ribirth ~陽雁ちゃん~
不覚!一日投稿日を間違えていた!あぁ、ごめんなさい!
「うぐっ…、ひぐっ…。」
この世界に神なんていないよ…。元々無宗教、無神論者の僕だけど、やっぱり神様なんていないんだ。うぅん、その逆かもしれない。逆に神様はいるのかも知れない。だって、そうでもしないとこんな僕の運命を認められないもん。呪われた運命。誰かを恨まなくちゃやってられない。渚や夢を責めれば良い?冗談も程ほどにしてね。
「慶斗…。可愛いからいいじゃない。」
「僕は別に可愛くなりたいなんて思ってないよ…。」
さっきから渚は目がトロンってなってるし、夢は目が危ない…。翔太はさっき悶絶死したよ。
「はい、けー君。あ~ん。」
「一人で食べれるから。」
今の格好、すごく女の子女の子してるよ。スカートとかスカートとかスカートとか…。い、いいもん。外国の伝統的な衣装にはスカートみたいな服があるんだから!
「さて、これから決めなきゃなのは、慶斗の新しい名前だね。」
なに、なんで僕の知らない所で話が進もうとしてるの?しかも名前?
「そうだよ。女装した時の名前♪せっかく可愛いんだから、可愛い名前にしなくちゃ。」
そんなの、どうでも良いよ…。名前付けるほどの事じゃないでしょ?でも、次の夢の発言で、僕の削りに削られた薄い精神は破滅の時を迎えるのだった…。
「え?だってけー君、その格好で明日出かけるんだよ?」
う、嘘だよね…?こんな恥ずかしい格好で出かけるの?冗談じゃないよ。確かにこれは僕の罰ゲームだよ。うん、早押しクイズの途中で居眠りして、変な夢見てて、起きたら猫耳装着状態で女装を強要させられたんだよ。でもさ、それって仲間内だけだと思うんだ。わざわざ外界に出て僕に羞恥プレイを行わなくても…。ほら、僕が変な道に走ったら皆も困るでしょ?
「心配しないで、けー君。私がバッチリ可愛い名前付けてあげるから!」
余計に心配だよぉ…
「これより“第一回、女の子バージョン慶斗の名前決定会議”を始めます!」
渚がさっきのホワイトボードを持ってきた。大きく会議名を書いた。渚、まさかとは思うけど、第二回とか三回目があるとか言わないよね?責めて今回だけだからね?
「ここはオーソドックスに“慶子ちゃん”でいいんじゃない?」
「異議ありだ!俺のお袋と名前が被る!」
渚の早速の提案に翔太が異議を唱えた。うん、何だか僕としても抵抗感があるよ。同じ名前の人がいたときに、自分のアイデンティティの一つが失われたような感じって言うか、微妙な喪失感を味わう感じがするんだよね…。
「留美は、お兄の名前がケイトのままで良いと思うですぅ。」
留美!流石は僕の妹だよ、…義理だけど。僕の事を案じて名前変更のその物に異議を唱えてくれるんだね?後で撫で撫でしてあげるっ!…ネコ態でだけど。
「外国には、女の子にケイトって言う名前の子がいるのですぅ。だから、お兄には少し金髪のウィッグと青のカラコンをつければ完璧だと思うのですぅ。」
「なんと!?金髪碧眼だと!?こ、これはケイの新たな萌えへの道が開拓される…」
留美、撫で撫ではやっぱり取り止め。あと、翔太?後で処刑決定だからね?
僕に発言権は無いみたい。僕が手を挙げても“慶斗は心配しないで。可愛い名前になるから♪”で斬られちゃう。うぅ…。人権侵害だよぉ。
「けーたん」
「萌で良いだろう。ケイは萌えの塊なんだからな。」
「翔太君、オリエンテーション前に会った西花高校の美月さん覚えてないの?同じ名前じゃない!」
そうだね。あの時の翔太、かなり反応してたし。あぁ、僕の運命はこの先どうなっていくんだろう…。神のみぞ知るって奴かな。あはは、何だか死んだ爺ちゃんと婆ちゃんが手招きしてるよ。
「あぁぁ!慶斗がどこか遠くに行きそうになってる!皆、ちょっと手伝って!」
やだなぁ。何で僕の邪魔をするんだい?今なら後悔せずに旅立てそうな気がするなぁ。
「ポルチャック秘儀、無限双頭龍電撃チョーップ!」
あぐっ、留美の秘伝チート技を受けた僕の意識は闇の置く深くへと落ちていった…。あぁ、なんだか最近気絶すること多くないかな、僕?まぁ、いいや。成るようになれだよ。
「ん…」
「あ、陽雁ちゃんが起きた。おはよ、陽雁ちゃん。」
え?ヒカリちゃん?渚、僕を見て変な事言わないでよ。あはは。さっきまで僕、恐ろしい夢見てたんだよ?皆が寄ってたかって僕にお化粧したり、女の子の服着せたり…。
「もう、ご飯の途中で寝ないでよ。陽雁ちゃん。どう?気に入った?かなり考えたんだよ、この名前。ねぇ、皆?」
うんうんと頷く皆。あぁ、やっぱり夢は現実、僕の運命は呪われてたんだね…。
「さてさて、今度は陽雁ちゃんの性格を決めたいと思いま~す。」
どうやら、僕の女装形態時の名前“陽雁”は、“けいと”の順番を変えて“とけい”にして、そこから“clock”→“time”→“時間”→“光陰矢のごとし”→“光”と連想したみたい。最後は当て字…。適当なのか凝ってるのかよく分からないね…。どちらにしろありがた迷惑なのは変わらないんだけど…。
「ふっ、ケイ。一応は感謝をしているんじゃないか。渚ちゃん、陽雁ちゃんの性格は“ツンデレ”が良いと思うのだが?」
翔太?覚悟はいい?今日はキック三連発で行くよ?立ち上がって翔太に蹴りを入れようとした瞬間、僕の足は誰かにつかまれた。そのまま無理矢理引っ張られて座り込んでしまう。なんだかガッチリホールドされてしまった。
「陽雁ちゃん、女の子がスカート履いたままでキックなんて駄目だからね?」
「渚…。僕は男…。」
「違う違う♪今は女の子だよ。しかも、どこから見ても完璧な!う~ん、まな板体型がちょっと残念かな。」
もともと無いし、これからも変わるわけ無いじゃん!それより、なんで渚は僕を膝に置いてるの?背中になんか柔らかい物が…。そこまで大きいわけじゃないけどさ…。
「ふむ、朱雀もあれじゃの。」
「ゴロちゃん、僕は女装をして楽しむ趣味は無いから。」
「あ、ゴロちゃん。明日出かける時は陽雁ちゃんの腕に抱かれててね。幼さアピールで可愛さアップなんだから!」
渚が暴走してる…。かなり僕危ない状況だよね…。なんか僕、ムギューッってされてるし。ねぇ、何で夢と留美はそんな所で話してるの?
「まだお兄をどう呼べば良いのか決めてないのですぅ。」
「そうね、“お姉”がいやなら、“陽雁姉って言うのはどう?」
「う~ん、何だかしっくり来ないのです。ここはノーマルに“お姉たん”などはどうでしょうです?」
十分アブノーマルだよ、留美…。
・陽雁ちゃんの交換日記
あぅぅ