最後の戦いと別れ
いよいよ最終決戦と別れの時です!
グルバルガが拳にオーラを溜め、強烈なパンチを放つが、パイルマンは回避して雷の鞭でダメージを与える。
「この程度か」
「全然効かない!?」
グルバルガは平然と立っていて、その様子につばめ達は驚きを隠せずにいた。
「やはりそう簡単にはいかないみたいだ。アンバラスの力を取り込んでしまったからな……」
「その通りです。しかし、カギとなるのは貴方達の力となります。ブレイブバングル、紋章の力をうまく使いこなせば……勝機は必ず見えてきます!」
「分かりました!」
クルーゼのアドバイスにパイルマン達は頷き、グルバルガが闇の波動を放ってきた。
「躱して!」
リリアンヌの合図で全員が波動攻撃を回避するが、波動が地面に直撃して大爆発を起こした。
「凄い爆発……」
「どうやら一撃でピンチになるのは確定ですね。フェリカ、グルバルガの弱点をお願い致します」
「はい!」
フェリカがグルバルガの弱点を察知し始めた直後、彼は次々と波動攻撃を出してくる。
「おっと!」
「くっ!」
パイルマン達は回避しまくり、なかなか攻撃が当てられない状態となってしまう。すると、グルバルガはシリアに接近して強烈なアッパーを繰り出してしまった。
「がっ……!」
「シリア!」
シリアが仰向けに倒れた直後、更にエルメダスにも接近し、強烈なボディーブローで彼女を倒してしまう。
「うあ……」
エルメダスは涙を流しながら嘔吐してしまい、つばめはこの光景に冷や汗を流してしまう。
「弱点が分からない……このままだと……」
つばめの目に涙が浮かべられたその時、フェリカが弱点を発見する。
「弱点見つけたわ!彼の弱点は光よ!けど、強烈な光を使わなければ勝てないわ!」
「強烈な光ね!シリア、やれる!?」
リリアンヌは倒れているシリアに呼び掛けるが、彼女はヨロヨロと立ち上がる。
「今の一撃で無理みたい……でも……つばめならできるわ!」
「私!?」
シリアはつばめを指差すが、突然の指名に彼女は驚いてしまう。
「大丈夫!つばめはいつも努力しているし、誰よりも精一杯諦めずに技を取得していた。彼女なら絶対できるわ!」
「……分かった!やってみる!」
つばめは呪文の詠唱を行い、パイルマンとリリアンヌは彼女を守る態勢に入る。それと同時に彼女のブレイブバングルも光り輝き、ますます魔術の強さが大きくなろうとしているのだ。
「そんな光、打ち砕いてくれる!」
グルバルガが強烈な闇の波動を出そうとするが、パイルマンがブレイブバングルを光らせ、全力タックルで彼を弾き飛ばす。
「な!?」
「今だ!」
パイルマンの合図と同時に、つばめはロングロッドからそのまま強烈な光を放ち始める。
「シャイングロリア!」
強烈な光が光線となり、そのままグルバルガに激突する。
「ぐおお……!これしきの程度で……」
「そうはさせない!シャインブレード!」
グルバルガは耐え切ろうとするが、リリアンヌがブレイブバングルを光り輝かせながら、剣から光弾を放つ。
すると光弾がブーメラン状の刃となり、そのまま彼に直撃する。
「ぐわあああああ!!」
「効いている!」
グルバルガは光弾を受けて更にダメージを喰らってしまい、フラフラとなってしまう。弱点を喰らい続けていたらそうなるのも無理ない。
「後はパイルマン、あなたが決めて!」
「任せろ!」
リリアンヌの合図でパイルマンは駆け出し、そのまま剣を振り下ろす態勢に入る。
「これで終わりだ、グルバルガ!自身の罪を償え!断罪の剣!!」
パイルマンは剣を縦に振り下ろし、彼の身体を左右半分の真っ二つに切り裂いた。
(おのれ……この俺が……こんな奴に……負けてしまうなんて……)
切り裂かれたグルバルガは倒れてしまい、クルーゼが彼に魔術を掛ける。
「最後は私に任せてください!世界を混沌に陥れた者に裁きを与えよ!ゴッドブレスタル!」
空から強烈な光がグルバルガに当たり、彼はそのまま光の粒となって消滅していく。
「終わりました。アンバラス、グルバルガはもういません」
クルーゼの笑顔につばめ達はヘナヘナと座り込んでしまう。
「終わったんだ……」
「うん……世界はこれで平和になったのね……」
「ええ……もう立てないわよ……」
つばめ達は笑顔で空を見上げると、雲が晴れて日差しが差し込んできた。
「空が……」
「ああ……雲が消えて青空となったな……」
雲は消えて青空となり、この光景につばめ達は笑顔で見上げていた。
「本当にお見事です。お疲れ様でした」
「皆……格好良かったわ……」
クルーゼは彼女達の活躍に笑顔で微笑み、フェリカは目に涙を浮かべながら喜んでいた。
※
それから翌日、グルバルガとの戦いで疲れを癒やしたつばめ達は、クルーゼの神殿で彼の方を向いていた。
「アンバラスは消滅し、グルバルガは死亡しました。これでこの世界を脅かす危険はもう二度とないでしょう」
「そうですか。それを聞いてホッとしました」
クルーゼの話にリリアンヌが代表して応え、つばめ達も同意する。
「では、つばめさん。前に来てください」
クルーゼの指示につばめはコクリと頷き、そのまま彼の前に移動する。
「あなたをこの世界に呼び寄せた事は大変申し訳なく思います。ですが、あなたがいなければこの世界はピンチのままでした。そこで……あなたに最後の質問をします」
「質問ですか?」
「ええ。この世界で経験した事を無にしたいのなら、あなたが望む財産をあげます。如何致しますか?」
「「「!?」」」
クルーゼの質問にパイルマン達が驚くが、つばめは冷静に自身の胸に左手を当てる。
「この経験は大切にします」
「その理由は?」
「初めは臆病で怖がっていましたが、パイルマンと出会い、フェリカ、リリアンヌ、シリア、エルメダスという心強い仲間もいます。だから……私は……この経験を糧に次につなげていきたいです!」
つばめの強い決意にクルーゼは笑顔で拍手する。
「お見事です!あなたの選択は間違っていません。あなたのこの経験はさらなる成長に繋がるでしょう!」
クルーゼの褒め言葉につばめは笑顔で応え、リリアンヌも嬉しさで目に涙を浮かべる。
(つばめ。今のお前は大丈夫だな。俺が心配するまでもないかもな)
パイルマンが頷いた直後、ファールスが姿を現す。
「ファールス様!」
「スベラスの事は残念でしたが、グルバルガを倒した事に感謝します。言葉にできないくらいです!」
「いえいえ。これからどうされるのですか?」
ファールスの一礼にリリアンヌは苦笑いし、彼女に今後の事を質問する。
「私は引き続き巫女を続けます。亡くなったスベラスの分も頑張りますので」
「これからの活躍を信じています!」
リリアンヌとファールスが握手をした直後、クルーゼは彼女達に視線を移す。
「では……お別れの時間となります。心の準備はできていますか?」
「はい」
クルーゼの質問につばめが頷いた直後、彼女の前に元の世界へと繋がるゲートが姿を現す。
「つばめ……この時が来たな……」
「うん……」
つばめはゲートの方に視線を移した途端、目から涙が溢れてしまう。
「けど……皆と別れるなんてできないよ……もう二度と会えなくなるなんて……」
「つばめ……」
「ヒッ……ヒッ……うええ……」
つばめは両膝を地面に着いて泣き出してしまい、彼女の様子を見たフェリカが近づき始める。
「何泣いてんのよ。確かに別れは辛いかも知れない。でも、遠く離れていても心は繋がっているんだから!」
「心が……繋がる?」
フェリカのアドバイスにつばめが首を傾げる中、リリアンヌ達も彼女の元に駆け寄る。
「そう。私達も出会いと別れを通じてここまで成長する事ができた。つばめがいなかったら、今の私はここにいなかったわ」
「私もつばめがいたからこそ、幽霊を克服できた。本当に感謝しているわ!」
「だからつばめも前を向いて頑張って!きっとまた会えるから!」
「リリアンヌ……シリア……エルメダス……」
更にパイルマンもつばめの元に移動する。
「つばめ。俺はお前と出会って本当に良かった。狼であった俺を助けてくれた事はずっと忘れない。お前がいなかったら俺はどうなっていたのか分からなかった……」
「パイルマン……」
「つばめ!俺はお前を信じている!どんな困難があっても、勇気の心と俺達を思い出せば、それを乗り越える事だって必ずできる!何が何でも諦めずに突き進み、絶対に忘れるな!」
「忘れないよ!絶対に忘れないから!」
パイルマンの激励につばめを涙を流しながら決意を固める。それと同時に彼女は立ち上がり、ゲートの方へと向かう。
「皆……私は絶対に忘れないよ!この世界の思い出も……戦いの経験も……永遠に忘れない!だって……皆は私の大切な宝物なのだから!」
つばめは後ろを振り向きながら、涙を流している状態で笑顔を見せる。そしてそのままゲートへと飛び込んだ。
(じゃあな、つばめ……)
つばめの後ろ姿にパイルマンは心から思った後、ゲートは消えてしまった。
「行ってしまったか……で、これからどうするんだ?」
パイルマンはリリアンヌ達の方を向き、彼女達に質問する。
「私は王宮に戻るわ。お父様達の元へ戻るから」
リリアンヌは王宮に戻る事を決断し、シリアとエルメダスも彼女の隣に移動する。
「私は魔術の教師を目指して頑張るわ」
「私はリリアンヌの王宮騎士団に入るの」
シリアは魔術の教師、エルメダスはリリアンヌの王宮騎士団に入る事を決断する。
「俺は放浪の旅を続けるよ。一匹狼となるが、この世界を色々旅したいからな」
「そうなの。お互い未来に向かって頑張りましょう!」
「ああ!お前等も元気でな!」
リリアンヌ達はパーティーを解散してそれぞれの未来へ進む事を決断し、この様子をクルーゼ達が微笑んでいた。
「彼等については心配ないですね」
「ええ。我々は見守りましょう。彼等のこれからの未来に幸運が訪れます様に……」
クルーゼはパイルマン達のこれからの未来の為、静かに祈りを捧げたのだった。
次回でいよいよ最終回!最終回は土曜日に投稿します!