもそうだな」と言葉に出していた、それは関本のペースにハマって、徐々にテンションが上がって、折田と西田の仲をメチャクチャにしてやるという気持ちがどんどん強くなって来たからだった、
思ってるうちに、2人が遠くから歩いてくるのが本山に見えた、やってやる、意を決した本山は自分の目がバギバキに充血してるのを感じた、凶悪犯罪を起こそうとする連中はこんな感じになるのか、今まさに決行しようとした本山はどこかで自分を冷静に見つめてる自分がいる事に不思議に思った。
2人が近づいてくると急に、2人の死角から、急に本山は現れた、2人が、驚くような様子を見せていると、本山はおもむろにスマホを2人に向けた。
それを見た折田に動揺の色が走る、あの時の狼狽した顔を見れる、こちら側が勝利した言う優越感、それをまた味わえると思った矢先、驚きから怯えたような表情に西田が変わっていたのに本山は気付いた。
目的を遂行するため忘れていたが自分は西田に恋心を抱いていたのであった。
この動画を見せれば西田も傷つく。
その時、話はは冒頭に戻ってマウントを取る絶好のチャンスで踏ん切りが付かない感情に本山は苛まれた。
その感情が新たに関本の言う通りにマウントをとって何が自分に残るのか、その時だけで、後に何も残さないだろう、大体関本の言うことに今まで自分は踊らされていただけだ、そんな事で本当の意味で折田にマウントを取れるのかや、ただの本当に人を妬んで、その妬みの力を活かす事もなくただ人の足を引っ張るだけの奴じゃないか。
その思った本山はおもむろに持ってるスマホを放り投げた、本山のマウントを取る相手は折田ではなく、1秒前の自分自身だった。
本山はまだ、驚きの覚めやらない顔をしている西田に顔を向けて、意を決して話し始めた「折田と付き合っている所悪いが、俺と付き合って欲しい、必ず、折田よりもっと楽しく付き合えると思う」
言うや否や西田は「気持ち悪い」と大声で発して何か狼狽える様に「早く逃げよ」と折田を促して2人で一瞬でもこの場にいたくない様に、逃げるように去っていった。
本山は、折田が西田に引っ張られるようにこの場から離れて行く時、何が情報を処理しきれていない表情をしてたのを見た。
しかし、そんな事よりも振られるとは分かっていたが、気持ち悪いと言われた事が、立ちすくむ本山の頭を反芻していた。
自宅の自分の部屋で、本山は激しく落ち込んでいた、ちなみに投げ捨てたスマホは回収したが、その行為が、何か自分をより惨め感じさせた。
「折田は、確実に動揺していた、思考までは俺は読めないが、明らかにお前にラブホ現場を取られた事が頭にあったと思うぜ」関本は何か嬉しそうに言う。
「何、嬉しそうに言ってるんだよ、他人事だと思いやがって」
「じゃあ俺の言う通りやればよかっただろ」
「...」本山は何も言い返せない。
「でも、今悩んで落ち込んでいる、お前は、俺と初めて会った時よりずっと、いい顔してるぜ」
「そんな事ないだろ、いい加減な事言うな、ああ明日から学校行けないよ、これから俺はマウントを色んな奴に取られていくんだ」
聞くと関本は微かに笑みを浮かべながらも、真剣な面向きで「人がマウントから解放される俺なりの最適解があるぜ、それは自分の意思で、勇気を持って一歩を踏み出す事だ」
「でもお前はこれからの人生、俺は強者にマウント取られていく人生だと言ったじゃないか」
「それはさっきまでの話だ、人は考え方など変わっていくし、能力においても往々にして、自分の持ってる潜在能力を大きく上回る能力を手に入れる事もある、仕事などで今後もマウント取る人生を送るにしてもにおいてもだ」
「でも俺はそんな事できそうもない」
「いや俺はそうは思わないぜ、明らかにお前はさっきより、能力のポテンシャルは上がっているこれからどう言う能力の伸びを見せるのか、俺も計測は出来ない、何故ならお前は俺の意のままにならず、自分で考えて勇気を振り絞って一歩お踏みだしたからだ、お前自身に自覚がなくてもその踏み出した勇気は頭に残る、それは人生の荒波を超えて行くのにきっと役に立つんじゃないか」
そう言うと「じゃあ俺らここまでだ」と言って関本は消えた。
唐突な事で呆然とする本山は、少し落ち着きを取り戻した後、関本のチップを動かしたがうんともすんとも言わない。
関本が何者だったかと言う事よりもまた、感傷よりも関本に今尚依存している自分に本山は気付いた、明日学校に影山のアドバイスなし行き、折田達と向気合といけない事を思うと憂鬱になった。
翌日学校に行くと、1時間目が始まる前に、折田達がくる前に、教室に着いた本山は、激しい緊張の中にいた、早くこの時間が去っていって欲しいそんな無理な事を思っていると、折田が教室に現れるのを見ると、直ぐに、本山に近づいて来た。
緊張がmax状態の本山に「ちょっと、俺と一緒に来てくれないか」本山はなにか危害を加えられると身構えた。
それを見て折田は「大丈夫だお前に何もしない、から、人のいない所で、話しをしよう俺に着いて来てくれ」言われると警戒しながらも、そのまま、折田の後をついて人気のない空き教室に入った。
緊張してる本山に、スッと折田は「西田に振られたよ」と言った。
何が起こったかよく飲み込めない本山はそう言えば、緊張で、よく分からなかったが折田に元気がないのに気づいた。
「昨日、お前があんな事をした後、俺は多分、浮気現場を押さえられたと思った、しかしそれ以上に西田が動揺してるのに気付いた、そして、何かあるのかと聞いたら、私、他に好きな人がで来たの、その人と私が一緒にいるのを本山くん私達に見せようとしたんじゃないかな、これ以上アナタに嘘つく事出来ない、別れましょう」と言われた。
言いながらさらに落ち込んで行く折田に本山は「昨日見せようと思ったのはお前の浮気現場だ、でももうそんな事どうだっていいお前の前で今、その写真のデータを消すよ」
「ちょっと貸してみな、もうお前にバラされたってどうでもいいが、消すならきちんと跡が残らないように消さないと」
折田は本山のスマホを取り、あらかじめアップしていた浮気現場の写真を消去するだけでなく、どんどん本山の前で見た事がない、まるでプロがやるような設定を次々していき、浮気現場の写真の痕跡を全て消した。
「凄いな、どうやって覚えたんだ」
「お前に昔、画像をばらされた後必至に、取られた画像を消したら、流出させない様に勉強したんだよ
、まぁそれは自分を変えていく事でどうにかなったからお前の昔のスマホにハッキングする事は無かったんだけどな」
「なぁ、専門の操作法俺にも教えくれよ」本山は自分でも意外な言葉を口にしていた。
折田は少しキョトンとした後「いいよ、じゃあ連先交換するか」
両者とも振られた傷が癒えてないが、何か不思議で暖かい空気がそこには流れていた。
本山と折田の中が雪解けムードの時、関本はというと、一度、出会った人の状況を別の場所から見る事がてきる、その2人の様子を見ながら、また新しい客が自分の入っている箱が購入されるのを待っていた。
またチップが壊れると関本に苦しみがあると言うのは真っ赤な嘘である、本山に食らわせた苦しみは影山の相手の脳に作用する特殊な技のようなものである。
何故、この大手ecサイトに影山のチップが入っている箱が売られているのか、それはこのサイトの責任者の一人に関本が頼んだからである、そしてこの箱は関本がマウントを激しく取りたがってる人達に対して微弱な電波を送っているので、それに反応した者のみがこの箱にたどり着けるようになってる。
箱もチップ自体も別に何でも良く、本山は幽霊のように何のものでも取り憑き、関本姿を見せたい相手だけに姿を見せれるようになっている。
ちなみに箱を購入は一名しかできず、購入されてる間はecサイトに表示されない、関本の匙加減一つでいつでも、購入者から離れ、ecサイトで再び販売される事がてきる。
元々関本は天才科学者だった、幼い頃から神童としてその頭脳を発揮して、若くして、世界を変える発明をしていたが、世界各国や世界中の巨大企業に莫大な研究費を投資して貰っていたが、関本の発明した、自分の実体を幽霊の様に、物に取り憑かせるという技術が、危険視され、命を狙わられる存在になっていた、その為影山は、自分が死んだ後も自分の実体を幽霊の様に残すことに成功させた。
その後、ある国の諜報機関によって関本は消されてしまったが、実体は残った、ちなみに関本が販売するよう頼んだ大手のecサイトの責任者は関本の研究に研究費の仕手先として、担当していた事で交流があった人物である.ちなみに、責任者以外そのecサイトの人間でもその事は知らない。
関本は生前、国や企業が、見栄や欲望などのマウントを取ろうとする事によって自分の頭脳を狙ってするのに、厭世的な気持ちになっていた、何か自分自身が偉そうに人にマウントを取る事に成功しようが失敗しようがどうでもいいから、人を操ってみたいという気持ちがあったので、この方法を思いついたのであった。
またマスコミやsnsで未来予測するやつらに対して本山に発言したのは、生前そいつらを関本が嫌いだったからである。
ちなみに、さらに関本の頭脳に常に進化していくaiをこれも形がないが、搭載した。
実際、本山が初めての人物だったがやってみると面白い、人のマウントを取ろうとすることが、関本の計算も超えていくのを見るのは面白かった。
これはやめられないな、プレッシャーから解放されて新しい生きがいの様な物を見つけたと関本は思った。