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math ~ウラナリ~

~前回のあらすじ~

宇宙人系教師登場。危うく正体がばれるところだった…


~予告~

腹が痛ぇんだよ!文句あっか!?

 地球儀先生が再び教室を去った後、僕らは自習と言うお喋りに花を咲かせていた。基本的に夏休みの予定とかだけど。

「そう言えばさ、慶斗の誕生日って夏休み明けすぐだったな。気だるくて嫌じゃないか?」

 慣れればどうって事無いけどね。確かに僕の誕生日は9月の上旬。まぁ、一昨年は無い様な物だったけど。その内終業のチャイムが鳴って、学校中が騒がしくなる。僕らも次の授業の準備を始めた。次は数学か…。先生は裏鳴と言う名字で、あだ名もウラナリ。見事に一致した奇跡の教師。あ…

「どうしよ。僕教科書忘れちゃったよ…」

 あの人、弱弱しいけど、日ごろの行いとか厳しいんだよね。同じクラスだからいつもの皆に借りる訳には行かないし…。他のクラスから借りるしか無いけど、玄武君は候補にさえ入ってない。麒麟さんも行ったらやられそうだし…。

「にゃぁ~」

 足元を見れば、先日ゴロちゃんの仙人術で、人と猫の姿を自由自在に変えられる技を手に入れた、僕の義妹のネコ態がいた。拾い上げて撫でる。うん、人間態だったら躊躇しちゃうけど、ネコの姿だったら構わないんだよね。

 よしよ~しって感じで撫でてたら、ゴロゴロ喉を鳴らして、ネコが光り始めた。体積が何倍も大きくなって現れたのは、人間態の留美。

「お兄に撫で撫でしてもらえたですぅ。お礼に、はい。これ貸しますのですぅ。」

 留美が僕に渡したのは、なんと数学の教科書だった。すごいよ、留美!なんで分かるの?

「お兄の事を理解するのは、妹としての嗜みなのです。」

 と言って、ムギュゥっと抱きついて来た。何だか可愛いなぁと思ってしまって、ネコ態の時みたいに撫でてしまった。それが落とし穴。後ろから視線がグサグサ突き刺さってくる。あぅ…。居心地悪いよ…。

「お兄に甘えるのは、妹の特権ですぅ。」

 留美がそう言うと、クラスの皆は“アハハ、素晴らしきかな兄弟愛”とか言ってたけど、まだ視線がかなり痛いです…。

「あの…、渚、夢?」

「「・・・・・・・・」」

 無言でオーラ放ってるよ…。怖いから何か言って!

「けー君の耳をハミハミする。」

 もう少し条件を加えるべきだった。夢の口から出たのは死刑宣言。目を虚ろにさせながら近付いてきた。やばいよ…。完全に夢が別人格になっちゃったよ…。

「ゴロちゃん?」

「スピー…」

「翔太?」

「すまない、ケイ。俺としてはこの先に起こる出来事と、それに身を委ねるケイの顔が見たい。」

「玄武君?」

「呼ばれて登場、ジャジャッジャ~ン!」

 翔太と玄武君は後で死刑決定。流星群を頭に落としてやるぅ!


「授業始めます。皆さん席について…。ごめんなさい、私が悪かったです。」

 ドアを開けて入ってきたウラナリ先生の、開口一言目がコレだった。目が危ない夢に、ムゥッと頬を膨らませる渚。僕に抱きついている留美、そして崖っぷちの僕。寝てるゴロちゃん、死体ふたつ、取り巻く観衆。そんなカオス空間を見て、ウラナリ先生の紙の様に薄い精神は、一瞬で廃れたみたいだ。土下座しそうな勢いの先生は、半なき状態。北川高校に放り込んだらショック死しそうな感じ。どうしたものかなぁ…


「でわ、教科書の67ページを開いてください。」

 何とか授業は始まった。留美は自分のクラスに戻ったし、玄武君は既にあの世に旅立ちました。ご冥福をお祈りいたします。

「まずは、こ、この問4を皆さんでやりましょう。その後、プリントをお渡しします。」

 至極まともな授業。先生としてはいい人なのかもしれないけど、性格が災いして…。

「先生、腹痛いんで保健室行ってきます。」

「ですが、別に大した様子は見られ…」

「あぁ!?俺が腹痛ぇって言ってんだよ!文句あるのか!」

「すいません。保健室行って来てください。」

「わかりゃぁいいんだよ。お前らも行くぞ。」

「へ~い。」

 とまぁ、この授業だけ調子に乗る生徒もいる訳で。他の生徒も気が緩んでいる。完全に教師を舐めている状態。まぁ、僕も例外じゃないんだけどね。これが鬼曹長先生の授業だったら、完全にノックアウトしてる。ライフル弾と同じ速さでチョークが飛んで来るから。もしもウラナリ先生が鬼曹長先生と同じ装備を持っていたとしても、撃った反動で転ぶね、絶対。

 突然僕の机の上に紙飛行機が飛んできた。開いてみると、“愛しのケイへ”から始まる文章が。千切っておいた。

 次に僕の上に着地したのはゴロちゃん。

「朱雀よ。前にも言ったと思うが、あの教師は只者じゃないぞ。」

「分かってるよ、ゴロちゃん。あの先生のネガティブオーラは人間の領域じゃないから。」

 強いて言うなら、根暗そのもの?入学試験で人生相談されたけど、まさか廊下歩いている時に捕まえられて、“私って、根暗ですか?根暗ですか?あはは…”とか呟かれた日には、こっちまで気分が重くなってしまう。玄武君の立ち直りの早さを少しでも分けて貰うべきだ。

「今日覚える公式を書きます。覚えてください。」

 出た、今日の公式。なんだか、“今日のわ○こ”を連想させる題名だけど、生徒の中では凄く嫌がられてる。なぜなら…


【N×N=∞】


 と書かれている。“エヌかけるエヌイコール無限大”見たことがないのは百も承知。先生が作ったんだから。皆がノートをとった所で、先生の解説が入る。

「この“N”はnegativeのエヌです。ネガティブの二乗は、無限です…」

 嫌な公式。毎回毎回作る先生も暇だよね。

「テストに出ます。」

 出さないでください。

「呼ばれなくても登場、ジャジャッジャジャ~ン!」

 帰ってください。ってか、授業受けなよ。それより死んだんじゃなかったの?

「はははっ!渚さんと夢さんがこの世に存在する限り!俺は絶対に死なないのだ!!」

 もう嫌…。暴れていいかな?


「来たな!改造怪人ゲンブー!俺が相手だ、変…身っ!!萌えの仮面戦士、仮面ライダーモエーノ!」

「ぎぇぎぇ!?出たな仮面ライダー!今日こそ玄武大那帝国設立の為、死んでもらうぞ!」

 またヒーローショー?翔太も飽きないね。この前まではコントやってたのに。しかもさ、ライダーって名乗りながら、乗り物は?

「心配するな、駐輪場に置いてある。」

 自転車!?ヒーローの乗り物にしてはインパクトが弱過ぎるよ!いや、逆にあるかもしれないけどさ…。ってか、何で僕は突っ込みキャラになってるの?


「胃が痛いので、今日の授業はここまでにします。」

 ウラナリ先生、ご愁傷様です。

・朱雀慶斗の交換日記

もー嫌!

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