cooking ~危険な開発~
~前回のあらすじ~
買い物に向った五人。幼馴染の持ってきた蜂蜜と、死神に扮した二等兵のリンゴがフュージョン!バーモン〇カレーに進化しました。帰りの途中で不良に絡まれましたが、不良が禁句を言ってしまい、瀬波が油を注いだせいで、朱雀が毒舌キャラにパワーUP。見事倒しました、パチパチパチ~。
~予告~
ゲームの国から、あの兄弟が特別参加!
そんな訳で、色々あったけど学校まで無事に戻ってきました。翔太達が“何か”の入った袋を持って戻ってきたのが11時半頃。少々早いけど、お昼ご飯にしようと言う話になった。材料を適当に置いて、テーブルにそれぞれのお弁当を広げる。僕は渚が作ってくれたものだから、お弁当の中身は渚とほとんど一緒。翔太はコンビニで買った菓子パンだし、夢と瀬波さんは親の作ったもの。瀬波さんはわからないけど、正直言って夢の料理は壊滅的。砂糖と塩を間違えるなんて序の口。水の代わりにコーラで肉じゃがを作ったり、サラダにかけるドレッシングはタバスコだったりする。時たま、包丁の欠片が入ってた事もあったかな。食材を切る為の包丁が切られてどうするのさ?兎に角、夢の作った食べ物を食べると、吐血する。色々な理由で。
『頂きます!』
早めのお昼を食べる僕達。うぅ…。周りの視線が痛い…。そうだよね。美人三人と一緒なんだから。イケメンのショウタなら許される範囲かもしれないけど…。突き刺さるような視線。…おっす、オラ死亡フラグ。ワクワクすっぞ。……誰?それにワクワクしません。
「あのグループ凄くね?美人の椎名に宇津木と瀬波。ムカつくけどイケメンの青龍、そして極め付けはあの朱雀だぜ。童顔の貴公子だぜ。」
「入り込む余地ねぇ…。」
「俺にはどうしても青龍が四人の女の子に囲まれてるようにしか見えないんだけど…。」
ぶっ飛ばしていいかな?でも、死亡フラグが回避されただけでも…。待った、何か感じる。周りの皆じゃないとすると…。
「渚の作ったお弁当を食べるなんて…。なんと言う羨ましいやつ。地獄に送ってくれるわぁ…。」
こっちだったぁ…。不可思議なオーラ見たいの発散させながらこっちガン見してる瀬波さん。怖いから…。
「あ、あのさ瀬波さん。もし良かったらから揚げ一ついる?僕お腹いっぱいみたいで…。」
「ほ、本当に良いのか!?…いや待て瑚南!是は作戦に違いない。こうやって私に餌付けをして飼いならすつもりなのだ。そうだ、そうに違いない。渚や夢だけでも許せないのに、私まで手を伸ばすつもりか、バイオレンス朱雀…。お前は何処まで鬼畜なのだ。私は騙されないぞ、そしていつか憎き朱雀の魔の手から二人を救い出し、私と言う名の楽園を…ジュルリ…。」
途中から身振り手振りをつけた、オスカー女優顔負けの迫真の演技をしていた瀬波さん。どうやら僕からの施しは受けたくないらしい。
「親友、いや、ケイ様!どうか私に一つお恵みください…。」
翔太がすがって来た。危ない性格だと思ってたけど、どうやら今の所は女の子が好きな所は残っているらしい。だけど、あげない。
「いやだ。」
「何故だ!僕はこんなにもケイに愛情を注いでいると言うのに!これは俺に対する愛の鞭なのだろうか!そうだ、そう言うプレイなのだ。納得がいったぞケイ。さぁ俺をもっと弄ぶといい。君のならどんなプレイでも受けてたとう!」
ドガバキグシャドゴガシン!翔太が悪い。僕は再び食事に取り掛かるのだった。
さて、お弁当も食べ終わって早速作業工程に取り掛かる。残り時間は三時間。何とかなるでしょ。
「さて、是より第二回目の作戦会議を始める。今回は作業工程の役割だ。全体的な指揮は再びこの俺、青龍翔太が務める。」
『サーイエッサー!』
「簡単に説明しよう。役割はその場その場でやりたい者が担当せよ。そして作り方も簡単だ。全て鍋に突っ込め!」
本当に食べられる爆弾なんて作れるのかな…。
「それでは是より作戦を開始する。鍋用意!」
「ラジャ!」
渚が水を張った鍋をコンロに置く。そして火をつけた。次に夢が洗剤を全て流し込む。って!
「夢、何やってるの?」
「え?だって最初に洗剤加えた方が汚れが落ちやすいじゃない。」
君の料理による吐血の新たな原因が判明したよ。でもいいや。次行こう。どうせ食べるのは先生だし。瀬波さんがリンゴを取り出して摩り下ろし始めた。隣では渚が蜂蜜を掬っている。
「さぁ、渚、共同作業だ。リンゴと…」
「蜂蜜~」
摩り下ろしたリンゴと蜂蜜が鍋に投入される。お鍋の中身は凄く泡立っていた。きっと洗剤のせいだと思う。
「バーモ○ドカレー!」
やはり来たか翔太。懐かしいCM乙。カレールーが更に投入されたお鍋の中身は茶色に変化した。グツグツブクブクしてる。カレーとヤシの実の匂いが混ざる。僕が泡だて器を取り出して、湯気立つ鍋を掻き回した。ルーと蜂蜜のせいか、ドロッとしている。しかも泡立っている。もはや食べ物じゃないよ…。隣では夢と翔太が何かを刻んでいた。どうやら二人で採集したものらしい。見た目から言ってキノコだろうか。だけど色が変、赤と白の特徴的な水玉模様。どこかで見たことあるんだけどな…。刻まれたキノコが鍋に投入された。ボコボコしてるし…。心なしか湯気がチクチクする。
…ん?今何かいた!?慎重にかき回してみる。カツカツ何かが当たる。
「渚、お玉貸して。」
「はい。」
好奇心が勝ってしまった。泡だて器で上から押さえつけながら、お玉で掬う。持ち上げてみるとそこには…。
「イーヤッホゥー!」
ハイテンション配管工、verレッド(兄)がいた。どうやら土管が何かしらの化学変化でこの鍋に通じてしまったらしい。弟は何処に行ったのだろうか?
「イーヤッホゥ!」
お玉から飛び出し、床に着地。逃走を開始した。元気だな、おい。
「誰か捕まえて!」
女の子三人がご都合主義で虫取り網を取り出した。翔太は何故か懐かしきファミコンのコントローラー。そんな骨董品よく持ってるね。
「買い取ってくれる店が無くてな。で、何処かの博物館が買取を申し込んでくるまで保存してるって訳。」
「イーヤッホゥッ!」
逃走を続けるチョビ髭配管工。渚が真上から網を振り下ろすが脇に飛んで逃げられる。夢が横からかっさらう様に網を振るうが、ク○パを身代わりにしてしまう。瀬波さんがスライディングで回り込む。やったか?と思ったけど、配管工はポケットから弟を召還。分身の術を使った。戸惑う瀬波さん。どうやら彼女には見分けがつかないらしい。いや、普通分かるでしょ?一つはコンプレックスの塊だって言われてるほどなんだから…。
『イーヤッホウ!』
二つに増えてしまった無駄に煩い奇声を止めたのは、なんと驚くべきことに翔太だった。手には何時の間にかグレードアップしたスーファミのコントローラー。成程、動きの主導権をそれで奪ったのか。え?スーファミ対応してたっけ、あの兄弟?
とりあえず、ク○パは渚が、ルイ○ジは夢が捕獲した。マ○オも翔太のチート能力(?)によって鍋付近につれてこられた。
「どうする?」
正直、捨てたいんだけど…。
「出汁、とってみようか…。」
渚ぁ!?何マッドサイエンティストみたいなこと言ってるの?僕の制止も聞かず、渚はク○パを鍋に放り込んだ。お玉でグーッと押し込んで溶かそうと試みる。それを見習って、夢もルイ○ジ加えた。翔太もAボタンでマ○オを自殺に追い込んだ。十字キーの下を長押しして、出るのを防いでいる。
三十分程煮込んだ所で、かき回してみた。救い上げた残骸を並べてみる。
・棘の生えた甲羅
・赤い、『M』と書かれた帽子
・チョビ髭
三つ目はどちらのものかは判別不能だ。運よく土管を通じてもとの世界に返ったことを祈ろう。南無…。
「是いらないよね。捨てちゃおっと。」
渚が遺品を躊躇い無くゴミ箱に直行させた。ま、燃えるとは思うよ。
「ケイ、君の選んだ食材も入れるといい。」
板チョコの銀紙を剥がし、そのまま鍋に放り込んだ。カラフルなスパークが飛び交い、夏祭りの花火を想像させてしまう。おっと、危ない危ない。
「耳…」
夢、それはもう諦めて。これでも僕の大切な体のパーツなんだ。
「で、隊長。これからどうします?」
「ふむ…。この“ケイの萌えメーター”が一杯になったら完成としよう。」
とりあえずそのメーターとやらを踏んで壊しておいた。捨てるのが面倒くさかったので、鍋に入れました。だんだんいろんな不純物が混ざっていくな…。残り時間は後一時間半。
「じゃ、これからトランプでも…」
「おらぁ!“神速”どこじゃぁ!!」
バリンバリンと一枚一枚丁寧に窓ガラスを割りながら校内を進むのは、不良の皆さん。あ、因みに神速って言うのは僕の昔のあだ名。あまり話したくないけどね。
そしてとうとう家庭科室の窓が割られ、不良が入ってきた。全員金髪オールバック。
「いやした、神速の餓鬼ですぜ!」
チンピラみたいな奴が叫ぶ。まったく。
「蛇慰案戸さん。こっちです。」
不良3人に連れられて入って来たのは馬鹿でかい男子。身長は目測3m位だろうか?マジででかい。
「あいつが神速でさぁ。蛇慰案戸さん、ぶっ潰してくだせぇ!」
良く見たら普通の身長の不良って、買い物帰りに潰した一人じゃん。折角ゴミはゴミ箱に戻して、町の清掃活動に貢献してあげたのに…。ゴミが自分から這い出てきちゃってるし。しかも粗大ゴミつれて来るとか…。
「む、アンパンには牛乳…」
蛇慰案戸君が心に秘めた一言を言ってくる。ごもっともだね。さて、僕はバックレるよ。面倒ごとは嫌だからね。それに、渚の怯える顔なんてもう見たくないし…。
「ケイを守るぞ。萌えの貴公子を守るのだ!」
『おー!』
翔太を筆頭に、たくさんの男子がゴミに立ち向かっていく。しかし、あの蛇慰案戸と呼ばれた不良が腕を振るうと、風圧だけで吹っ飛ばされた。まぁ、翔太は怪我をしないだろう。そう言えば先生は何やってるのさ。ライフル銃持ってるなら応戦しなよ。
教卓を見ると、鬼曹長先生は今だナイフとフォークとナプキンをオプション装備してプルプル震えていた。見る限り、不良に怯えているわけでも、怒りが滾っている訳でもないらしい。あれは…、
お腹が減っているのだ。そう言えばあの人、お昼ご飯食べてないみたい。あの調子だと朝食も抜かしているのだろう。どれだけ生徒の作る料理(?)に期待かけてるんですか?
「ケイ、済まない…。君に俺の内秘めたる思いを伝えられぬまま…グフッ…」
息絶えた翔太。ピピルピルピルでお馴染みの呪文で復活するまでそんなに時間は掛からないと思う。さぁて、僕は窓から逃げようかな…。
「ガムは油に弱い。神速、この蛇慰案戸・馬鹿が相手だ。」
うわ、プロレスラー紛いの名前が、凄く痛い中二病真っ盛りの名前に聞こえるよ。でもね、僕は逃げるんだ。ゴミ溜め場には何時までも居たくないからね。
「殴りこみ犯は此処か~!!」
蛇慰案戸君以外を吹き飛ばして登場したのは、ツインテールが特徴的な女子の先輩。3年生。名前は大西雅と言って、生徒会長の超人さん。ちょっとした知り合いなんだけどね。兎に角強い事はここでお断りしておこうと思う。
「貴様ら、私の可愛い弟である慶斗に手を出そうとするなんて、地球が滅亡してからでも早いわぁ!」
それに、翔太並にネジが外れていることもお断りしておく。
「俺達は神速のガキに用があるんだよ。女は引っ込んでろ!犯すぞ!」
「貴様ら、私の慶斗の過去をほじくる様な事を言って…。ただで済むとは思わないでよね?神速の代わりに獣使いの私が相手してあげるわ。」
あ~あ、怒らせちゃった…。僕知らないからね?
「秘儀、ミャオミャオ!」
「はぁ?」
大西先輩を始めてみた人に説明するね。大西先輩は獣使いとも呼ばれる拳法の達人で、すごく強いんだ。
「うぎゃぁぁぁぁ!」
「フゥゥゥゥッ!」
とまぁ、自分の深層意識から動物を引っ張り出して、自分の人格に上書きするみたい。よって、心と体が引っ張り出した獣と同じになるんだってさ。
「リンゴにはレモン汁、蛇慰案戸・馬鹿。出陣…」
「体積だけが取り得の癖に。秘儀、パオーン!」
さっきまで爪で不良を引っ掻きまくってたと思ったら、今度は蛇慰安戸君のあの巨体を投げ飛ばしてしまった。僕ならNASAの協力無しで宇宙旅行が出来ると思う。足元に転がる不良をキッと一睨みすると、三人の不良が蛇慰安戸君を担いで逃げていってしまった。
「慶斗ぉ~。怖かったよぉ~。」
「先輩どうもありがとうございました。」
子猫被ってるだけなので、甘えは無視する。
「撫でて撫でて~。」
「はいはい。」
是やらないと全然離れてくれなくて。先輩も先輩でゴロゴロ言いながら喜んでるみたいだし。僕にとって、先輩は相談役みたいな感じで、あの時以来困ったときは先輩が助けてくれる。代償がコレだけど、良く考えれば安いものだと思う。
「獣を飼いならす獣使いを飼いならすとか、萌え…」
君はまったく懲りてないらしいね。馬鹿は死んでも直らないって言うけど、君の性格はたとえ転生したとしても直らないだろうね。
「先輩、授業は良いんですか?」
「うん。生徒会長権限で授業は終わらせてきたから。」
明らかな職権乱用ですね、先輩。どうやったらそんな事が出来るか教えてください。僕の都合のいいように有効に使わせていただきます。
「宇津木二等兵、爆弾とは何か。五文字で答えよ。」
「ドッカ~ン」
「すばらしい答えだ。だが、96点といった所であろうな。」
「満点回答はいかがなものでしょう。サー。」
「“慶斗萌え”だ。何度も言うが、朱雀一等兵は萌え要素の塊であり、全世界の真理である。君は朱雀一等兵が好きかね!?」
「そ、それは…。こ、答えかねます。サー。」
「馬鹿者!志高き海兵隊に曖昧な答えは通用せん!因みに私は愛しているぞ!宇津木二等兵、もう一度聞こう。君は朱雀一等兵が好きかね!」
「青龍隊長が大ッ嫌いで有ります。サー!」
何をやってるんだか。話の筋が見えない。それに、夢がこんな僕を好きなわけが無い。彼女は渚の為に僕と一緒にいるんだ。渚が僕に傷つけられない為に。こんな僕、暴力しか振るわなかった僕に対等に渡り合えたのは夢だけだったから。
「どうしたの?慶斗、寂しそうな顔して?」
そうそう、大西先輩も。力で言えば対等以上に僕を追い詰めることができる。ま、今はそんな話どうでもいいんだけどね。お気楽に行こうよ。