priceless ~恋愛より高い物はない~
コメディー小説と銘打っておりますが、なるべく頑張ってコメディー風に仕上げて生きたいと思います。字数が少なくなるかもしれませんが、二日に一度は投稿したいと思います。
彼女が僕の手を握ってくれる。だから僕もそれに応える。ただそれだけ、僕は彼女を守りたい。この安らぎを与えてくれる存在を手放したくなかった。ただ、それだけだったんだ…。
「慶斗ぉ、起きて!朝だよ、あ~さ~」
僕はアーサー王じゃないよ?目を開けると、僕はベッドの上にいた。そして、僕のお腹の上には何時ものように僕の幼馴染が乗っかってて、僕の顔を覗き込んでる。変わらない日常だね。
「おはよう、渚。」
「おはよう!」
ピョコンと僕の上から飛び降りた。その時のキックバックが僕のお腹に強烈な一撃として伝わってきたんだけど、幼馴染だから許せちゃう。柔らかそうな薄茶色の髪をショートカットにした僕の幼馴染は、男の人なら絶対満点を出す笑顔で僕を見ていた。僕が起きるのを確認すると直ぐに制服の準備に取り掛かる。既に彼女自身は制服を着ている。僕の部屋を隅から隅まで知り尽くした彼女は、タンスからハンカチや靴下、クローゼットからは制服のブレザーなどを取り出した。それらをまだ眠い目を擦っている僕のいるベッドに置くと、タオルを差し出す。
「はい。私、朝食の用意するから早くきてね。」
「うん。」
そう言って、僕の幼馴染は部屋を後にした。冷たい水で顔を洗うと、脳がシャキッとする。制服に袖を通して、鞄を片手に下のリビングまで降りて行った。キッチンでは、制服の上からエプロンを掛けて、フライパン片手に目玉焼きを作ってくれてる幼馴染の姿が。卵の焼ける音と、コーヒーの匂い。良い感じに焼けたトーストもあった。
「はい。慶斗の好きな半熟だよ♪」
目玉焼きの乗ったお皿を置いて、僕達は朝ごはんを食べる。何時も本当においしい。僕の好みは全部知ってる彼女、何でも出来る完璧な女の子だと思うよ。
「どうしたの慶斗?」
反対側に座る僕の幼馴染が心配そうな顔をして聞いてくるけど、恥ずかしくて答えられない。だから、『大丈夫』って答えた。彼女も、疑うこと無くそのまま朝食を食べ続ける。
少し自己紹介をしておかなくちゃいけないね。僕は朱雀慶斗。南陽高校って言う近くの学校に通ってる1年生。まだ学校が始まってから数ヶ月しか経ってなくて、やっと学校に慣れたかなって感じ。そして、目の前で同じようにご飯を食べるのは、椎名渚。僕の小さい頃からの幼馴染で、何かと僕を気にかけてくれる優しい女の子。勉強も料理も出来る完璧な子だよ。
あぁ、気になってるかも知れないけど、僕の両親はいないんだ。交通事故だったらしいけど、まだ小さかった僕にはそんな事知ること無かった。僕の祖父母が僕を世話してくれたんだけど、僕が中学生の時に病気で死んじゃった。あまり両親を知らない僕にとっては大切な家族だったから凄く泣いた。…荒れたしね。でも、立ち直って絶対に泣かないって決めたんだ。それから渚がご飯を作りに来てくれる様になって、今ではそれが普通になっちゃった。僕がしっかりしてれば渚だって自由に出来るんだろうけど…。それこそ、高校生なんだから、青春を満喫することだってできる。彼女は知らないみたいだけど、渚って結構人気あるんだ。僕が彼女の自由を束縛してると考えると、やりきれない気持ちになってしまう。
「はい、是今日のお昼のお弁当。」
「何時もありがとう、渚。」
「どうしたの?急に改まって。私に任せてよ。慶斗の事なら何でも知ってるんだから。服の場所からHな本の場所まで全部把握してるんだから。ベッド下はベタ過ぎだよ。」
持ってないから、そんな本。ドアに鍵を掛けて、隣の渚の家にも一度挨拶してから僕達は学校に向かう。学校までは歩きで、10分位しか掛からない。他愛も無い話をしながら渚と歩いていたら、
「けー君!!」
後ろからライフル弾の如く、文字通り音速を超えて誰かが僕に飛びついてきた。まぁ、誰かは分かってるんだけどね。でも、痛いよ…。
「夢、痛いよ…」
「あっ!?ゴメンね!ゴメンね、けー君。痛いところ無い?」
勿論痛いよ…。それに、首を掴んで揺さぶるのはいい加減止めて?意識飛んじゃうから…。えっと、彼女は宇津木夢。青い髪をポニーテールにした彼女は、渚と同じで僕のクラスメート。運動神経が凄く良くて、さっきみたいに音速を超えて僕に飛びついたり、大木だって手刀で輪切りに出来ちゃう。あの当時の僕に真正面から相手してくれたのは、彼女だけだった。本当にいい子なんだけど、一つだけ困った点があって…
「死んでない?死んでない?良かったぁ~。ハムハム…」
と、彼女の一番の好物は、『僕の耳』みたい。会う度にしゃぶられる…。そのせいか分からないけど、僕の左耳一時期ちっちゃくなったみたいなんだ。それを夢に言ったら、ウルウルした目で今にも泣きそうになって『ごめんなさい』って何度も謝られて…。僕も心の底から怒ってた訳じゃなかったから、許してあげたんだ。そうしたら、償いたいって言って来て。で、何をしたかって言うと…
僕の反対側の耳をハミハミして同じ大きさにし始めたんだ。確かに発想は悪くないと思うよ。だけど、何か根本的に違う気がするんだ。
「夢!それは止めなさいって言ってるでしょ。」
渚が助け舟を出してくれる。ありがとう、渚。
「渚、本当は貴方もやってみたいだけなんでしょ?それなら、勝負しましょ。どっちが上手にけー君の耳をハミハミできるかで。」
待ってよ!それどう言う事!?なんで渚も顔赤くして頷いちゃってるの?勝負受けて立っちゃうわけ?僕は認めないよ。え、ちょっと何でさり気なく僕の肩に手を置いて捕獲してるの夢?駄目だよ!
「いや、そのほら…。汚いかもしれないじゃん?僕の耳…」
「けー君に汚い所なんて無いの。けー君は体の全てが天死の羽で出来てるんだから。」
どう言う見解?僕の体重はほぼ皆無??って、渚までどうして僕の耳をハムハムしようとするの!さっきまで止めさせようとしてたのに!!
「いやだ~!!」
逃げた。全力疾走で。逃げ足だけは速いって言われるよ、よく。でも、こんな毎日が楽しくて仕方が無いんだ。僕は地面を蹴りながら、そう考えた。この楽しさに任せてしまって、罪悪感だけが心残り。あの楽しそうな顔をしている二人、本当は内心嫌がってるんじゃないかって思う。僕なんかの為に。僕が昔あんな感じじゃなかったら、今二人は僕と一緒にはいないだろう。二人が好き?って聞かれたら胸を張ってこう答えられる。『幼馴染と親友としてね』って。なぜなら、彼女たちにはもっと釣り合う人がいるはずから。僕らの関係は、よく言う、『友達以上、恋人未満』って奴かな。
こんな感じで僕の毎朝は始まる。僕と、二人。そしてまだ紹介してないけどもう二人も巻き込んで僕は毎日充実してる日々を送ってるよ。
厳しい評価、アドバイスなどお待ちしております。