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cat ~体がだるい~

~前回のあらすじ~

家に帰れば、オリエンで出会ったエロメイド・希がいた。何かと過去を持つ彼女は、とうとう慶斗の世話をすることになったのだった。しかし、渚が着たからさぁ大変。ゴロちゃん出てきてこんにちわ、みんなで一緒に遊びましょ


~予告~

チート少女、ポルチャック王国より参上!

 希の用意してくれた朝食を食べてると、二階から渚と希が降りてきた。ゴメン、二人とも。お腹空いてたからつい食べちゃったよ。

「ご主人様、お味はいかがでございますか?」

「え、うん。おいしいよ。」

「それは良かったでございます。ばれるかと思っておりました。あっ、渚様はお食べにならないよう。…ボクの計画が台無しになってしまうので。」

 渚がウルウルした目でこっちを見てくる。本当にゴメン、渚。だけど僕は空腹には負けちゃうんだよ…。それにしても、さっきの希の言葉が気に掛かったよ?

「希、計画って何?」

「メイドの秘め事でございます。さ、幼馴染様はお帰りくださいませ。」

「慶斗のバカァ~!」

 渚は泣いて帰ってしまった。

「渚っ!」

 追おうとしたけど、うまく体が動かない。なんて言うか、熱っぽい…?椅子から立ち上がったけど、バランスを崩して転びそうになってしまう。

「ご主人様」

 すぐに希が支えてくれた。ゴロちゃんは今だここにいる。どうやら渚に捨てられたみたいだ。

「朱雀よ、何も言わず、わしを数日泊めてくれ。最近分かったのじゃが、渚は感情が高まるととてつもなく強くなるんじゃ。わしの仙人の力も通用せんほどにな。」

 ゴロちゃんの話は特に聞いてなかった。体が熱くて、頭がボーっとする。希の付き添いで部屋のベッドに寝かされる。

「二人きりですね、ご主人様。」

「僕、風邪?」

「大丈夫です。ただの媚薬・・でございます。これでボクはご主人様と、イヤン♪」 

 すごく危ないことを宣言されてしまった。だけど、体がだるいし、言うことを聞かない。

「さぁ、ご主人様。ボクを求めて貰って良いですよ♪」

 希を抱き寄せて、抱きつく。体が熱い僕に比べると、希の体は冷たくて気持ちい。部屋のドアを叩きながら、“朱雀、正気に戻るのじゃ!”と叫んでいるゴロちゃん。一度希が離れた。いや、行かないで…。

「おいっ!何をする!こうなったら仙人術で…うぎゃぁぁっ!?」

 しばらくすると希が戻ってきた。またベッドに乗ってきて、僕をギュッと抱きしめてくれる。

「邪魔者はいなくなりましたよ。ご主人様、ゆっくり楽しみましょうね♪」

 うん。そうだね。僕も希を抱きしめ返す。柔らかい。体の熱が逃げていくようだ…。


 “そろそろボクも暑くなってきたので、服をお脱がせいたしますね?”と言われ、肯定の返事を出した僕。上気した彼女の頬がそれを物語っている。希が僕の服に手をかけた時、チャイムが鳴った。

「ちっ、再び邪魔者です。ご主人様、直ぐに戻って参りますね。」

 2分ほど経つと、希が戻ってきた。

「お客様です。ご主人様。」

「お兄!お久しぶりですぅ!」

 来たのは、倉元留美だった。肝試しを一緒に回ったあのチート少女だ。久しぶりって、一昨日会ったばかりで、しかも昨日の夜だって、“お休みのハグですぅ”と羞恥プレイを行われたのに…。

「あれ?お兄は病気ですか?」

「そうです。ご主人様はお風邪をお召しになっております。ですので、お帰りください。ボクは早くご主人様とイヤンイヤン。」

「お兄、留美に任せてくださいです。インドの師匠に教わった、良い療法があります。“ブレイクチョップ”!」

 あの時みたいに空へ高く飛ぼうとした留美。だけど、ここは家の中。頭を天井にガツンとぶつけてしまった。

「お兄ぃ…。頭が痛いです…。割れそうです。撫で撫でしてください…。ついでにギュッとしてくださいですぅ。」 

 なんだか僕が変だ。留美の言う通り、ベッドに座った留美の頭を撫でて抱きしめる。“嬉しいです、お兄ぃ”とか僕の腕の中でゴロゴロ言う留美は、まるで当時の僕に懐いていたノラの様で、可愛かった。無性に撫で続けてしまう。

「ご主人様!ボクを置いて行かないでください!」

 少々ヒステリック気味の希。腕の中で留美も抗議の声を上げている。“お兄は私のお兄だから、これで良いのですぅ”とかなんとか。とうとう我慢できなくなったのか、希も自分から引っ付いてきた。

「ご主人様、私とイヤンな事しましょ。」

「お兄、もっと撫でてくださいですぅ。」

 口先だけの抗争では決着が付かないと思ったのか、物理的手段を使い始めた二人。怪我しないでね~。さてさて、チート少女と史上最強メイド、どちらに軍配が上がるのでしょうか?

王手チェックメイト奥義、ブレイズシェア」

 まずは留美の攻撃。あの蜘蛛の巣を破った炎を、希に放った。

「甘いわ。」

 それを片手だけで薙ぎ払った希。肉弾戦を仕掛ける為に間合を詰めた。パンチ、キックそして頭突き。常人では考えられない速度の技を繰り出し、それを避けたり受け止めたりする二人。

「ふむ。その内音速を超えられるの。」

「ゴロちゃん帰ってたんだ。」

「そういう朱雀は正気に戻ったのかの?」

 あれ?そう言えば…。体も熱くないし、だるくもない。でも何してたんだっけ?それより、汗ビショビショ…。

「ゴロちゃん、僕シャワー浴びて来るから。二人が家を壊し始めたら、ゴロちゃんの力で何とかしておいてね。」

「よかろう。じゃが、渚からわしを数日匿ってくれ。」

 理由はよく分からないけど、了承しておいた。


 シャワーを浴びてスッキリし、部屋に戻ってくる。

「にゃ~」

「にゃぁ~」

 何故だろう。希と留美が消えてて、見慣れないネコがいるよ?

「ゴロちゃん?」

「すまぬ。犬にしようと思ったのだが。」

 どちらにしてもゴロちゃんは、二人に人間の姿を諦めて欲しかったようだ。何?お仲間を作りたいの?足元に擦り寄ってくる二匹のネコ。無駄に顔をこすり付けてくるのが希だと思う。だって、メイド服と同じで黒いから。

「あ~、希?聞こえてる?さっきは僕に何したの?」

「にゃ~♪」

 だめだ。話が通じない。次は留美を拾い上げた。何となくネコって癒されるよね。不思議と頭を撫でたくなる。白猫の頭を撫でると、ゴロゴロ言って目を細める。

「君の両親には何て言おうか…?」

「大丈夫です、お兄。留美の両親は外国にいるので、しばらくの間はバレないのです。」

 思わず取り落としてしまった。スタッと着地しながらも、フーッと唸る白猫、基、留美。

「留美、人間語喋れるの…?」

「留美を甘く見ないでください。お兄。ポルチャック王国の師匠は、死んでから言葉を喋りました。」

 ポルチャ何とかが何処の国かは知らないけど、どうやら留美のチート能力が助けてくれているようだ。

「ゴロちゃん、このカオス空間どうしてくれるの?」

「スピー…。」

 寝てた。どうしてくれるのさ、この事後処理…。その後、僕はゴロちゃんに“これからも朝起こしに来てくれる?”と書いた手紙を結び付けて、渚の部屋の窓に投げ込んで置いた。本当にゴメン、渚…。

・小波希の妄想日記

え、ボクだけ“交換日記”じゃなくて、“妄想日記”なのですか?これなら、ボクとご主人様の絡みが書けます…いやん♪

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