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friendship ~仲間意識~

~前回のあらすじ~

突然現れた熊は、ヤクミンを食べてパワーアップ。その力は北川の不良を圧倒するほど。それを見かねた神速こと朱雀と、神技こと白虎のゴッドコンビによって倒され、おいしく頂かれました。


~予告~

今回は朱雀が出ないので、第三者視点からお送りいたします。

湯煙立ち上る中、天然温泉の一角で話し合いが行われていた。その中心にいるのは玄武大那。あの玄武だ。バスの中で五月蝿い上に朱雀・青龍の策略にはめられた玄武だ。彼は周囲の男子たちを見回し、そして後ろに立ちはだかる険しい崖を忌々しそうに見た。実は彼の部屋、人数調整の関係により、彼以外のルームメイトが北川高校の生徒と言う状態に置かれたいる。だが、それはまた別な話。


「此処に集いし同志達。時は来た。今こそ我らが野望を達成するときだ。」

『オー!』

玄武の掛け声にむさ苦しきおのこ共が雄たけびを上げる。しかし、その声は周りの人間に悟られぬよう、小さくだ。


「我々はこの日の為に多大なる準備をしてきた。学校と言う垣根を越えてこの精鋭チームを組織し、役割分担から先人への聞き込みまで行ってきた。浪費した時間と金、犠牲になった者たちの数は底知れず。だが、我々は今こうやって本番の部隊に立っている。皆の協力を感謝する。」

恭しく頭を下げると、ささやかな拍手が送られた。さて、彼らが何を画策しているのか。話は簡単だ。“女湯を覗きに行こう”と言う物。集まっているメンバーは総勢20人。全員己の欲望に忠実な者ばかりなのだった。


「リーダー、時間が過ぎる前に実行しましょう。今日成功すれば士気が上がり、明日の成功にも繋がります。」

「うん、そうだな。では行かん。この俺について来い。」

そう言って、崖を登ろうとする玄武。しかしだった…。


「おい、そこで何やってるんだ?」

近付いてきた一人の男。青龍翔太。その目は正義感に溢れ、微塵の悪も許さない視線を放っていた。その眼光に怯え、かの北川の不良でさえ震え上がってしまう。しかし、今更計画を蹴る事が出来ないのも事実。玄武も湯の中へ落ちてしまった時に外れたタオルをしっかりと巻き直し、青龍の前に立ちはだかった。この時周りを取り巻いていた輩は、二人の後ろに龍と蛇の頭を持つ亀が見えたという。


「俺は何をしていたと聞いている。」

「お前に教える義理はない。」

「いいのか?そんな事を言って。大声で言うぞ?“玄武は2センチ”だってな…。」

その途端、玄武の顔は青ざめた。


「ななな、何故お前がそんな事を!?はっ!」

思い出した。今さっき彼自身が唯一身に纏っていたタオルは、取れていたことを…。


「き、貴様、人の身体的コンプレックスを餌にしやがって…。」

「もう一度チャンスをやる。何をしていた?」

「くっ…。女湯の…、覗きだ…。」

悔しそうな表情で顔を歪める玄武。今までやってきた事が水泡に帰したのだ。最後の最後、こんな所で想像外の横槍にあってしまうとは。玄武は泣きそうなのを隠して崩れた。この正義漢の前では手足も出ない。玄武たち20人は未遂の罪で教師と言う裁きに連れて行かれるであろう。


玄武たちがそれを覚悟した時、そっと優しく彼の肩に手が置かれた。玄武が見上げると、そこには“カモが掛かった”と言わんばかりの顔をした青龍がいた。その目は正義所か、悪意に染まりきっている。ニヤッとしながら玄武に話しかけた。


「俺も仲間に入れろ。何で俺を誘わなかった?」

それは…。と玄武が言葉に詰まる。目の前の男、青龍翔太をこの作戦に混ぜなかった理由。それは、大人数による情報漏洩の防止、そして彼自身の性癖にあった。


「君は…、朱雀慶斗が好きなのでは?」

「馬鹿野郎。あれは愛人だ。まだ俺はそこまで廃れちゃいねぇ。で、お前らの答えはどうなった?俺を仲間に引き入れ作戦を遂行させるか、それとも追い払って女子の眼を白くしたいか…。」

「勿論、答えは前者だ…。」

「頼りにしてるぜ、リーダー。」

そして、青龍と玄武はガッチリと握手をしたのだった。昼間こそいがみ合っていたが、己の欲望と目的が一致したとき、敵は味方となる。しかし、それはただお互いを利用しあうだけに過ぎない。だが、それまでは強力な仲間となる事であろう。


「よし、改めて作戦開始だ!」

『オー!』

玄武を先頭に、高い崖を上っていく精鋭達。ある者はクナイを用いて、またある者は小遣いを貯めて買った防水カメラを持って。パラダイスを目前とする崖を一歩、また一歩と登っていく。その一歩ずつは小さいが、それはやがて大きな達成感と共に結果として残るだろう。


…傍から見れば、最低な野郎共の集団にしか見えないのだが。



やがて崖の中腹まで来たとき、最初の脱落者がでた。もともと体力がほとんどなく、所謂“ヲタク”と呼ばれる人種だった。この日もフィギュアを片手に登っていた。彼の中では葛藤が渦巻いていた。彼は二次元をこよなく愛する者。そんな彼が三次元相手の覗きなどして良いのだろうか?彼は三日三晩悩んだ末、こう決めた。“二次元と三次元に二股を掛けてやる”と。


…即ち、ただの変態なだけである。



「おかしい。何かがおかしいぞ…。」

「どう言う事だ、玄武。」

「先人の話では既に桃源郷ユートピアが目撃できているはずだ。それなのに、今だ崖の中腹にしかたどり着いていない。あの情報は嘘だったのか?」

「本当に此処なのか?反対側の崖じゃないのか?」

顎でしゃくって、彼らの背中側にある崖を示す青龍。だが、玄武は首を横に振った。“そんな筈はない”と。先人の話によれば、夕日を背にして崖を登れと言われたそうだ。すなわち、東側の崖。彼らの背中は夕日であかく染まっている。登る崖は間違いないだろう。そして、もう一つの理由。もう一つの崖は女湯と分けるには低すぎると言う事実。そんな複合要因から、背理法を用いれば、彼らの登る崖は正しいと言う結論にたどり着く。


「それなら、登り続けるしかないよな。」

「だな…。」

一人、また一人と勇気ある戦士が堕ちて行く中、残された者は必死に登り続けた。まだ見ぬ桃源郷を目に焼き付けるために。そして、とうとう登りきったのだった。


「やっとだ、やっと着いた…。玄武、手ぇ貸せ。」

「あぁ、悪いな…。」

何時の間にか友情らしきものが生まれている二人。敵味方の垣根を越え、真の友情を持った彼らは心から笑いあった。


…これがもっとマトモな理由だったら、どんなに美しいことか。



「俺達二人だけが残ったみたいだな…。」

「あぁ。さ、散って行った仲間の分も、桃源郷をこの目に焼き付けてやろう。」

「あぁ。一緒にな。」

「抜け駆け禁止だぜ。」

「分かってるっつーの。んじゃ、」

『いっせーのーで!』

二人は桃源郷に目を向けた。そこには一糸纏わぬ姿の天女達が、キャッキャと湯を楽しむ光景が…







広がっていなかった。有るのはただの森。そして森。木々以外の何も見えないのだ。空には満点の星空が広がり、野生動物の遠吠えも聞こえる。


「おい、玄武…。このオチは何だ?詳しく説明しろ、10文字以内で!」

「無茶言うな。俺にも分からない。先輩が嘘をついていたと言うのか?いや、そんな筈は無い。あれだけ信用の置ける先輩が…」

「玄武、その先輩が誰か知らないが、一発殴らせろ…。」

「え、ちょっと待ってくれ。何かが違ってるに違いない!…ギャー!!」

「やっぱりてめぇは弄られキャラがお似合いだよ。」

友情と言うものは、時としてあっさりと崩れ去るものなのだ。



―所変わって、崖の下の天然温泉…

「ふぅ、いい湯だな、克美。」

「んもぅ…。私は女なのよ。」

「いい加減にしたらどうだ。…だが、ここの天然温泉は、効能がいいらしいな。毎年ここでも良いんじゃないか?」

「だめだめぇ。校長先生方の指示で、三年ごとに行き先を帰るんだからぁん。間違いが起きないようにね。」

「で、節目となる三年目の今年の犠牲者がこいつらか…。」

彼らの周りに浮いていたのは、崖から湯にたたき付けられて、腹や背中を真っ赤に染めた男子たちだった。

いかがでしたか?時々他の登場人物での視点もやって行きたいと思います。さぁて、今回の登場人物は?


・青龍翔太

南陽高校生。朱雀のクラスメート。イケメンだが、朱雀が好きと言う性癖があるため、人気はまあまあ。(ただし、男子が好きなのではなく、女子が好きなあまり、女顔の朱雀を気に入っただけ。)顔と年齢がよければ、女子はえり好みしない。

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