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maid ~慶斗争奪戦~

~前回のあらずじ~

軍人教師だけでも手一杯なのに、さらに変なのが増えた。おじゃる系、ネガティブ系、ヲタク系、ロリ系。何人かの受験生が爆散してしまったが、気を取り直していきましょう。


~予告~

“騒動変”(二話構成)のスタート。オリエン編で出てきたあのキャラが登場します。

 さて、長い長い夢を見ていた僕だけど、今は渚のお母さんの運転する車で家に戻る途中だった。色々オリエンテーションのことを聞かれたけど、正直言って、話し辛い内容が盛りだくさんです。はい。

「ありがとうございました。」

 家の前で下ろしてもらって、渚と渚のお母さんに挨拶をする。手を振る渚。そんな彼女の手首には、くっきりと一筋の線があった。あんな事が二度と起こってはいけない。今日のあの夢は僕への戒めだったんだ。

 そんな事を思いながら玄関へと向う。あれ?行く時に電気を消し忘れたかなぁ?煌々と玄関から光が漏れている。まるで帰ってきた僕を待ってたかのように。いやいや、そんな事は…。死んだ爺ちゃんや婆ちゃんが降臨しない限り起こらないって。空き巣って言う選択肢も無し。だって電気をつけて仕事をする空き巣なんて見た事無いもん。いや、空き巣自体を見た事無いけどさ…。

 ドアの鍵を開けて家に入る。まったく、電気代が無駄になったよ…。

「お帰りなさいませ。ご主人様♪」

 僕ができる限り言葉で説明するね。メイド服を着た少女が、お辞儀をしてる。以上。

「すいません。家を間違えました…」

 家から出る僕。あの夢を見たせいで疲れてるのかな?今日は渚に頼んで隣の家で寝かせてもらうか…。

「ご主人様~!!」

 家の中から猛スピードで出てきた影。しかも大声で叫んでいる。やめて!何か変な方向へ誤解されるから!!

「確か…、小波さん、だったよね?」

「ノゾミンです。」

「だからさ…」

「ノゾミンです。」

「分かったから。希、どうしてここにいるの?」

「勿論ご主人様を追いかけてきたんですよ。」

 そういう事じゃない。“何故外まで出てきたのか”って意味合いじゃなくて、どうして家にいたのって事!

「ご主人様が仰ったじゃないですか。“君の家に帰って”と。ここは、ご主人様の家でもあり、ボクの家でもあるのです。そして愛の巣でも…イヤン♪」

 とりあえず家に入る事にした。三日ぶりの我が家に戻りたいんだ。


 さて、場を変えて話を続ける僕ら。どうやら希は、僕の行った事全てを都合のいい様に解釈しているようだ。

「君の本当の家は何処?」

「ここです♪」

「ふざけないで欲しいんだけど。」

「…。実は、以前にもお話したと思いますが、ボクはメイド育成機関で教育を受けました。これは聞いた話なのですが、ボクはまだ幼い頃、機関の施設の前に置かれていたそうなのです。機関を卒業したボクには、ここ以外行き場所がないのです。押入れに寝泊りしろと言うならそうします。ファッキューと言われれば文字通りの意味で受け止めます。だから、どうかボクを見捨てないでください!」

 少し僕は望みに冷たく当たった事を後悔した。彼女にそんな過去があったなんて思っても見なかった。両親の顔を知らないなんて、僕と同じ境遇じゃないか。もしかしたら、爺ちゃんはそれを知って、わざわざ希を選んだのかもしれない。ごめん、爺ちゃん。爺ちゃんの好意さえ無駄にしてしまう所だったよ。

「あのさ、希。」

「はい!一生懸命お仕えします!」

 まだ何も言ってないんだけど、まぁ、僕が言いたかった事だからいいけどさ…。こうして、僕の家にメイドさんが住むことになった。名前は小波希こなみ のぞみと言う。時々変な事を言うけど、真面目さと技能にかけては信頼の置ける人だ。少々イザコザがあったので、それを少し話したいと思う。


 オリエンテーション終了の翌日の朝、つまり希がこの家に住み始める事となった次の日だった。その日は代休で、休みの金曜日。週末も含めれば三日間と言う学生には少し嬉しいお休みだ。因みにあの話の後、本当に希が押入れに入ろうとしていたので、開いていた客室を使ってもらう事にした。爺ちゃん達がいない今、泊り掛けで訪ねて来る人なんていないから。

「ご主人様、朝でございます。朝食の準備も整っていますので、お目覚めになってください。」

「ん…、希?ゴメン、僕もう少し寝てたい。後三十分…」

 僕は二度寝をすることにした。耳元で“朝からだなんて、ご主人様は気が早いですね♪”とか聞こえたけど、無視する事にする。まともな思考が働かなかったから…。


「慶斗~、いる~?朝ごはん作りに来たんだけど、あれってもしかして慶斗が作ったの?」

 部屋に無断で侵入してくる幼馴染、もとい、渚。僕にとってはコレが日常だから何とも思わないけどね。いつもの様に、キックバック付きの体当たり目覚ましを仕掛けようと、ベッドに乗ったらしい。“らしい”と言うのは、これは渚からの伝聞であり、当の本人である僕はその時眠っていたのだ。

「慶斗~?」

 その時、渚はベッドが異様に膨らんでいるのに気が付いたのだろう。僕に乗りかかるのを止めて、布団をはがした。

「誰!?」

「はっ!あまりにもご主人様が気持ち良さそうに寝ていたので、ついボクも添い寝をしてしまいました。…誰ですか!分かりました、空き巣ですね!このボクがご主人様をお守りいたします!」

 渚を空き巣と勘違いした希。寝起きにも関わらず、正確無比な攻撃を仕掛けた。だが、それを真正面から受け止める渚。驚くのは希だった。

「そ、そんな!メイド史上最高の戦闘能力を誇る、ボクの力が通用しないなんて…。」

「メイド服…、なかなか可愛いじゃない!そう思わない?ゴロちゃん。」

「わしは知らぬ。しかしわしにはイマイチ、渚の可愛いの定義が分からなくなるときがあるぞ?」

 やっとここに来て、僕のお目覚めだ。眠い目を擦って見上げると、拳を突き出す希と、それを受け止める渚。そして彼女の胸元に納まってるテディベア。即ち、自称仙人のゴロちゃんだった。ってか、ゴロちゃん何処にいるんですか?

「わしはスカスカにもなれとるでの。」

 次の瞬間、渚の渾身のデコピンが炸裂した。“キュウゥ”とか言って頭を抱え込むゴロちゃん。いつもながら無駄に可愛さをアピールしてる。いやいや、そんな事より、僕はこのカオス的(?)空間に対して一言言わなくちゃいけないだろう。

「えっと、希。彼女は椎名渚、僕の幼馴染。渚、この人は僕の爺ちゃんが雇ってくれたメイドさんで、小波希って言うんだ。」

 僕の話で、やっと敵同士でないと悟った二人は、それぞれの拳を下ろした。

「申し訳ございませんでした。ご主人様の幼馴染とは知らずにご無礼を。ボク、ご主人様のお爺様、朱雀慶賀様の生前に雇われました、小波希と申します。これからよろしく。」

「椎名渚よ。慶斗が“何か危ない物”に興味を持ち始めたと思って心配したけど、大丈夫みたいね。良かった。朝食を作りに来たわ。私の日課だから。」

 とまぁ、お互い自己紹介を終えたけど、渚が僕を色々勘違いしていた事には少し泣きそうになってしまった。“さぁ、慶斗、服準備しておくから顔洗ってきて。”といつもの様にタオルを渡されるのだが、それをパシッと奪いとられる。ここにいる第三者はたった一人しかいないわけで…。

「ご主人様のお世話はボクがやります。即ち、貴方のお仕事はボクに全て引き継がれたので、帰ってもらって結構ですよ。さ、ご主人様、動かずともボクが全てやって差し上げますね。あっ、でも着替えの途中でなんて…、イヤンイヤン」

 頬を赤く染めて、顔に手を当てて首をフリフリ。妄想ワールドに突入した希だった。あえて希の言った事は聞かない様にしてる僕なので、気にも留めなかった。だけど、渚は違った。

「ななななっ!そ、そんな事駄目に決まってるじゃない!貴方みたいな危ない思想の持ち主と慶斗が近付いたら!キャァァァ」

 渚まで赤くなってしまった。ゴロちゃんがピョコンと僕の膝の上に乗ってくる。遥のアパートで飼われてた、ネコのノラを思い出すよ。

「当時のわしみたいじゃの、朱雀よ。」

「僕はそこまで身長小さくないよ。」

「一つ言っておくぞ、朱雀。わしは自分で言うのも何じゃが、人間としての体を持っていた時は、長身・イケメンなどといったモテ要素が満載でな…」

「はいはい。昔話は昔のことでしかないから。」

 ゴロちゃんの話を遮って、僕は顔を洗いに行く。今だ口論する二人だけど、これから大丈夫だろうか…?

・rubixcubeの交換日記

どうも、作者のrubixcubeです。この小説も40話を突破しました。ユニーク7000、PV55000を突破してご愛読してくださる読者の方々に感謝感激です。破壊編が終わった所で、少し解説を入れたいと思います。オリエン編終了間際に時間が巻き戻ったので、破壊編を読み終わった後で一話から読んで頂けると分かりやすいと思うのですが、面倒だと思うので、ここである程度。


・なぜ朱雀慶斗が三人(渚・遥・夢)を恋愛対象に見れないか。

慶斗自体は特に鈍感と言う設定はつけていません。三人に好意は抱いていますし、其の方面の言葉だって知ってます。希の言葉だって、わざと聞き流してるだけです。ですが、祖父母に育てられた為、少しばかりおっとりしてます。そこが今の状況につながってるわけです。


→渚とは幼馴染でいい関係だったが、一度殴りそうになってしまい、その上自殺に追い込んでしまった事を、すまなく思っている為。


→一度相棒と言う契りを結んだのにも関わらず、一方的に二度も裏切ってしまったから。許されているとは知ってても、負い目を感じてしまう。


→特に負い目を感じる理由は無いが、執拗に迫ってくるので少し嫌がっている。また、渚と夢は仲がよく、渚が傷ついてしまえば夢にも危害が及ぶと考えている。


→青龍翔太?例外。



・倉元留美について

→彼女自体は慶斗に恋愛感としての好意を持っているわけではなく、擬似的ですが、兄妹として甘えたいと願っているだけです。“ハーレムを作れ?”を読んだことがある人がいるかは分かりませんが、行方不明になってしまったと言う留美の本当の兄(第22部、sister ~肝試し~を参照)。彼を倉元龍夜だと思っている方がいると思います。実を言うと、留美の実の兄については伏線を張ってあるのですが、“文化祭編”で明かされると思います。必ず龍夜というわけではありませんので、お楽しみに。



・小波希について

→端的に言いましょう。エロメイドです。特に彼女の過去を語る予定は無いのですが、このようなキャラが小説の一旦を担うとだけ覚えててください。まぁ、次回彼女にハプニングが…おっと、ネタバレ。



・玄武大那について

→書いてて楽しいですね。そのためのキャラだと割り切ってますから。絶対シリアスな感じになることはありません。また、第30部、haruka ~アタシの想い~の後書きの玄武の日記ですが、36部の一部分を玄武視点で書いたものです。36部は、慶斗に転機が来る相当なシリアス場面です。それにも関わらず、彼はいつもの彼を演じていました。一番肝が据わっているといっても過言じゃ無いでしょう。


・カードについて

→これは一番後悔してます。時たま慶斗がカードで次のアクションを選択してますが、無意味ですね。



・猫について

→この作品、猫がよく出ます。渚の猫のコスプレや、遥の飼ってるノラ。作者が猫好きなだけです。深い意味はありません。この後も猫が出てきます。



・ゴロちゃんについて

→のりで作ってしまったキャラです。チート設定がありますが、この小説のマスコット的存在だと思ってください。それなりに関わってくれますけどね。



・先生達について

→実際の先生を参考にしています。いや、勿論あそこまで過激じゃありませんよ?端的な部分を濃く煮詰めただけです。



・破壊編について

→元々、シリアスを書きたくて作ったこの作品。あっ、これってあの時のこれだね。というひらめきと言うか、記憶のつながりが好きな作者なので、コメディーを先に展開させました。日常編で渚のリストカットが明かされてないのは、当初渚は睡眠薬自殺未遂のはずでした。ですが、小説である以上、文章で視覚的表現があったほうがいいと思い、今の設定に変えたのです。今更変えても文章がおかしくなってしまうので、これを読んでるあなたのみが知ってる裏設定と言うことで♪


はい、長く語ってしまいましたが、以上です。これからも二日に一回の投稿を頑張りますので、よろしくお願いします。(もしかしたら、金曜日が危ないということを追記します。)では、次回のお話もお楽しみに。

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