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hunting ~メアドゲット作戦~

~前回のあらすじ~

東西南北の高校が揃ったら、そこには4人の聖者がいました。一人は鬼の面を被った戦争バカ。一人はピンクの衣を纏った変態。一人は赤い衣を纏ったエセ極道。一人はビジネススーツを纏ったムチの使い手。朱雀は食べられてしまう所でした。


~予告~

とあるコンビが復活。

オリエンテーションの一日目の今日は半日しかない。予定としては、一周数時間も掛かるハイキングコースを回って終わり。どうやら歩いている間に他の高校と親睦を深めて欲しいといった意味があるらしいけど、たまった物じゃない。更なる亀裂が深まります。でも、やるっきゃないですか…。


「これより作戦を実行する。作戦内容はハイキングだ!日没までに帰って来い。さもないと処罰だ!それと、注意点を言っておこう。熊が出る。」

「ソレではみなさぁ~ん、レディゴ~。」

スパンと破裂音が鳴った。体育祭とかの空砲…と思ったら違った。


西花のあの先生が鞭で地面を叩いた音だった。本人はキリッとして本を読んでいる。いやいや、ちょっと待ってよ、もしかして処罰ってソレ使うの!?西花も先生もギャップを狙っちゃってます?ってか熊が出るって…、安全管理はどうなってるの?先生たちは行かないんですか?保護するべき立場でしょ!ライフルとか鞭とか武器持ってるのに!


「よぉし!お前ら、アタシについて来な!」

ヤクミン先生が一人で突っ走ってった。あの人熊の餌だ…。


「適当に出発しろ。」

「因みに最後の一人は私が食べて、あ・げ・る。男の子が好みねぇ~。特に、ジュルリ…」

こっち見ないで~!僕は逃げた。って言うか、男子全員逃げた。東谷の生徒犠牲になってよ!担任でしょ!?



スタート地点が見えなくなった所で、嫌だけどメアドゲットを開始する。渚たちは最後にして…。あ、遥がいた。北川高校の女子で黒髪は遥だけだろうし…。数人の女子と一緒にいた。早速話しかける。


「やぁ、遥。」

「あ、慶太。また会ったね。宇津木は一緒じゃないのかい?」

「そんな所。」

「頭ぁ、誰っすか?」

「あぁ、アタシの中学時代の相棒さ、前にも話しただろ?」

「え~!?この女顔があの神速っすか?もっとイカツイ奴かと思ってたっす!」

「そう言うなよ、慶太もこれで苦労してんのさ。慶太、暇なら一緒に歩くかい?」

「それもいいんだけどね、本当の所言うと遥のメアドが欲しいんだ。携帯買ったから。」

「お、そうかい。そうだね、あの時は携帯なんて必要ないくらい近い距離にいたからねぇ。」

「ま、その事は置いといてさ。メアド交換しない?」

「もちオッケーさ。」

その後、頭の昔の相棒ならと、遥と一緒にいた女子のメアドもゲットした。一気に5人分。いい滑り出しかな。なんとなく西花の人たちは難しそうだから、南陽の女子と…、使いたくないけど、“神速”の名前を使って北川から貰うか…。



―所変わって青龍翔太

「やぁ、こんにちわ。」

「えっ?青龍さん?」

とまぁ、翔太と言う人間は性格こそ曲がっているが、ルックスはいい。それにつられてトキメク女子だっているのだ。そこを狙って、翔太は南陽高校の生徒だけを狙う作戦に出たのだ。


「いや、折角のオリエンだし新しく交友の輪を広げたいなぁって思って。よかったら、メアド交換しない?」



―また変わって蛇慰案戸・馬鹿

「ハローハロー、女子の皆さん!兄貴をみろい!。この鍛え抜かれた肉体、無駄なまでの筋肉!筋肉フェチにはたまらないはずだぁ!」

「ふん…」

サクラとして蛇慰案戸を褒め称える不良。筋肉フェチを魅了したいらしい。それに乗ってか、マッチョポーズを取る蛇慰安戸。上半身を裸にしてポージングしている。何故か無駄に似合っているのだった。



―またまた変わってエセ外国人のライアン・リノック

「やぁ、お嬢さん達、良かったら俺とこの新緑の元でハイキングを楽しみませんか?」

「どこかに行ってください。」

別な女子の所へ向う。


「やぁ、お嬢さん達、良かったら俺とこの新緑の元でハイキングを…」

「3m以内に近付かないでください。」


「やぁ、お…」

「死んでください」


「や…」

「東谷の人間は熊に鍋にされてください」

まったくだめな様だ。


「あの…」

「あぁ、お嬢さん。…ふっ、ようやく俺の美貌に…」

「いい精神科を紹介しましょうか?」



―視点を戻して朱雀慶斗

僕はやっと13人目のメアドを聞き終わった。他の皆は20人くらい聞いてるんだろうなぁ。翔太だって黙ってたらイケメンなんだし、苦労はしないと思う。僕も頑張らなくちゃ、窓際確保のために…。


「ちょっといいかしら?」

後ろから声を掛けられた。振り返ると、セーラー服の一団。西花の人たちだね…。


「私たちのメアド、欲しいんでしょ?」

自分の携帯を見せながら話してきた。何で知ってるのさ?


「東谷の馬鹿が騒ぎまくっていたのですわ。…片付けるのに一苦労を…。あ、いえ、此方の話ですわ。それであなたの存在を聞きまして、伺ったのよ。大変ですわね、協力してあげても宜しくてよ。」

何か良く分からないけど、ラッキー。


「条件がありますわ。」

ありゃ、やっぱり?西花の人たちって高慢な所も有りそうだからなぁ…。足をお舐めなさいとか?いやいや、女王様じゃあるまいし…。


「私たちのことを、“お姉ちゃん”と呼びなさい。」

「へ?」

「だから、私たちをお姉ちゃんと呼びなさい。これが条件よ。」

凄く簡単な条件。ローリスクハイリターンってこういう事を言うのかもしれないけど、言ったら言ったで何かが壊れそうな気がする。


「どうするのよ、私たち行くわよ。」

「お、お姉ちゃん…?」

「もっと大きな声で。」

「お姉ちゃん…」

「もっとハキハキ!」

「お姉ちゃん!」

「妹が甘えた声で!」

「おねえちゃぁん…」

「わが人生に一点の悔いなし…」

グボァと血を吐いて、西花の人は倒れました。あの、メアド交換の件はどこに…。お~い、起きてくださ~い。


突然後ろからグサッと突き刺さるような視線を当てられた。ゆっくり後ろを見てみると他の西花の女子の皆さんが此方を期待するような目で見てて…


「私もお姉ちゃんって呼んで!」

「私は姉上って。」

そんなこんなで、僕は苦渋の羞恥プレイを行わざるを得なくなってしまった。まぁ、6人分のメアドは大きかったね。これで合計19人か…。少なくとも渚と夢を入れて21人。翔太はきっと30人以上はゲットしたと思うから、合計50人程度…。東谷はある意味未知数だし、北川は大丈夫かな…。あっ、渚と夢がいた。ゴロちゃんも。


「渚、お疲れ~。」

「あ、慶斗。どこ行ってたの?それよりね、夢が凄かったんだよ。東谷高校の男子をふっ飛ばしちゃったんだから!」

「ゴメンね、慶斗。私も昔みたいにやっちゃった。テヘッ?」

まったく、しょうがないなぁ…。後方数十mで転がっている東谷の男子を見た。ありゃ駄目だな。だって、何の対応無しに夢を怒らせたんだもん。


話によれば、ライアンではない東谷の男子がナンパしてきたらしい。毒を含んだ言葉で丁寧に対応していたのに、全然引かないので、とうとう夢が実力行使に出たそうだ。言っておくけど、夢って半端なく力が強いんだよ?僕だって避けられなければ複雑骨折で終わるかな…?


「うむ、仙人のワシから見ても夢の力は凄まじいのう。今のままでは握りつぶされるかも知れん。」

ゴロちゃんのお墨付き。どうやら夢の力は仙人をも超えるらしい。


「あ、そうだ。渚に夢、メアド交換しよ。」

適当に理由は誤魔化して、二人のメアドをもらった。そろそろ道のりも半ばに差し掛かる。単純計算すれば今までの二倍集められることになるけど、そこまで簡単にいくとは思わない。今までだって幸運(?)が重なっていただけだし。


「けー君、一緒に歩こ?」

夢が背中に体を預けてる。まぁ、渚たちに会ったらこうなることは目に見えていたんだけどね。後は翔太に押し付けて僕はゆっくりとコースを…


「青龍く~ん!メアド欲しいんでしょ、私のあげる!」

「いらねぇぇぇっ!」

楽しめそうにないね。翔太の後ろからドタドタと地響きを立てながら走る女子を見ながらそう思った。南無。ドンマイ☆


「あ~、何だか翔太が大変らしいから僕助けてくるね。」

もちろん嘘。メアド収集再開します。窓際は死んでも譲りません。その時、渚の肩に捕まってたゴロちゃんが目を開けた。


「近いの。各々警戒するのじゃ。」

「何に?ゴロちゃん。」

「熊が来る。」

「何言っちゃってるの。熊はゴロちゃんでしょ?」

そのときだった。ドシンドシンと言う地響きが聞こえてきた。さっきの女子が翔太を食べて重くなったのかと思ったら、砂煙上げて走ってくる影が多数。小さい影がたくさんと、やたらと大きい影が一つ。


「熊だーーー!」

誰かが叫んでいる。翔太だった。僕のところで急停止する。


「ケイ、野生の熊がいた。どうやら鬼曹長の言っていたことは正しいらしい。逃げるぞ、愛の逃避行だ。」

「熊の餌にするよ。」

「すまん。」

変なコントを繰り広げている場合ではないことは確かだ。隣の渚たちに声を掛けようとすると…。


夢が屈伸してた。続いて伸脚。手首足首を回して首をコキコキ。


「けー君、準備はいい?」

「何やってるの、夢?」

「もちろん熊と戦うの。」

何言ってるのさ夢!いくら当時の力が引き出せても、熊に叶いっこないでしょ!大きいんだよ!片目潰れてていかにも的なオーラ出してるんだよ!ファンタジーで言えば人語喋れる中ボスくらいはあるって!


「夢、今は戦わないよ。逃げよう。ほら、あの人たちが何とかするって。」

そこにいたのは、エンジンを煩く空ぶかしする北川高校の不良たち。どうやら女子は後ろに回して、男子が前に出ているらしい。それぞれがバイクに跨ったり、釘バット持ったり…。かなりイタイ風貌だけど、戦力にはなると思う。先頭に立つのは、蛇慰案戸君。腕組みしてたっていた。う~ん、こう見ると威圧感あるなぁ。だてに不良やってるわけじゃない。


「イノシシの肉は牡丹。ボタンの掛け間違いにはご注意を。ヤクミンの敵だ。全員突撃!」

何時もながらの豆知識。玄武君のギャグより笑える。…先生の敵?あ!良く見たら熊が加えてる赤い布切れ…。北川の先生の赤ジャージ!!本当に食われたんだ…。


と、まぁ、北川高校の不良チームが掛かっていった。





結果?惨敗だよ。足を踏み鳴らして地響き立てれば不良が倒れるし、鋭い爪はバイクを粉々にした。けが人はいないみたいだけど、あの血気盛んな不良は熊に恐れおののいてしまって動かない。あ~あ。


だけど、たった一人だけ戦い続ける不良がいた。…蛇慰案戸・馬鹿。今は熊と組み合っている。いくら身長が2m以上ある蛇慰案戸君でも、熊はその倍くらい大きい。質量さだって半端ないはずだ。この戦い、不利にも程がある。僕の経験から言わせてもらえば、蛇慰案戸君は力で押し切るタイプ。いかにも不良らしい。だけど、その力の上を行く熊には勝てる見込みが少ない。だから、夢でも駄目だ。しょうがないか…


「夢、皆を宜しく。翔太も動かないように見張ってて。…少々危ないから」

きっと最後の言葉の口調は荒いものだったと思う。渚の眼を見ればわかる。怯えた目だ。翔太でさえも僕が何時もの僕でないことに気が付いている。僕は、夢が先程していたストレッチを始めた。よし、完璧。北川があそこにいるなら…


「準備は出来たかい、相棒。」

「調度呼びにいこうと思ってたよ。遥。」

隣に立っている白虎遥に答える。彼女も準備万端らしい。久々に血を見る事になるね…。


「今日限りのコンビ復活って事かな?」

「慶斗の腕が鈍っていないことを祈ってるよ。」

「フフフッ、神速を舐めないでよね。“神技”。」

「あの頃を思い出すよ。」

僕らは熊の前に出た。そろそろ蛇慰案戸君はピンチ状態。僕は動体視力以上の速さで蛇慰案戸君を救出した。救出、と言っても襟首掴んで熊を蹴ってその反動で無理矢理蛇慰安戸君を引きずり出しただけだけど。さぁて、これからが本番だからね。

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