weapon ~メイド~
~前回のあらすじ~
神速どこじゃ!!
~予告~
メイドとはぁはぁ…(笑)&久々に三人称視点(途中から)。
会長もいなくなったので、どんどん校舎に近付いてくる不良の皆さん。それじゃ、行きますか。
「うりゃぁ!不良共!この玄武様が相手だ、こらぁ!」
などと騒いでる玄武君を、夢と一緒に持ち上げる。二人で教室(3階)から落とした。逝ってらっしゃ~い☆ 突然の出来事に侵攻をやめた不良。僕らも窓から飛び降りる。勿論の事、着地点は玄武君。僕、夢、希、麒麟さん、留美、ゴロちゃんの順番で次々と降りた。
「やぁ、北川の皆さん。僕が神速だけど、何か用かな?」
唖然とする周囲。麒麟さんまでも。
「お、お前が神速だと?」
「そうだけど?正真正銘、白虎遥の相棒。まったく、遥も面倒くさい事に巻き込んでくれたよ。じゃ、行くね。ってか、逝って♪」
一気に不良集団に突っ込む僕。卑怯?何それ。遥に言わせれば、“卑怯って言う言葉は不良には通用しない”だって。さてさて、この人達はどの位楽しませてくれるのかな?
「けー君、コンビ組もう!」
「いいよ。」
突然だけど、僕は夢と組む事になりました。向こうから突っ込んでくる不良に、僕は急所を狙って蹴りを入れる。あぁ、今の靴には当時みたいに鉄塊入れてないから、少しだけキックの威力が下がってるよ。鉄パイプとかは当たればキツイからなぁ。
「夢、鉄パイプ一本とってくれる?」
「いいよ。けー君。」
その言葉の次には、夢が鉄パイプを握っていた。詳しく言えば、振り下ろされた鉄パイプを素手で受け止めたんだ。勿論のこと、片手で。力任せに鉄パイプを奪い取って僕に手渡してきた。ありがと。よ~し、これで少し攻撃に幅が広がる。
「王手秘儀!ブレイズキーック!」
留美がジャンプし、炎を纏った脚で不良をなぎ倒していく。
「王手秘儀!ブレイズシェア!」
突然留美が燃え出し、その炎が不良に移った。本人は暑くないのだろうか、平気な顔をしている。しかし、周りの不良は何やら叫んでいた。
「止めです。ポルチャック秘儀、無限双頭龍電撃チョーップ!」
再び上空へとジャンプする留美。しかし、空が暗くなっていく。次の瞬間、雲の間から、雷の如く金色に光る双頭の龍が現れた。飛び上がった留美と同化する様に纏わりつき、不良にチョップを食らわせる。すると余剰エネルギーが蜘蛛の巣状に広がって行き、更なる大ダメージを与えたのだった。
「全世界の拳法を学んだ留美を舐めないでくださいですぅ。」
「ほっ、とやぁ!」
手の平から気功弾の様な物を連続発射しているゴロちゃん。小さい体に関わらず、不良を蹴散らしている。
「そんな生半可な攻撃で、仙人のわしに勝てると思ったか。」
振り下ろされる鉄パイプは、持ち前のフットワークの軽さと、小さな体を活かして避ける。不良の体を駆け上った。
「ゴロちゃんキック!」
何気に可愛い技を使う物である。次の不良の顔に飛びつき、しがみ付いた。
「この呪いの人形が!」
しかし、不良も負ける気はなく、無理矢理ゴロちゃんを顔から引き剥がした。首根っこを掴んでいる。懐からナイフを取り出した。
「切り刻むぞ、ゴラァ!」
ナイフをチラつかせて脅かす不良。だが、ゴロちゃんは特に焦った様子もなく、やれやれと言った動作をした。
「本来なら“ゴロちゃん電撃アタック”を仕掛ける所じゃが、最近力が溜まってるからの。ちと元の姿に戻るか。」
そんな事を呟いた瞬間だった。ゴロちゃんの体が発光した。絶対に物理現象ではありえない程、肥大するゴロちゃん。
「ふむ、この身長からの眺めもいつぶりかの?」
そこに立っていたのは、身長2m以上、もしかしたら蛇慰安戸君よりも高いかもしれない男が立っていた。それなりに精悍な顔をしており、長い髪を一纏めに三つ編みにして縛ってある。コレがゴロちゃんの本来の姿、“東郷八代宮近衛兵太夫”なのだろう。
「ガキが。仙人の力、少し思い知らせてやるわい。」
何時の間にか不良の方が首を掴まれていた。既に脚は地面から離れており、ブラブラさせている。
「離せ、この野郎!」
「分かっとる。少しは落ち着け。」
そう言って、他の不良の方へ投げてしまった。ドミノ倒しの如く倒れていく不良たち。
「生メイド、はぁはぁ…」
「史上最強のメイドの名にかけて、ご主人様の敵は全て排除します。そうすれば、ご主人様はボクとイヤン♪なことをしてくれるはずです。」
「メイドと…、はぁはぁ…」
希の近くに集まっているのは、なんだか危ない目をした不良だった。しかし、希は特に恐れを抱いた様子もない。と言うよりは、希自身の考えている事も少々危ないのだが…。
「どんな戦い方でもいいのですが、今日はさっさと片付けるので、これでいいですね。」
何処から取り出したのか、大量の重火器を構える希。腰のベルトからはランチャーが下がっており、脚に巻き付けられたホルスターにも拳銃が装備されている。背中には予備弾装がコレでもかと備え付けられており、メイド服の上から着た防弾ベストには各種の手榴弾が木の実の様にぶら下がっている。
一瞬にして顔を青ざめさせる不良たち。しかし、そんな表情を見た所で止まる希ではない。最後にサングラスをかけて攻撃に移った。
「とりあえずコレですね。」
両手に手榴弾を持って、口でピンを抜く。不良の方へと容赦なく投げた。逃げるまでもなく爆発。吹き飛ばされる不良たち。脚のホルスターから拳銃を抜いて安全装置を一瞬で解除する。確実に不良を撃ち抜いていった。
「ご安心ください、今日はゴム弾だけですから。」
しかし、額に当たればかなり痛い。気絶した不良の山が出来ていく。
ブォォォンとエンジンの空ぶかしの音がする。希がその方向を向けば、調度スタートを切るバイクが。
「ボクにとっては、戦車だって相手じゃないんですよ?」
ベルトからランチャーを取り外し、的を絞ってトリガーを引く。ロケット弾がバイクに向っていった。真正面から衝突し、大爆発を起こした。周囲の不良を殲滅したことで、一息つく希。周りの人間は苦笑いしか出来なかった。
「さぁて、俺様はお前らみたいな大人数で攻める様な男が嫌いなんでね。徹底的やらせてもらう。」
ズボンのポケットに手を突っ込みながら、不良を睨んで言う麒麟。なぜ男子用の制服を着ているのかは疑問だが、それが彼女の“ボーイッシュ”の表れなのだろう。実際、いつも着用している帽子から除く、女子にしては少し短めの髪も相まって、男子にしか見えない。
「お前ら、男子は容赦なくやれ。」
「オッス!」
麒麟を男子と勘違いして気合を入れた不良共。しかし、それを聞いた麒麟は額に青筋を立てた。
「お前、今俺様のことを男だと言ったな!俺様は女だぁ!」
突然の女宣言に、戸惑う不良。だが、麒麟の機嫌は更に悪くなる。
「お前ら…、潰す!俺様が死ぬより辛い苦しみを与えてやる!」
そういうが早く、不良の集団に突っ込む麒麟。正確につま先が顎を貫いていた。仰け反る不良。しかし、次は逆の方向へ傾いた。麒麟が後頭部を踵で蹴ったのだ。極め付けに腹に回転蹴りを入れる。
「た、助けてくれ…」
不良が小さく声を漏らすが、上から見下ろす麒麟の笑顔に戦慄を覚えた。
「俺様が許すと思うか?言ったはずだ、死ぬより辛い思いをさせてやるってよ。」
ドSな麒麟であった。
・麒麟の交換日記
ほらほら!さっきまでの威勢はどこに行ったんだ?