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breakfast ~くじ引き~

~前回のあらすじ~

夢の世界で女神様より与えられし氏名を完遂せんと企む朱雀一行。途中で出会った魔王を仲間に加えたパーティーは微妙ながらも勇者討伐作戦を終えたのだった。


~予告~

慶斗、鬼畜とか萌え…(笑)

「ん…」

 何だか変な夢見てた気がする。イマイチ思い出せない。いや、思い出したくないかもしれない…。一度伸びをしてから腕時計で時間を確認する。朝6時半。何時もより早い起床時間。だけど、7時半には外でラジオ体操させられるから、二度寝は良くないか…。

 そう思って起き上がる。その時、手が何かに当たった。布団じゃない…。もっと柔らかい感じがする。手に目を向けた。

「ぁん…」

 待って、一度考え直そう。僕の右手側にいたのは自称ライオンの猫、いや渚だ。そして僕の右手は彼女の胸元に…。

「うひゃぁ!」

 起きてないよね!?大丈夫だよね!?驚きながら反対側に仰け反る。そして僕の視界に飛び込んできたのは…。

「夢!?」

 なんで?ぐっ、下半身が重い…。見てみれば遥が抱き付いていた。一度状況を整理してみよう。僕の右側には渚、左側に夢。僕に乗っかっている遥。よし、次は検証をしてみよう。昨日のお風呂じゃないけど、幾つか理由が挙げられる。一つは僕が女子部屋に夢遊病のように入り込んでしまった可能性。二つ目は逆に渚たちが僕のベッドに入ってしまった可能性。そして第三の可能性、実は僕が本当は女の子で、そのせいで女子部屋に送り届けられてしまった事。

 取り合えず、消去法を使ってみよう。三つ目の選択肢は絶対にありえない。そして周りを見渡せば、翔太を始めとしてたくさんの男子がいるから、ここは男子部屋に間違いない。よって一つ目の選択肢も消える。と、なると…。

 渚たちから入ってきたことになる。何故?なんで?why?他の男子が起きてない間に三人を起こして帰ってもらわなくちゃ。翔太なんかに見られたら、“マジで鬼畜とか萌え”とか言われそうだ…。

「渚、起きて。」

「いゃん…」

 ここでちょっとドキッとしてしまった。渚の寝顔なんて始めて見る。何時も僕が起こされていたからなぁ。いやいやいや、兎に角起きてもらわないと僕が困るから。

「渚、渚ってば!」

「慶斗…」

 そのまま渚が抱きついて来た。待ってよ、余計に身動きが取れないんだけど。これは危機的状況なんだよ?ねぇ、起きてるよね?こうなったら起きているという前提で強行手段に…。

「渚、知らないからね。」

 渚のほっぺたをプニッて引っ張った。これなら何か反応があるはず。跡が残らないように優しくだけど。モゾモゾと渚が動き始める。そして…。ギュッて抱きつかれた。え…、ちょっと…、やばいから!だって寝巻き代わりに着てるのって、二人とも薄いTシャツのみだよ?正面で抱き合いながらは色々問題が…。

「けー君、耳ハミハミ…」

 夢ぇ!こう言う時に限って…。ハグゥッ!何時もと舌使いが違う…。何だか何時もより痛いっ。しかも抱きつかないでって。僕を絞め殺すつもり?

「慶斗。」

 次は遥ぁ!?なんで次から次へと僕を羞恥の奥底へと追い込もうとするのさ?これは僕への仕打ちですか?だから起きてってば!

「慶斗…」

「けー君」

「慶斗」

渚が更に僕を強く抱きしめる。夢が更に強く耳をハミハミする。遥も更に強く抱きついてくる。暑い、苦しい、死ぬ…。地獄への三原則が揃ってしまった気がする。今なら死ねる。天国の父さん母さん、今、会いに行きます。


「頭痛い…」

パチッと目が開いたのは渚。一瞬寝ぼけた目をしていたけど、直ぐに目を見開いた。

「ど、どうして…?」

 それはこっちが聞きたいくらいですよ~。目をウルウルさせる渚に何処かキュンとしてしまった僕。だって小動物的な感じなんだもん。

「どうして慶斗が私と寝てるの?私、まだ心の準備がぁ…」

「待った待った!心の準備って何?それに此処は男子部屋。僕が起きたら渚たちがいたの。」

「うぅ…。頭痛いよぉ…。」

頭を抱えて蹲ってしまった渚。

「あの、渚?大丈夫?」

「頭が割れるぅ…スピー…」

「一体何したのさ、渚?」

「そりゃぁ、私があげた酎ハイのせいさ。」

「遥?」

 何時の間にか遥も起きていたようだ。

「うん、こんなの久しぶりだね。そうじゃないかい?」

 確かに久しぶりだけどさ…。それに、渚がお酒飲んだって?遥やっぱり持ってきてたんだ…。確かに遥と僕はお酒には強いよ。だけど耐性なさそうな渚に飲ませるのは…。もしかしてそれが原因?

「そうさ、短時間で酔って、“慶斗のベッドに侵入する”なんて言ってさ、それでついでに私たちも慶斗と添い寝をしただけ。」

 色々問題があると思う。でも一々突っ込んでいると大変だから、これは流そう。問題はどうやって渚を自分の部屋に連れて行ってもらうかだ。

「遥、いい?」

 昔の相棒である遥なら端的な物言いでも理解してくれるはず。え、あれ?なんで顔を赤くしてるのかな、遥?僕はただ渚を自分の部屋に連れて行くのを頼めるか聞いただけなのに。遥だけで力が足りなかったら夢もいれば十分だと思う。

「え、いや、私は本当はOKだけど…、ここは人前だからさ、ちょっと恥ずかしいよ…。」

 弱気になる遥なんて見るの初めてだ。だけどさ、このまま此処に居続けてもやばいよね?恥ずかしいってどう言う事?あぁ、男子部屋にいた事がバレたら恥ずかしいって事か。

「大丈夫だって、素早く行動すればいい話だし。夢と協力もすれば簡単でしょ?」

「宇津木も!?まさか…乱交かい?」

 最後の言葉がよく聞き取れなかったけど、夢に応援を頼むのはあまり快く思ってないみたい。まぁそうか…。昔とは言え、当時は敵対してたから、しょうがないかもしれない。

「そ、それは嫌だ…。私だけがいいんだが…。」

「分かった。じゃぁそうして。」

 顔を真っ赤にさせてる遥。なんで顔が赤いのかって聞こうとしたら、着ていたポロシャツのボタンを外そうとしてる。え、なんで!

「ちょ、ちょっと、遥。何を?」

「慶斗が言ったんだから。アタシはもう止められないよ…。」

「な、僕はただ渚を部屋につれて行ってって言っただけだよ。」

「はい?嘘…。はぁ、そうだね、慶斗ならそれで納得がいくよ。悪かったね。んじゃ、アタシたちは帰るとするよ。宇津木、協力してくれ。」

「うにゃぁ…。あ、けー君たちおはよう。」

 まぁ、なんやかんやで三人は帰っていった。遥は何か勘違いをしていたのだろうか。…どうでもいいか。三人が出て行ってから数分後、翔太が寝るベッドの上段がモソモソと動いた。そう言えば、あそこに眠ってるのは…。

「あんたのツレが言ってたけど、本当に鬼畜だなぁ…。神速。」

「イマイチよく分からないよ。」

「そんな事言っちゃいけませんぜぃ。さっきだってウチの女頭といい所まで行ってたじゃないですかい。しかもベッドに他の女子まで。」

 見てたのか…。

「ま、俺は誰にも言うような事はしやせんけど。」

 コイツは良い奴ではないだろうか?蛇慰安戸君こと天馬君もそうだが、北川の不良は素行に問題は有るだろうが、心まで腐っていると言う事は無いのかもしれない。以前、北川高校とは“当時の僕”が行くべき場所と説明したかもしれないけど、訂正する。当時の僕でも行く資格は無かっただろう。

「そう言えばさ、君の名前って何?」

「俺の名前なんて知る必要はないんでさ。兄貴の名前を知っていればそれで十分でさぁ。」

 それなら聞かない事にしておくよ。蛇慰安戸君も人望が有る人みたいだ。

 その内ゴトゴトと他のメンバーも起き始めたので、僕らも着替えたりと用意を始めるのだった。


 

ラジオ体操も鬼曹長先生の作った第三まで終わらせて、今は朝食を食べている。若者に嬉しいバイキング形式。僕は見かけに寄らず食べる方なので、お皿にたくさん取って来た。主食にご飯とパンを持って来るってこう言うときくらいだと思うよ。


「食べながら聞け!俺も食べながら今日の予定を話す。」

 先生、それは止めてください。と言う訳で、今日の大雑把な予定が話された。話によると、今日のメインイベントは恒例行事である“飯盒炊爨はんごうすいさん”と“キャンプファイアー”だそうだ。そしてお決まりの肝試しである。

 この四校同時オリエンの特徴は、学校の垣根を越えた班分けである。そして、夜の肝試しでは、毎年どれか一校がお化け役に回るのだ。それを決めるのは、この朝食の場。鬼曹長先生とピンクフリフリとヤクミンと鞭打ち先生が並んだ。あっ、ヤクミン生きてましたか…。ま、これがコメディーのいい所でしょう。

「これより俺達がクジを引く。赤い印の付いたクジを引いた軍幹部の部下達、今日の夜に備えて置け!」

 生徒全員の目が先生たちに注がれる。去年は東谷だったそうな。結果から言って“気味が悪い”と言うよりは、“気持ちが悪い”と言う意見が多かったらしい。一年遅く生まれてよかった。

「今だ!引けー!」

 鬼曹長先生の掛け声でクジが引かれた。誰だ、赤い印付きのクジを持ってるの?

「おっしゃぁー!あたしだ!北川のお前ら、今日の夜はハッチャケルぞ!」

『ウォー!』

 どうやら今年は北川高校に白羽の矢が立ったらしい。この結果を去年のと比べてラッキーと考えるか、アンラッキーと考えるかは、人それぞれだろう。

「ふふふ、兄貴、頑張りやしょう!」

「ブラジルの公用語はポルトガル語。うむ…。」

 へぇ、ブラジルの公用語ってスペイン語だと思ってた。ちょっと目から鱗なお話でしたね。

「ぐへへ、今日の肝試しで俺はハーレム王になるっ!」

 ああ言うのは無視に限るね。因みに玄武君だけど。


「飯盒炊爨はマルキュウサンマルを持って開始する。総員同時刻に飯盒炊爨場へ集合せよ。それまでは自由時間を与えよう!」

『ラジャッ!』

 どうやら他の高校にもウチの先生のスタイルが伝わったようだ。

か、かんひょう、ほちぃのぉ~ (by 渚・)

語訳:感想、欲しいの


・瀬波瑚南

前作?からの流用キャラ。幼児体型だったはずが、モデル並みのスタイルになっていた。しかも百合キャラ。元々レギュラー化する予定は無く、次の予定は二編(不良編&夏休み編)以降の“文化祭編”となっている。朱雀慶斗専用コスプレクラブの副リーダー兼、一年生支部長。

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