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darkness ~消せない過去~

~前回のあらすじ~

先輩に食べられてしまう所を救ったのは、青龍翔太。異常な性癖を持つ彼だが、実態はただのサンドバック。百合っ娘、瀬波瑚南の作り出す桃色空間はこの世の物ではない。担任・鬼軍曹に占拠された国の政策で、朱雀たちは一日家庭科の授業を義務付けられる。軍人コントを繰り広げる中、朱雀は一人、作戦目標である『食べられるナパーム弾』の作り方を探すのだった。


~予告~

朱雀の過去に少し触れます。

と、言う訳で僕達は近くのスーパーへ買い物に来ました。とりあえずヤシの実を買わないとね。


「行くべや。」

「んだんだ。」

良く分からないコントを今だに繰り広げる二人は無視して、早速行きましょう。コンビニで必要な物は揃えてしまう僕なので、スーパーに来るのは本当に久しぶり。是だけ品揃えが良ければ、ヤシの実も買えるね。果物の類だと思って、果物コーナーに向う。だけど…


「無いね…」

結果から言えば、無かった。一番近いと思うのはココナッツ。気を取り直して、とりあえずGET!後は兎に角“燃える物”を買えばいいんだよね。かつ、食べれる範囲で。


「たいちょ~お!ヤシの実発見いたしました!」

走ってきたのは瀬波さん。手に持っていたのは『ヤシの実洗剤』。分かる気はするんだけど…。まぁいいや、GET。そう言えば、さっきから夢の姿が見当たらないな…。


「人間って、おもしろ…」

振り返れば、ビニール袋に大量のリンゴを抱えた夢がいた。どこの死神さんですか?それに、会計済んでないから食べないでね。さり気なく籠の中にリンゴを放り込んでるから、なんとなくGET。


「あ、蜂蜜切れたんだっけ。ついでに買っておくね。」

渚も何処かへ行ってしまう。あの足取りだと、何処に何があるのか完全に把握している模様だ。じゃ、僕らも他の材料を買いに行こうか。要は辛いものならいいんだよね?タバスコ、鷹の爪…。


「待て、ケイ。隊長たる俺の話を聞け。確かに爆弾から炎、そして燃える物を連想するのは悪い事ではないと思う。うん。」

もったいぶらないで、早く言って欲しいな。時は鐘鳴る法隆寺だからね。


「わ、分かった直ぐに言うから拳を下ろしてくれ、マイハニー。」

次はその口、喋れない位ぐちゃぐちゃにして上げるね。


「分かりましたから。でですね、わたくしめの言いたいことは、もしかしたら朱雀一等兵は『もえる』を勘違いしているのではないかと。…即ち、本当は『萌える』であり、真の材料は二次元アニメのフィギュアではないかと…」

殴って殴って蹴って千切って投げておいた。かわいそうとは思わないさ。言うのが悪い。


「夢、何入れたい?」

「けー君の耳」

無視。あ、渚が蜂蜜もって戻ってきた。


「これこれ。」

籠の中に蜂蜜を入れると、翔太が怪訝そうな顔をした。何か蜂蜜に思い出でもあるのだろうか。ネチョネチョベタベタのトラウマとか…。


「えっとさ、わざわざリンゴと蜂蜜買うなら、こっち買った方がいいだろ?」

そう言って手に持っていたのは、リンゴと蜂蜜のフレーズでお馴染み、『バーモ○ドカレー』。いや、理屈はあってるんだけど、それって何かもっとたくさん入ってるからね?でもいいや、GET。


一応此処までの品物を確認してみよう。

・ココナッツ

・ヤシの実洗剤

・リンゴ

・蜂蜜

・バーモン○カレー

後はお米だね。


「うぬぅ…。足りない、何かが足りない。」

唸っているのは翔太。翔太は顔だけはいいから、何も知らない女の子が見たら惚れる顔だよ?


「俺は隊長として足り無い物を探そう。朱雀一等兵!是より隊の指揮権を一時的に譲渡する。」

「私も同行させてください!」

「良かろう宇津木二等兵。着いて来い!」

「ラジャ!」

お笑い芸人の二人は行ってしまった。…そう言えば、瀬波さんの姿が先ほどから見えない…。何処に行ったんだろ?


「♪子、づ、く、り、しましょ」

なんと言う歌を昼間から歌ってるんですか、瀬波さん。しかも人前で。手には紙袋を抱えていた。隣の薬局の物のようだ。足取り軽く此処までスキップしてきた瀬波さん。やっぱり渚に抱きついた。


「私は自分の体が天と地から見放されようとも、魂は君と共に有ることを誓おう!そうとも、私は女子の味方なのだから!」

オスカー女優みたいな台詞だけど、正直敵だよね。


「瀬波さんは何か食用爆弾に入れたい物ある?」

「お前の様なエセ女の質問に答える筋合いは無いが、今日は特別に答えてあげましょう。『女性の全て』よ。あぁ、食べてしまいたいほど狂おしい…。」

エセ女でピキッて来たけど、女の子には暴力は振るわないって決めてるから…。百合っ娘は放って置いて、渚の言ってた熊のぬいぐるみでいいか。疲れて正しい判断思考が鈍ってる気がする。後は僕の好きなチョコレートかな。


と言うことで、三頭身ばかりの白い熊のぬいぐるみと、カカオ67%のチョコレートを含めた品々を購入し、僕らはスーパーを後にした。でも、その帰り道なんだけど、不良っぽい人たちに囲まれた。渚は勿論だけど、瀬波さんもそれなりの美人だからね…。


「うおっ、女の子三人だと思ったのに、こいつ男じゃん。すっげ~。童顔少年初めて見たぜ。」

金髪の不良が僕を見てそう言った。へぇ…。僕を女の子に見るんだ…。琴線にふれたよ?


「なんと、是は神様からの試練。いや、チャンスだ。ここで私が卑しき下郎野郎をのせば、渚はこんなエセ女の魔の手から逃げ出し、私の元に来ることが出来るに違いない!」

瀬波さん?今何て言ったの?僕がエセ女だって?僕そろそろ限界だよ?堪忍袋を縛ったチタン合金の鎖が千切れちゃったよ。この怒りの矛先何処に向ければいい?翔太がいないから代わりを用意してくれてるのかな?あぁ…、既に用意されてるじゃん。僕の目の前に二つもターゲットが、しかも男ならデリート許可だし…。


「お前どっちにする?俺こっちの娘…グバァァツ!!」

「ひでぶぅっ!?」

どうしたの?それでも不良?脆いね。ちょっとだけバックステップしてから全身をバネにして、地面を蹴って速度を全て体重に乗せてカウンターを決めただけじゃん。もう一回行くよ?ゴミはゴミらしく屑篭に戻ったら?


再び不良に近付いて空中に投げ上げる。相手が防御に出る前にコンボ技を決めて道路脇のゴミ箱にダンクシュート。地面に着地すると、最初のバックステップ前に投げ上げたブレザーが落ちてきた。それをキャッチして着直す。まったく、無駄に時間を取らせて。


「一昨日出直せ、クズ共。“神速”に抗おうなんて、未来永劫無理だから。」

「け、慶斗ぉ…。」

渚が僕を怖い物を見る目で見ていた。瀬波さんも何時も僕に対する様な態度でなく、ビクビク震えている。ゴメン、僕、一瞬だけ昔の僕に戻ってしまった…。その一瞬だけでも渚を怯えさせるには十分らしい…。


「渚…」

「慶斗、だめだよ…。昔みたいにはもう戻りたくないよ!」

「ごめん。ごめんね…」

「…私は、大丈夫。さ、学校戻ろ?」

「うん。」

「待てぃ!私を無視するつもりかぁぁぁ!?お、お前の様な訳の分からぬバイオレンスに私の渚を渡せるものか!渚も目を覚ましてくれぇ!!」

瀬波さんは無意識で言ったんだと思うけど、僕の心にはグサッと来た。そうだね、僕は暴力しか揮えない最低な奴だ…。


「私が付いていてあげる。」

渚が両手で僕の片手を優しく包み込んでくれる。渚が是をしてくれると、本当に落ち着いた気分になれる。ありがとう、渚。

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