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killing ~熊鍋~

最近、“記憶喪失の異世界冒険記”を始めとした他の小説が書けない状態。この小説だけだよ…。ストックがあるの…。このオリエンテーション編が終わる頃からシリアス系に入ろうと思っています。因みに“白虎遥ルート”となっています。15禁かけなくてもいい位で書ける様に頑張りたいです。


~前回のあらすじ~

妖怪ピンクフリフリに食べられる危険から逃げるように出発した朱雀たち。お姉ちゃんを連発しながら、己の欲望を満たすために朱雀が走る。


~予告~

嘘と友情と熊鍋と…

僕と遥が背中合わせに立った。これは周囲を敵に囲まれたときに有効な方法。文字通り、遥なら背中を預けて戦える。でも今は敵は熊一匹。僕達の顔は熊に向いていた。


「ちょぉっとタンマ…」

遥が長い髪を慣れた手つきで纏め上げる。ヘアゴムでポニーテールを作り、さらにそれ団子状にピンで纏めた。


「あの時と同じだね。」

「あったりまえさ。髪は女の命だからね。」

彼女の返答の後、僕は上半身の力を抜いて脚部にその分の力をためる。逆に遥は上半身に力を込めて、拳を構えた。攻撃を加えるタイミングは言わずとも分かってる。お互いの心拍数が合った時、それが開始の合図だ。そして、今、鼓動のタイミングがあった。


「はっ!」

僕が跳躍して一瞬にして熊の視界から消える。その直後には熊の頭には激震が走っているはずだ。僕が熊の頭上を飛び越えたとき、かかとで頭を蹴ったのだ。熊の混乱が続く間に第二波が襲う。遥が鼻面に渾身のパンチを入れたのだ。人間なら鼻血が噴出して当然だけど、熊にはあまり効果がないらしい。怒りに任せて目の前の遥を押し潰そうと、その太い腕を振り上げたのだ。


だが、遥は悠然とそれを見ていた。怯えて動けないのではない。余裕があるのだ。振り下ろされた腕を最小限の力で受け流す。それと同時に熊の懐に入った。四つん這いの熊の顎の下に回りこみ、下からアッパーをかます。


僕も負けて入られない。わき腹に蹴りを入れた。スピードに特化した僕では遥の攻撃力に相当劣るけど、人間なら気絶させられる。人間ならね…。


急に熊に動きが見えた。二本足で立ち上がったのだ。威圧感がものすごい。僕の3倍以上ある背丈はやはり恐ろしさを見せ付ける。だけどね、ガラ空きなんだよ。胴体がね。


「遥、肩借りるよ。」

「OKさ。」

一度熊から離れて僕は助走を付ける。そして遥の肩から高くジャンプした。女の子に何をしてるって思うけど、実際は遥の方が僕より肩が強いんだ。空中で一回転し、更に加速をつける。今の様子はさながらライダーキック。膝関節を集中的に攻撃する遥に気を取られ、僕のキックは見事熊の顔面に命中。しかも目だ。血を滲ませる熊、雄たけびを上げた。痛さ故か、闘争本能の故か…。いや、どちらもだろう。


ボキッと何かが折れる音がする。とうとう遥がやってしまったらしい。熊の骨を折ったのだ。もしかしたら関節が外れたのかもしれないが…、熊は片足のバランスを失って倒れた。しかし、直ぐに起き上がって残った三本の足で僕らに襲い掛かってくる。意外に足が速い。これが野生の力か…。野生の動物は痛みに鈍いと聞いたことがある。だけど、このまま終われるわけないし。何より、僕が満足していない。僕って、最後までやらないと気が済まないタイプだから。


「遥、何時もの!」

「了解っ!」

さすが、話が分かってる。両手を重ねて即席トランポリンを用意した遥。その手を使って僕は更に高く飛ぶ。僕はそんなに体重が重くない。だから重力加速度を思いっきり使うんだ。狙いは…、熊の首。頚椎を追って直ぐに決着をつける。


上空で姿勢を整えて、片足で一点集中を狙う。そして…、ゴグッと言う鈍い音が聞こえて熊は完全にバランスを失った。僕が地面に着地するのと、熊の巨体が地面に付いたのはほぼ同時。僕の着地した音は熊によってかき消されてしまった。両目を潰され、足はありえない方向に曲がり、分厚い毛皮は何箇所か裂けていた。僕は目を潰した時に付いた血を振り払う。幸い、靴下や体操着に付着はしていない。


ワーッと歓声が上がった。だけど、今の僕にしてみればつらい。一匹の命を奪ったことではない。渚を悲しませてしまったことだ。もう暴力は振るわないって決めていたのに…。あの時、ただ逃げれば良かったのだ。それなのに戦う選択肢を選んでしまった。これ以上渚に怯えた目をしてほしくない…。


「慶斗…。」

落ち込む僕に近付いてくる渚。どことなく不安げな瞳を見るのがつらかった。


「僕は…、最低だ…。」

「そんな事無いよ。守ってくれてありがとう。」

「・・・・・・。」

何も言えなかった。僕はただただ渚のその優しさに甘えていた。君は、優しすぎるんだよ。だからあの時だって。僕がまた自滅的な考えを持ったとき、すっと手が指し伸ばされた。


「ほらほら、ゴールまで急ごう。」

渚の手を握ると、僕に安心感が生まれた。もう、メアドゲット作戦なんてどうでも良いや。渚がいてくれれば僕は、幸せだよ。もし、僕がただの高校生なら渚に恋愛感情を抱くだろう。くだらない妄想だけどね…。



この日の夕食は熊鍋だった。いろんな意味で、南無。


夕食後、お風呂の時間を前にして僕らは部屋に戻ってきた。既に東谷の生徒は戻ってきていて、バラを片手に勝ち誇った笑みを浮かべていた。


「やぁ遅かったじゃないか。僕らに窓際を明け渡す準備は整ったかい?」

「寝言は寝て言え。まだ結果も出し合ってないじゃないか。」

「心配するな。窓際は僕達が有意義に使ってあげよう。」

まじめに会話が成り立たない。本当に頭は大丈夫なのだろうか。もしかしたらあんな先生ピンクフリフリの下で学ぶのがいけないのかもしれないな…。教育委員会に一言言う必要があるだろう。


「流れる石は“さすが”と読む。結果発表と行こう。」

蛇慰安戸君も帰ってきた。いよいよ結果発表か…。僕は翔太と合計を数える。


「僕は21人分。」

「俺も似たような物だ。」

そう言って、携帯を見せてくる。翔太のリストは幾つかのフォルダに分かれていた。A~Fだった気がする。まさかとは思うけど…。


「俺の目のメジャーを舐めるなよ。」

ゴスッ!まったくもって…。最終的な合計は45人だった。


「さて、結果を発表しようじゃないか。」

最終結果。

・南陽→45人

・北川→51人

・東谷→83人


え?僕ら最下位…?


「ハーハッハ!やっと分かったかい君たち?これが東谷高校の実力、と言うものさ。さぁ、窓際を寄越すといい。」

これは本当に僕らの完敗だ…。まさか失礼だろうけど、北川高校にも負けるとは思っていなかった。83人?僕らの約二倍に当たるじゃないか。舐めていた僕らが悪かったのか…。


「待て、一つ聞こう。」

翔太が言った。東谷あっちも、弱者の遠吠えかい?などと完全に上から目線。最初の翔太ならまた怒ってただろうけど、今回はそんな素振りは見せなかった。


「“嘘の三八”と言う言葉を知ってるか?この言葉の意味は、人が嘘を付くときに三や八などといったいかにも的な数字を並べるそうだ。お前らの人数はそれにピッタリ当てはまる。もし俺の言う事が間違ってれば、携帯のアドレス帳を見せろ。」

そしてニヤリと笑った。そうだった、何で最初っからそうしなかったんだろう?東谷はギクッとしたように携帯を隠し始めた。だけどそれを見逃さない僕達。早速蛇慰安戸君が羽交い絞めにして、翔太が二人の携帯を抜き取った。


「止めたまえ君たち、人権を無視しているではないか!国防総省に言いつけるぞ。」

「残念だな。俺の担任の所属する機関に、この国とっくに乗っ取られてる。」

そして携帯を開き、アドレス帳を開く。暗証番号を入力。驚いたことに暗証番号を打ったのは蛇慰安戸君の付き添いの北川の学生。彼曰く、


「兄貴の面倒を見てるとこれ位は普通にやれる。」

らしい。取りあえず、アドレス帳を確認した。翔太のようにフォルダが並べてあり、東谷高校などの高校名が並んでいた。しかし、一つもない。隠しフォルダがあったので開けてみると、そこに並んでいた四文字。“克美先生”…。あぁ、ピンクフリフリか…。ほとほと虚しい奴だな…。しかもあの人男だよ?


「さぁて、最結果発表と行くかぁ。」

真・最終結果

南陽→45人

北川→51人

東谷→0人


となった。よって一位は北川高校…。あ~あ、どっちにしろ負けちゃった…。


「ヨシッ、これで窓際は俺達のもんでぃ!」

嬉しがる腰巾着君。しかし、蛇慰安戸君は首を横に振った。


「どうかしやしたか?兄貴?」

「人間は3ヶ月、水のみで生きられる。俺の場所は神速に譲る。これで貸し借りは無しだ。」

あれ、意外な展開…。もしかして蛇慰安戸君って不良にしては律儀なタイプ?まぁ、もらえるって言うならもらうけど…。借りって熊との勝負の事でいいんだよね?


「兄貴、兄貴が代わるくらいなら俺の場所を。今回の勝利は兄貴のおかげでぃ。おい、神速のガキ。今回は兄貴をありがたく思え!!」

そう言って、蛇慰安戸君と翔太の荷物の場所を入れ替えた。翔太も負けは負けなので文句は言わなかった。こうして、僕らの場所が決まったのだった。


そうそう、因みにどうして北川高校が一位なのか。それは本当に一重に蛇慰安戸君のお陰らしい。あの熊との一戦で、最後の一人でも諦めずに戦っていた事が一因らしい。まぁ、蛇慰安戸君って身長がメッチャ高いけど、顔が悪いってわけでもないし。男の中の男って見られる日も近いんじゃないかな。


「よし、ケイ。風呂に行こうじゃないか。」

「うん、OK。」

「むさい風呂は嫌いだが、仕様がない。ライアン、行こうか。」

「そうするとしよう。」

「兄貴、俺達も行きやしょう。」

「うむ。」

6人で部屋を後にする。他の男子もゾロゾロと動いていた。鬼曹長先生の話に寄れば、8時までに入り終われだそうだ。


「あ、そうだ。蛇慰安戸君。君の本当の名前って何?まさか本当に…。」

「イノシシの改良系が豚。俺の名前は、天馬鹿狩てんま かがりだ。」

本当に名前に馬鹿が入ってた…。だけど、何だかこの人とは良い関係となれそうだ。友情まで行くか分からないけど、敵に回すようなことはないと思うよ。

今回からメンバー紹介なんてやってみたいと思います。人数も揃ってきたので。


・朱雀慶斗

主人公。ネガティヴ系。たまに毒舌。昔は神速と呼ばれる不良だった。同じく不良だった白虎遥と相棒である。両親は小さい頃に他界。祖父母に育てられた為、どこかおっとりした性格もある。(その祖父母も他界した。)所謂童顔、女顔である。

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