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homework ~暴走~

~前回のあらすじ~

夏休みの最初から、勉強会を開くこととなった慶斗達。なぜか玄武君の悲鳴が聞こえるのだった。


~予告~

翔太が暴走します。

「こ、これは何と読めばいいんだ?」

 翔太が呟く。確かに、その意見には僕も賛成せざるを得ないよ。目の前に置かれた現代文の宿題プリントを眺めながら思う。“四文字熟語の読みを答えなさい。”と書かれた問題文。書かれた漢字は“数字的魂”って書かれてる。

「渚ちゃん、本当にこんな問題解けたの?」

「簡単よ。それは“デジソウル”って読むの。」

 漢字の読みをカタカナで答えさせるなんて、おじゃる先生もやり手じゃないか…


 夏休みの序盤から、僕達は泊りがけで学集会を開いている。教える側には、既に宿題が終わってる渚、宿題が関係ない希、チート少女の留美。そして何故か何故かのゴロちゃん。それ以外の僕と夢と翔太は教えてもらう側。

「お兄、次は英語の勉強しましょうです♪」

 なぜか英語が出来る留美。高校に上がる前までは英語圏に住んでいたとか。高校入学を機に、こっちで一人暮らしをする事を決めたらしい。理由を聞けば、

「本物のお兄はこの国にいる可能性があるのです。よく休日は遠出してお兄を探してますぅ。」

 だって。遠出って何処だろう?留美のことだからこの国狭しと駆け回るんだろうなぁ、文字通りの意味で。

「ほらほら慶斗。ボーっとしてないで一緒にやろう?」

 はぁい。夢と翔太とそれぞれのプリントを合わせながら問題に取り掛かる。

「渚ぁ、分からないよ~。」

「夢、何も考えずに人を頼らないの。少し考えて、それでも分からなかったらもう一度聞いて。」

 しょうがない。僕らは頭を捻って最初の問題に取り掛かった。何々?“ことわざの空欄を埋めなさい”か…


“井の中のかわず…”

 えっと、知ってるはずなんだけど…。何かを知らないんじゃなかったっけ?

「あぁ!思い出した。“花火大会を知らず”だよ!」

 うん。よく思い出せたね、僕。

「あぁ、流石は俺のケイだ。確かにカエルが花火大会を知ってるはずがないからな。」

「そうだ!今週末の花火大会、一緒に見に行こうよ、けー君。パパが出資してるから、いい席が取れるよ♪」

 僕らが話に花を咲かせてると、一発ずつ僕らの頭に鉄槌が落とされた。頭を抱えて蹲ってると、渚が見えた。

「色々話を展開させないで、集中したら?あと、惜しいようだけど、“大海を知らず”だから。花火関係ないわよ?」

 拳を固めながら笑みを浮かべる渚。怖いよ~。だけど、微妙に可愛い。あぅ、もう殴らないでください…。ちゃんとやりますから。

「コレは、何かお兄達に罰を用意しなくちゃなりませんね。」

 留美が僕の椅子から降りて、猫になった。そして僕の膝の上に乗ってくる。あぁ、こっちも可愛い…。撫で撫でしたくなる。

「例えば、これから制限時間内に規定量の課題をするとします。その正解率が一番低い人が罰を受けるのですぅ。」

 猫態の留美が提案してきた。うぅ、罰とかいやだよ。普通の日常生活だって僕にとっては羞恥プレイの罰を受けてるんだもん。だけど、勝手に話は進んでいく。そして、罰が決まった。


・夢 →僕(慶斗)の耳をハミハミするの禁止。

・翔太→僕(慶斗)を見るの禁止。

・慶斗→猫耳装着。


 僕のが一番酷い…。

「ま、まさか…!ケイを見てはいけないとはどう言う事だ!俺からケイを取ったら何が残ると言うんだ!?」

「けー君のハミハミ禁止って酷いよ!まるで生き地獄だよ!」

「なんで僕は猫耳なんてつけなくちゃいけないの?直接害があるの僕だけじゃん!って言うより、何で全て僕関係?」

 口々に意見を訴える僕達。だけど、それは叶わなかった。

「文句があるなら、罰を受けなければいいの。はい、スタート。これから一時間。範囲は国語の問題集全てだからね。」

 渚の開始宣言で渋々問題集に取り掛かる僕ら。とにかく、猫耳はこれ以上嫌だから。後は、できれば夢に罰を受けて欲しいな。


「終了。」

 渚の合図でペンを置く僕ら。採点官の四人が顔を合わせた。10分程すると終わったのか、僕らの前にご都合主義でホワイトボードを持って来た。

「はっきり言って、悲惨だったわ…。解説するから、よく聞いてよ?」

 一枚の紙を貼り付ける。どうやら翔太のみたいだ。

「さて、これは翔太君の回答だけど。まずはこの問題。“諺の空欄を埋めなさい。”さっきと同じ場所ね。とりあえず、これ。“可愛いさ余って…”だけど」

「ケイをイメージしてみたんだ。」


“頬をスリスリ”


「翔太、君の頭の中身はいつもこんなので一杯なの?」

「そうさ、ケイ。俺の頭には君への愛が所狭しと…」

 さぁて、今日はどんな調理方法がいいかな?

「待って、慶斗。」

 何、渚?止めないでくれるかな?

「コレだけじゃないの…」

 渚の示している場所を見て愕然とした。“可愛い子には…”の問題文。これくらいなら僕でも知ってる。だけど、翔太の答えは


“頬をすりすり”


 しかも、“子には”の『は』を『も』に変えてる。何で二つの問題に関連性を持たせようとするのさ?

「ふっ、君を手放すのは辛いことだが、これも運命なんだと考えるよ。再び君が俺の元に戻ってきたときは、…結婚しよう!」

 死ね、変態。

 

「はいはいはい。これで翔太君のは終わり。次は慶斗のと夢のを比較するからね。」

 は~い。

・青龍翔太の交換日記

ケイに愛情表現をして何が悪い?

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