表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/10

スノーマウンテンの亡霊

今回は雪山での戦いです!

 3つ目の目的の場所であるスノーマウンテンに辿り着いたつばめ達は、防寒着を着ながら寒さ対策をしていた。


「寒い……今回は雪山なのね……」


「うん……スノーマウンテンのノスルがアカシアの宝玉を知っでいるからね。まずはそこをクリアしないと」


 寒がるつばめにシリアが説明する中、フェリカが町がないか辺りを見回していた。


「フェリカ、何処かに町はない?」


「確かあそこに温泉街があるわ。そこに行けばノスルの居場所も聞き取れるかも知れないわよ」


「じゃあ、そこに行こうか!」


 フェリカの説明にリリアンヌ達はすぐに即決し、そのまま温泉街へと向かい出した。





 温泉街に辿り着くと、そこには雪男達がいた。どうやらここは雪男達の街の様だ。


「雪男達が沢山いる……」


「邪魔しちゃマズかったかな……」


 リリアンヌ達が気まずそうに顔を見合わせたその時、雪男の一人が彼女達に近付く。


「あれ?もしかして君達が勇者達なの?」


「そうだけど……」


「僕はマルコ。ノスル様の弟子なんだ」


「「「ええっ!?」」」


 マルコの自己紹介につばめ達は驚きを隠せず、彼に近付き始める。


「ノスル様の弟子なの!?そのお弟子さんが何故私達の元に?」


「実はノスル様が勇者達が来たら連れて来てくれと頼まれたんだ。折角だから神殿まで案内してあげるよ」


 マルコはつばめ達を連れて、ノスルのいる神殿へと向かい出す。


「それにしても、この街は雪男だらけだな……」


「うん。僕達雪男族は温泉が大好きだからね。それに、この街では今、大変な事になっているんだ」


「大変な事?」


 マルコの質問にパイルマンは首を傾げる。


「実はとんでもない男が現れて、亡霊を召喚していたんだ。そいつは元勇者の一味とかなんとかと言って、紋章を寄越せとか言ってきた」


「それって……スベラスじゃない!怪しいと思っていたけど、まさかここまでしていたとはね……」


 リリアンヌは驚きを隠せず、険しい表情で彼の悪行を許せずにいた。


「その亡霊についてもノスル様が知っているし、スベラスの動向も知っている。早く急ごう!」


「ええ!」


 マルコの合図で彼らはスピードを上げ、そのまま神殿へとダッシュで向かい出した。





 神殿に到着したつばめ達は中に入り、奥の部屋にいるノスルと出会う。彼は若い銀髪の男性だが、魔術は天才クラスだ。


「おお。アンタがつばめか。噂は聞いているぜ」


「あなたがノスル様ですか?」


「おうとも。話はマルコから聞いているみたいだな。亡霊について話すとするか」


 ノスルはつばめ達に近付き、亡霊の話を始める。


「あれは三日前の事だ。この神殿にスベラスという馬鹿な男が来て紋章を寄越せとか言ってきたな。俺は断って彼を追い出した。あんな奴に紋章を渡す資格なんかないしな」


「確かに言えてますね。捻くれ者ですし」


「おお!気が合うな!」


 ノスルの話にシリアは同意し、彼は喜びの表情をするが、すぐに真剣な表情になる。


「ところがあいつは腹いせに亡霊を召喚してしまい、更にはボスとなるゴーストマンモスも召喚した。姿は骨だけのマンモスだが、その色は銀色だ」


「骨だけのマンモス……じゃあ、その敵を倒せば騒動は終わりを告げるのですね」


「そうだ。倒したら紋章だけでなく、アカシアの宝玉も教えてやるよ。ゴーストマンモスについての居場所と弱点はマルコが教えてくれるから。頼んだぞ!」


「はっ!」


 ノスルの指令にマルコは一礼し、彼はつばめ達を連れてゴーストマンモスのいる場所に向かい出した。





「ゴーストマンモスは古びた洋館の中にいる。そこは数十年前からいなくなったんだ。其の為、亡霊達がいるのも無理ない」


 つばめ達がゴーストマンモスのいる場所に向かう中、マルコはその場所について彼女達に説明する。


「じゃあ、亡霊がその場所にいるのね……なんか不安だな……」


 シリアが俯いた途端、彼女の異変につばめは気付き始める。


「どうしたの?元気ないけど……」


「シリア、実は幽霊が苦手なの」


「「ええっ!?」」


 エルメダスの説明につばめとフェリカは驚きを隠せずにいた。


「あいつは落ち着いて行動しているが、本当は幽霊を見ただけで隅っこに隠れてガタガタ震えてしまうからな……」


「そうなんだ。私も幽霊は苦手だから分かるよ……」


 つばめがシリアに同情する中、マルコが足を止める。


「見えた!あれがゴーストマンモスのいる洋館だ!」


 マルコが指差す方を見ると、怪しげな雰囲気を帯びている大きな洋館が見えてきた。そこは所々に雪が残っていて、壁は汚れているのが見える。


「数十年前だから随分汚れているわね」


「それにしても汚いわね……こうなったら中に入って綺麗に掃除するわよ!」


「「「へ!?」」」


 シリアの意気込みにつばめ達は思わず一斉に彼女の方を向いてしまう。


「ゴーストマンモスは?」


「それなら大丈夫よ!私に策があるわ!」


 シリアはウインクしながら答え、すぐに洋館へと駆け出す。


「シリア……綺麗好きだからな……俺もブラッシングされたし……」


「なんというか……掃除に関しては積極的だね……」


 パイルマンのため息につばめは苦笑いし、彼等もシリアの後を追いかけた。





 洋館の中に入ったつばめ達はすぐに掃除を行い、汚れや埃を次々と落としていた。


「丁寧に作業して!塵一つ残さずよ!」


 シリアは丁寧に窓を拭きながら、皆に指示を飛ばす。


「ハァ……なんで僕までしなきゃいけないんだよ……」


 マルコはブツクサ言いながら、箒でゴミを回収していた。


「文句を言うなら手を動かす!サボるな!」


「ひえっ!」


 マルコはシリアの声に驚きながら作業に集中し、つばめ達は苦笑いする。


「掃除したの久しぶりだけど、こんなにゴミが溜まっていたなんて……」


「この時にゴーストマンモスが出てきたりして……」


 リリアンヌの推測にエルメダス達も同意する中、足音が聞こえ始める。


「来たわね。ゴーストマンモスが……」


 エルメダスが足音を感じる中、足音が近くなる。すると……銀色の骨のマンモスが姿を現した。


「うおっ!?屋敷が綺麗になっている!?こんな事をしたのは誰だ!?」


 ゴーストマンモスの叫びにシリアはすぐに彼の方を向く。その様子だと掃除は既に終わっていた。


「あなたがゴーストマンモスね。悪いけど屋敷は掃除させて貰ったわ!これで亡霊達も出ないからね」


 屋敷は既にピカピカになっていて、その綺麗さで床は光り輝いていた。そうなると亡霊達も出なくなるのも無理ないだろう。


「そうかな?やってみなければ分からないだろ!やれー!!」


 ゴーストマンモスの合図で亡霊達が一斉に飛び出すが、床の光によって力が抜けてしまい、そのまま消滅してしまう。


「嘘だろ!?」


「やっぱりね。亡霊達の弱点は研究済みだから!」


「こうなったら……俺が直々に相手だ!ここじゃまずいから移動するぞ」


(一応屋敷に対する被害は分かっているのね……)


 ゴーストマンモスはその場からつばめ達を連れて転移し、彼女は心の中で苦笑いをした。





 転移した場所は広い雪原で、ゴーストマンモスがつばめ達に視線を移す。


「ここなら安全だ。始めるぞ!」


 ゴーストマンモスは突進を行うが、つばめ達は回避をし、リリアンヌが彼の上に飛び乗る。


「ゴーストマンモスは脳天が弱点だ!そこを攻撃するとバラバラになる!」


「アドバイスありがとう!はっ!」


 リリアンヌは剣を構え、ゴーストマンモスの脳天に3回突き刺す。


「ぐおっ!?」


 ゴーストマンモスは身体がバラバラになってしまい、リリアンヌはすぐに彼から離れる。


「簡単に倒せたわ」


 リリアンヌが手を叩いたその時、ゴーストマンモスの身体が変化し始める。


「俺はこれで終わりじゃない。ここからが地獄の始まりだ!」


 ゴーストマンモスの姿が変わり、骸骨の頭を身体にし、銀色の悪魔の顔と骸骨の手足で構成された化け物へと姿を変えてしまった。


「この姿こそ俺の真の姿!ナイトメアアンデッドだ!」


「ひいい!こんな化け物聞いてないわよ!」


 シリアは怯えてしまい、つばめも同様にガタガタ震えていた。


「ごちゃごちゃ煩い!」


 ナイトメアアンデッドは口から光線を出し、リリアンヌ達は回避する。しかし、光線が当たった場所で爆発を起こし、爆風で彼女達はダメージを受けてしまう。


「いつつ……今のは効いたわね……」


「まだまだ行くぞ!」


 ナイトメアアンデッドの光線が次々と襲い掛かり、回避する度に爆風でダメージを受けまくってしまった。


「このままだとやられちゃう……けど、相手は怖い……」


 シリアは傷だらけの身体で持ち堪えるが、ナイトメアアンデッドの姿に恐怖心を抱いてしまい、攻撃ができない状態だ。


「弱点が分かった!光の魔法を放てば倒す事ができるぞ!」


「光の魔法!?でも、相手が怖くて……」


 マルコのアドバイスにシリアは戸惑いを見せるが、つばめが前に出てロングロッドを構える。


「私も怖いかも知れない……けど、皆が傷つけられているのを見て黙っているわけにはいかないよ!」


「つばめ……」


「恐怖で逃げ出すよりも、仲間を置いて逃げる事がもっと怖い!だから私は決意したの!大切な仲間達を守り通す事を!」


 つばめの強気の決意の姿に、シリアは自身の胸に手を当てる。


(そうだった……私だって仲間達を大切に思う気持ちがある……私も戦うんだ!その気持ちがあれば……幽霊は怖くない!)


 シリアはすぐに前を向き、光の魔法を放つ態勢に入る。


「これが私の光魔法!ホーリージャッジメント!」


 シリアが杖を真上に掲げた途端、ナイトメアアンデッドの足元に魔法陣が展開される。


「なんだ!?」


 ナイトメアアンデッドが戸惑う中、彼の頭上に空から光が降り注ぎ、彼にそのまま直撃する。


「ぐわああああああ!!そんな馬鹿なァァァァァ!!」


 ナイトメアアンデッドは悲鳴を上げながら消滅してしまい、光が収まるとその跡は何も残っていなかった。


「ハァ……ハァ……私……もう幽霊なんて怖くない!」


 シリアの笑顔にリリアンヌ達は彼女に飛びつき、抱き合いながら喜びあう。


「良かった!シリア、カッコ良かったよ!」


「つばめの勇気の行動のお陰よ。彼女がいなかったら今の私はいなかったわ」


「ううん。シリアが諦めずに頑張ったからだよ!」


 つばめが笑顔で応える中、パイルマンとマルコはナイトメアアンデッドが消えた跡を確認していた。


「取り敢えずはなんとか倒して……ん?」


 マルコが雪の下にある宝玉を見つけ、その宝玉を手に取る。その色は赤く光り輝いていた。


「これって……アカシアの宝玉だ!」


「「「ええっ!?」」」


 マルコの叫びにリリアンヌ達は一斉に驚きながら彼の方を向いてしまった。





「間違いない!これこそアカシアの宝玉だ。ゴーストマンモスの討伐もお疲れさん!」


 神殿に戻ったつばめ達はノスルに報告し、彼は笑顔で応える。


「更に紋章だ!受け取れ!」


「ありがとうございます!」


 ノスルは紋章を召喚してつばめに渡し、彼女は一礼をする。


「さて、残るはサンドキャニオンにいるファールスだな。あいつの事についてだが……実はスベラスの姉さんなんだぜ」


「「「スベラスのお姉さん!?」」」


 ノスルからの事実につばめ達は一斉に驚いてしまった。


「そうだ。あいつもスベラスの悪事は知っている。奴がアンバラスを復活させる事もな」


「スベラスがアンバラスを復活させる!?どういう事ですか!?」


 ノスルは更に事実を話し、パイルマンがその話に食い付いてしまう。


「ああ……噂によれば……奴がリリアンヌ達のパーティーに入ってから変わってしまったんだよな……俺から言えるのはそこまでだが、詳しくは彼女が知っているし、ブレイブバングルも作ってくれるぜ」


「分かりました。ファールス様に会って事実を聞き、最後の紋章とブレイブバングルを手に入れます!」


「その意気だ!勇気を胸に頑張れよ!」


「僕も信じています!」


 ノスルとマルコからエールを貰い、パイルマン達は彼等と別れて神殿を後にした。





 その後、リリアンヌ達は温泉に入って日頃の疲れとダメージを癒やしていた。


「残るはサンドキャニオン。油断は禁物ね」


「ええ。スベラスの事も気になるし、ブレイブバングルと最後の紋章も気になっているからね。何が何でも頑張らないと!」


「そうね。つばめ、エルメダス、シリアも勇気を持って戦ったし、私も頑張らないと!」


「その意気!その意気!」


「私も気を引き締めて頑張らないと!」


 5人が気合を入れる中、別の温泉ではパイルマンがスベラスの事について考えていた。


(あいつが一体何かあったのか気になるが、ファールス様に会ったら俺を狼にした事を伝えないとな……早く解除できるといいが……)


 スベラスは心の中で思いながら、疲れを癒やしたのだった。

紋章も残るはあと一つ!更にスベラスの過去も明らかになります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] シリアさんが洋館の中の掃除を始めたのよかったですね。それが亡霊に効果があったのも。そういうの好きです。 [一言] ゴーストマンモスからナイトメアアンデットに変身したのは驚きました。すごいで…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ