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dreaming ~勇者討伐作戦~

~前回のあらすじ~

酔った椎名が大暴走。先生を蹴散らして朱雀に夜這い。ついでに宇津木と白虎も続くのだった。そして朱雀と言えば、理不尽な女神様から、これまた理不尽な使命を与えられるのだった。


~予告~

閑話的話です。これ一話限りですので、ご安心を。

「けー君、黍団子ちょうだい。」

「ないよ、夢。」

「じゃ、こっちでいいや。」

痛い痛い痛い!耳を啄ばまないで!ッてな訳で、勇者討伐をする為に旅に出た僕達だけど、実際勇者の居場所がわからない。取りあえず歩こうと思ってたら…


「いたな、勇者を討伐しようと試みる愚か者たちは!」

急に目の前に現れた黒いローブと黒いマントを羽織った人影。声色から言って男だろうけど…。この声どこかで…。あ、

「翔太、何やってるのさ?」

「俺は青龍翔太などと言う萌えを愛する者は知らない!俺様は魔王だ!」

 マントをバサリと脱ぎ捨てると、そこにいたのはやっぱり翔太。まったく、皆して何やってるのさ。…あれ?今魔王が、勇者討伐を阻止しようとしてるよね?待て!なんで既に魔王が勇者に使役されてるのさ?

「“萌え”に没頭するあまり、不意を突かれてしまった…。だが、俺は新たなる勇者が来るのを待っていたのだ。萌えを純粋に受け継ぐ者、それが真の勇者だ。ケイ、君こそが真の…グアッ」

 言わなくても分かるよね?そう、正解は、自称狼の遥が自称魔王の翔太に噛み付いたのでした。

「兎に角、勇者の所に案内してね。さっさとこんな夢なんて終わらせたいから。あぁ、夢、君のことじゃないよ。」

 後ろでガビーンとなっている夢を引きずりながら、翔太の案内で勇者の所へ向う僕らでした。そう言えば、一つ引っかかることがある。最初女神さんによれば、勇者軍は“勇者”と“戦士”と“策士”と“魔法使い”が二人だって聞いてたから、ルームメイトのあの5人かと思ってたんだ。だけど、ここに翔太がいるって事は…。足りない一枠、誰が何やってるんだろう…。まぁいっか。

 で、付いた所が、“まおーの家”と看板の下がった掘っ立て小屋だった。

「ようこそ、我が家へ。さぁ、ケイ。心行くまで萌えを体験しようじゃないか…。」

「全員突撃~。」

『オー』

「え、あれ、ちょっとケイ。これはのほほんとしたアメリカン・カニ缶ジョークだよ。あはは、ジョークだってジョーク…。」

「僕、ジョークを理解できるような広い心は持ってないんだ。じゃぁね、死ね☆」

 僕の予言どおり、まおー様はお星様になりました。その後、適当に武器があるかなぁって物色していたら、“せいりゅうしょうた”と書かれた魔法の杖とかあったので、もらっておいた。近くに“魔法入門一年生”と書かれた教科書もあったので、拾っておきました。さぁ、早速勇者討伐に行くぞ。

 意気揚々と出てみれば、大きなお城がドーンと構えていた。看板が立てられてあったんだけど、“まおーのお城”のまおーと言う文字の上から、“ゆーしゃ”と張られていたので、勇者が魔王から奪ったと容易く考察できた。その末、魔王は追い出されたという所か。


「たのもー。」

 僕が門を叩くと、豚顔の門番兵が出てきた。元魔王の部下なら、魔物といった所だろうか?

「何をご注文でしょうか?」

 そういう頼むじゃないんだけど…。

「…じゃ、勇者一行で。討伐しに来ました。」

「かしこまりました。オーダーはいりました!勇者一行討伐コースです!」

 よく分からないまま、僕達は広間に案内された。飲み物のサービスを受けながら待ってると、5人の人間が現れる。

 “ウザイ魔法使い”こと、東谷のあの二人。“無敗戦士”こと、蛇慰安戸君。“策士”はもう一人の北川の腰巾着。そして、“勇者”は…、玄武君だった。いや、何で玄武君が此処に来てるのさ。あ、分かった。アレでしょ、当て付けってやつ。


「君たち、俺の事をを討伐しに来たの?いや~、有名になっちゃったものだなぁ、俺達。」

照れるぜ、とか言いながら頭を業とらしく掻いている。あぁ、本当に討伐したくなってきた。

「ガムは油分に弱い。俺達を倒そうとしても無駄だ。無敗戦士の俺がいる限り。」

なんか威厳ある。一番フィットしてるんじゃない?背丈とか。

「成程、この討伐隊はあまり組織されてから日が浅いと見えたぜぃ。勝率はかなり高いぜ、勇者様。」

 冷静に判断する策士。うん、彼が一番勇者っぽいかもな。

「さぁ、アニメが始まってしまう。さっさと蹴りをつけてやろう。ライアンとジョー、魔法で一気に吹き飛ばしてしまえ!」

 二人の魔法使いが前に出た。バラを片手に持って。ウザイ、雰囲気がウザイ。


「遥、戦闘態勢で頼むよ、夢は上にいて。渚、防御に使えそうな魔法を探して。」

 僕も負けじと指示を出す。その間にも、二人の魔法使いは呪文を唱え始めた。

『風よ吹け』

 風で僕らを吹き飛ばすつもりなのか。くそ、渚何か防御呪文は?って、あれ?何で三人でトランプしてるの?大富豪?それともババ抜き?その瞬間、風が吹いてきた。トランプが舞い散って行く。このまま僕らも飛ばされるのか?と身構えるが、風は一向に強くならない。魔法使いの二人を見ると…

「あぁ、この風に吹かれて俺は更に美しくなる。」

「風よ、俺達をクールに包み込みたまえ…。」

 結局はナルシストだった。

「おい、二人とも何やってるんだよ!」

「勇者様、大丈夫です。これ位は想定の範囲内。そして此方には無敗戦士の兄貴がいます。」

焦る勇者に、それをなだめる策士。そして鼻息を荒くする戦士。今度こそやばい気がしてきた。その時、後ろからイヤ~な感じがしてきて、振り向きたく無いと思いながらも振り向いてしまった。


「折角私がダントツトップだったのに…。めちゃめちゃにした…。」

黒いオーラを放っていたのは、猫の気ぐるみを着た渚。どうやらさっきのトランプを根に持っているらしい。僕の制止も聞かず、走り出した。

「にゃにゃにゃにゃっ!」

目にも留まらぬ速さで引っ掻く渚。その相手は蛇慰安戸君。お~い、相手が違うよ~。…まぁいいか。

「猫は泳げる。うぅ…」

ドシーンと派手な音を残して、無敗戦士ジャイアント君は倒れた。引っかかれたくらいで呆気ない。こちら側に戻ってきた渚もフゥーッと唸っている。


「渚、お疲れ?」

「ごろにゃ~ん…」

喜怒哀楽の激しい猫だ。


「おい、どうするんだ、無敗戦士がやられたぞ!」

「う~ん、予想外でぃ。兄貴がやられるなんて…。まぁ、本当の事言えば“無敗”の意味は“負けたことが無い”だけであって、何時も引き分けだっただけでさぁ。勝ったのは…、2回くらいでしょうかねぇ。」

うわぁ、日本語って難しいね。で、残りは使えない魔法使いを除いてあと二人。


「こうなったら勇者直々に出向いてやる。」

剣を抜いて構える玄武君。

「玄武君、震えてるよ?」

「ふ、震えてなんかいない!そ、それに今まで仲間に任せて一度も戦ったことがない事なんて、あ、ありえないんだからな!」

あぁ~、そうなんだ。一度も喧嘩とかした事無いんだ。へぇ…。それなら僕の拳でも通用するかもね…。夢の中だし、少々痛めつけても大丈夫だよね?

「じゃ、勇者様、討伐隊長の僕が相手をするよ。」

「く、くるならいつでも来い!」

「待て待て待て~い!」

大声出しながら入ってきたのは、翔太(自称魔王)だった。手には“syota seiryu”と書かれた魔法の杖を持っている。きっと中二病真っ盛りの時に買い換えたのだろう。


「勇者め、俺が相手だ。ケイ、危ないから下がっていろ。なぁに、自分でけじめ位はつけられる。心配するなって。その代わり、この戦いの後、俺と共に…」

奇怪な音を出して魔王は息絶えました。その代わり、朱雀討伐隊長は“魔王バット”なる新しい武器を手に入れたのでした。


「今度こそ勝負だ。」

「望む所。」

僕の攻撃。思いっきり魔王バットを振りかぶる。それを勇者に投げつけた。あからさまに用途の違いすぎる攻撃方法により、勇者は不意を突かれてまともに食らってしまう。


「グフッ!わ、我が人生に一点の悔い無し…。本当を言えばハーレムを作りたかった…」

勇者あっけなく死亡。よく魔王倒せたね?まぁ、翔太だし、素で強い蛇慰安戸君がいるから別か。


「くくくくく…、あはははははっ」

突然高らかに笑い始めたものがいた。その声は聞く者全てを不快にさせるのではなく、いやに清々しささえ感じる声色だった。まるで、自分の計画が全てうまく言ったかの様な。笑っているのは誰だ?二人の魔法使いは論外。勇者こと玄武君は既に昇天済み。蛇慰安戸君は渚の攻撃で物が言える状態ではない。と言う事は…。


「そうでぃ、俺が黒幕ってなわけだ。」

策士だった。何この展開。ありきたりの上に意外だ。


「お前を倒せば俺は起きられるのか?」

「じゃねぇの?」

「じゃ、躊躇い無く。」

僕は再び魔王バットを構える。すると、策士は魔法使いを二刀流で構えた。ヒドッ!二刀流とか卑怯じゃん。でもなんとか僕も二刀流を魔王バットではじき返していく。


「ケイ、これは俺への試練か?それとも愛情表現なのか?」

「強いて言えば、有効活用?」

そんなくだらない話をしながらも、戦いは続いていく。二刀流の上に策士の戦闘能力が高い。


「渚、夢、遥。総攻撃。」

「ワイルドカード発動。色は青で。」

「えぇ!もう少しでウノって言えたのに…。4枚引かなきゃ。」

何で大将戦の最中にUNOやってるのさ?それに何でカードゲームにこだわるのさ!


「隙ありぃぃっ!」

うわっ!魔王バットが弾き飛ばされた。つまり僕は丸腰に…。魔法使いソードその1が振り下ろされた。思わず目を瞑ってしまう。もしかしたら、倒されても夢から覚めるんじゃないか?そうだ、そうに違いない!


「ぐうっ…、け、ケイ…。僕は君の盾になることは出来たかい?」

攻撃を受けたのは魔王しょうただった。ゴボッと血を吐いて息絶える魔王。大丈夫、これ、コメディーですから。ポイッと魔王バットを捨てて、夢からニッケル合金製のゴツいバットを借り受ける。


「そーりゃ」

魔法使いソードを薙ぎ払う。某アニメの主人公と同じように半身がきれいに無くなり、真っ赤な噴水が吹き出た。


「きったねぇ花火だ…」

これまた某アニメの台詞を言ってみる。しかし、策士はわれ関せずといった感じで、残った下半身同士をくっつけた。寄ってらっしゃい見てらっしゃい。世にも奇妙なオブジェの完成だ~。あれ?そこの人、どうして逃げるんですか?


「これでハンデは無しでぃ。第二ラウンドと行こうじゃないですかい。」

「OK。魔法カード発動、『融合』!犬猫燕を指定。エ○カリボルグに憑依。」

すると、渚と夢と遥がそれぞれピンクと黄色と水色の光になって僕の棘付き棍棒に融合した。


「完成。ヤクミンソード」

説明しよう。ヤクミンソードとは、熊に食べられてしまったヤクミン先生の魂を熊共々召還し、攻撃に使えるという代物である。洞爺湖と言う木刀の隣で売られています。


「召還。」

目の前にホログラムと思わしき映像が流れた。必死で逃げるヤクミン先生とそれを追う熊。それは一直線に策士へ向う。


「ヤクミン先生!?なんでこんな所にぃぃぃぃ!?」

そのまま轢かれてしまう策士、その後ヤクミンは熊に食べられるのだった。僕は意図的に召還を止める。なんかしっくり来ないけど、よし!勇者討伐は終わった。僕は起きられる、のかなぁ…?

けー君と私のカップリングに賛成の人挙手~。(by 宇津木)


・宇津木夢

朱雀のクラスメート。実は昔は不良で、朱雀と白虎に敵対していた過去がある。何かの所以で朱雀に好意を持つのだが、それは“不良編(仮)”で明らかに。

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