表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/64

target ~萌え要素~

~前回のあらすじ~

豚になった青龍と玄武とライアン。豚は豚らしく生きるという心情の元、玄武は食肉加工上に、後の二匹は漫才師となるべく日々練習を重ねるのであった。


~予告~

これは…萌え要素なのか?

 そう言えば、あの純粋な女性教師の二人組(ヤクミン&鞭教師)がいなくなった後、翔太とライアン君こと、豚1と豚2がいなくなった事を追記しておくね。きっと餌でも探しに言ったのだろうと思う。

 さて、後片付けも済んで今は午後二時を回った所。先生の号令で集合した僕達。本当に翔太の姿が見えないけど、どこに行ったのだろうか?そうそう、遥の話に寄れば、東谷の生徒のあのエセ外人的な名前は偽名らしい。因みにライアン君の本名は“田中元太郎”らしいよ。

「これより軍閥会議を始める。伝えるべきことは少しだ。敵が近いぞ、早急に仕事に取り掛かれ!」

『サーイエッサー!』

「北川部隊は夜のキャンプファイアーと肝試しに向けて準備、それ以外の部隊は実技訓練とする、北川部隊、ヤクミン軍曹に続け!」

『オー!』

 北川高校は去って行った。しかし、釘バットとかチェンソーを持っているのが気にかかる。あれは肝試しじゃないね。ただの恐喝だと思う。

「残りの部隊には実技訓練の内容を話す。作戦内容は“かくれんぼ”だ!しかし!ただのかくれんぼだと思ったら大間違いだ。見つかっても尻尾を取られなければ大丈夫という特別ルールを加える。」

 尻尾?翔太たちじゃあるまいし…。と思っていたら、ピンクフリフリが何かのリボンみたいなものを配っていた。西花の鞭教師も配っている。鬼曹長先生の話に寄れば、これをズボンに差し込んで取られたら負け、取ったら勝ちらしい。

「因みに一番リボンを取ったものには勲章と賞品をやろう。時価、金と同じ値段。いや、…それ以上で取引されたものだ。言っておくが、これは共同作戦ではない。お前以外が全員敵だ。フリーフォーオールなのだ!我々教師も参加するぞ。ただし…、徒党を組む事は禁止にしていないからな。チームを組むもよし、裏切るのも何でもありだ!最後に、尻尾を取られて失格となった者はここに集合。5分後に開始、5時までを期限とする!散れぇっ!!…武器OKだからな…」

 皆がズボンにリボンを挟んで思い思いの場所へと動いていく。僕は失格者用に設けられた場所を見た。“死人置き場”と書かれている。あの先生は何を考えているのだろうか?

「けー君、一緒にいてもいいよね?」

「慶斗…。」

 あ~、ゴメン。今回は無しにして。木の上でお昼寝しようと思ってるんだ。賞品?少しは気になるけど、鬼曹長先生がくれる物にあまり期待は掛けない方がいい。だから、僕は寝るんだ。

「あれだよな、こういう時だったらお触りしても事故で済むよな?」

「そうだな、ゲヘヘヘ…」

 前言撤回。渚と夢は連れて行く。

「しょうがないね、二人とも木登りは出来る?」

 皆で木の上でお昼寝をすれば、問題無く僕が決めた任務を遂行できる。僕はライセンスを持っているからね。あぁ、今のネタだから気にしないで欲しいな。

「私は出来るよ、けー君。」

「私は…出来ない…。」

 そうだった。渚って言っちゃぁ悪いけど、運動音痴だもんね。それに高い所も苦手だった気がする。さて、どうしようか…。こんな時の為のラ○フカード。


“渚は夢に任せる”“一緒に逃げる”“さっさと失格になる”“無理矢理木に登ってもらう”


一枚目と四枚目は嫌だなぁ。だからって三枚目も癪だし。消去法で二枚目か。

「わかったよ、渚。一緒に逃げよう。」

「うん!」

 こうして、僕と渚と夢の逃走劇が始まったのだった。



「くくくく、朱雀慶斗、椎名渚、宇津木夢。君たちはまず一番最初に潰してあげるからね。くくくく、あはははは…。あれっ!?ぎゃぁぁぁっぁぁ!」

 この時はまだ知らなかった。モニターを介して僕らを監視している存在に…。



「なんで僕らにばかり攻撃が…っ!」

 僕の横を通り過ぎていくマシュマロを避けながら叫ぶ。先程から飛んでくるマシュマロを僕が避けて、夢がはじく。それを渚が袋に詰めるという三段アクション。どうやらキャンプファイアー用に残しておくらしい。それにしても、先程からのこの攻撃量は何だ?四方八方からマシュマロが殺到してくる。それにしては誰も僕らの尻尾を取りに来る様子が伺えない。まぁ、マシュマロに当たった所で痛くも痒くも無いんだけどね…。

「この包囲突破できると思う?」

「無理だよけー君。隙間無く埋められてるよ。」

「慶斗…、そろそろ袋が一杯だよ…。」

「こういうときにあの変態しょうた犠牲者げんぶがいない…。」

 次の瞬間、マシュマロ攻撃がやんだ。まるで強烈な通り雨のようだった。

「はーはっは、どうだったかな?俺様のマシュマロ攻撃の感想は?」

 現れたのは、南陽の体操着を着た男子だった。軽くツンツンと逆立てた茶髪に体操着を着崩す格好。まぁ、俗に言えば格好良い部類に入るんだろう。

「そこ!今俺様のことを男だと思っただろ!俺様は女子だぁ~!!」

 痛い!俺様キャラの女子。これは痛すぎる。

「まぁいい。此方の勝手な都合により、朱雀慶斗、君を排除する。」

「なんで?」

「ふむ、理由も言わずに排除するのは良くないか。教えてあげよう。俺様はな、お前が気に入らないんだよ!」

 理由がそれ?いやいや、具体性が無さ過ぎる。

「もう少し深い話をしようか。俺様はこう見えても女だ。周りからはボーイッシュな女子として見られている。俺様はこれを一つの“萌え要素”だと考えている。しかし!南陽高校には俺様以外にそのスキルを持ち合わせている奴がいたのだ!それが貴様、朱雀慶斗…。いつもいつも君の金魚の糞に“萌えの塊”などと言われて!萌えの称号を欲しいままにしていいのは、この俺様だけだ!」

 どこが深い話だったのだろうか。僕にはただの理不尽話にしか聞こえなかった。は?萌え要素が何だって?僕には関係ないだろ?好きでこんな容姿に生まれたわけじゃない。お門違いも程ほどにしてもらいたい。君なら翔太といい友達になれるよ。

「理不尽だというのは重々承知の上だ。だが、これから話す事は君にも関わることだ。良く聞け。いいか、ボーイッシュな女子とガーリッシュな男子がいたら、周囲にいる人間はどう思うか?…そう、カップリングを成立させようとするんだ!俺様の好みはもっと男らしい人なのでね。すまないが、君では物足りない。しかも、その派閥はかなり大きい組織になってしまったらしいのだ。もし、俺様と貴様が抵抗しようとも、力の差が大きすぎる。だから俺様は考えた。“朱雀慶斗を消せば少なくとも俺様は救われる”と。さぁ、朱雀慶斗、大人しく俺様に倒されろ。なに、命を取るわけじゃない。ちょっとその女っぽい顔に少し足せばいいだけだ。取り合えず“描き眉”から始めようじゃないか。」

 じりじりとマジックペン(油性)を持ちながら近付いてくるその人。いや、その理由も理不尽すぎるから。

「待ちなさい!そこの無礼者!」

 突然聞こえた声。そこには、またまた南陽の体操着を着た女子の方々が。いや、西花の人も混じってる?

「朱雀ちゃんの顔にイタズラ描きをするなんて、古今東西老若男女数世紀先にも許されないの!」

「私たち、朱雀慶斗ちゃん護り隊+α!」

 高らかに叫ぶと、爆発がドドーン!とはならないよね…。その数20人程度だった。僕とボーイッシュ女子の間に立ちふさがる。

「なんだね君たち、俺様の邪魔をしないでくれるか?」

「無理ね、私たち一年生支部が相手よ。」

 瀬波さん?なんでこんな所に!?あ、そうか、僕が渚たちと一緒にいるから駆けつけたのか。あれ?夏休み以降まで出番無かったんじゃ…。

「ふっ、私は渚たちのいるとこなら火の中水の中、竜巻の中なのよ。さぁ、我が敵“麒麟”。私たちが相手よ。」

「仕様があるまい。ここは一旦引く事としよう。俺様だって対多数を一人で相手する程バカでは無い。朱雀慶斗、夜道には気をつけることだな!」

 そう言い残して去って行った。なんだか面倒くさい事が増えたなぁ。そう言えば、あの人の名前麒麟って言うんだ。それにしても、何気に尻尾が増えた。瀬波さん達が言い争ってる間に僕達が勝手に抜き取ってた。ラッキー。賞品がくだらなくても、勝負に勝つっていいからね。“さぁ、渚に夢。バンクーバーへ行こう!…っ!?尻尾が無い?これでは私はシタイオキバーに行くはめに…。おのれバイオレンス朱雀、謀ったわね…。この恨みは…”とか言ってる瀬波さんは無視して、僕らは適当に動き出すのだった。

萌えの称号は、渡さない!(by 麒麟)


・ピンクフリフリ(本名:克美)

東谷高校のオカマ教師。いつもピンクのフリルのついたドレスを着用。男子を主食とする。アフリカ南部奥地原産

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ