表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/674

第八十四話

 母さんが作ってくれたお弁当での昼食を挟み、青毛熊との戦いを繰り返した。剣と盾の変更も実戦でスムーズに行える自信がついたので、明日はオークに挑戦しよう。


 優では戦っていないが、玉藻で戦った感じでは恐れるべき相手ではないと思う。懸念だった攻撃力不足は解消された。ゴーレムの居る十七階層までは問題なく進めるだろう。


 地上に戻るべく最短経路を進んでいると、軍の一団らしき団体と遭遇した。全員が陸軍の軍服を着用しているから間違いないだろう。


「おっ、大盾使いとはこれはまた珍しい。この間上野で話題になった探索者か」


「ええ、最近上野ダンジョンで甲羅を手に入れて加工してもらいました。ここは人が少ないですから、慣らしに最適なんです」


 団体の先頭を歩く隊長らしき軍人さんに話しかけられた。他の軍人も興味津々といった感じで俺を見ている。


「場所によっては獲物の取り合いになるダンジョンもあるからな。人が居ないから野営訓練に使えるのだが、間引きの手間を考えるともう少し探索者に入ってほしいな」


「人間、楽な方に転がりますから・・・」


「若いのに達観しとるな。言うまでもないかもしれんが、ソロは危険だ。もう体験したようだがモンスターだけでなく人間にも気をつけろよ」


 俺への忠告を残して部隊は去って行った。隊長さんはあの放送を見て俺を覚えていたようだが、あの番組はそんなに視聴率が良かったのだろうか。


 翌日も朝からいつものダンジョンに入る。対青毛熊戦は昨日で十分なので更に先に進んでいく。七階層のゴブリンは玉藻になり焼いて進む。新品の剣や大盾にこいつらの臭いをつけたくない。


 八階層の迷い猫でモフモフを堪能し精神を回復させた。魅了無効のスキルさえあれば存分にモフモフするのだが、それが無いので引き際を誤っては魅了されてしまう。


 自身の尻尾をモフり放題ではあるのだが、それはそれこれはこれ。にゃんこは狐尻尾とは違った趣きのモフモフなのである。


 九階層の落とし亀はスルーしていく。穴の中で大盾は使えないし、剣もつっかえて使いにくいから鍛錬にならない。なので優としては初めての十階層に降りる。


 十一階層への最短経路から外れて歩くと、すぐにオークと遭遇した。玉藻で来た時には血走った目で突進してきたオークだが、今回は棍棒を構えてジリジリと迫ってきた。


「男と女でこうも違うか。知識として知ってはいたが、違いすぎないか?」


 などと言った所でオークは聞いちゃいない。両手で振るわれた棍棒を大盾でガードする。青毛熊の攻撃とは比べ物にならない衝撃を踏ん張って堪える。


 玉藻で戦った時は片手で振るっていた棍棒を両手で振るってきた。これは女性は致命傷を与えずに連れ帰るから手加減するが、男性はいらないから全力で叩くという事だろう。


「この世界でも男女差別は非難されるぞ・・・と言っても無駄だな」


 攻撃を防ぎきられてオークは怒りに任せて棍棒を頭上に振りかざす。勢いをつけて降ろされた棍棒は先程よりも早く、威力も増しているだろう。


 俺は大盾を僅かに斜めに構え、棍棒を正面から受けずに受け流した。大盾の表面を滑った棍棒は地面を叩き、オークの体勢を崩す。


 すかさず双剣に換装し、隙だらけの腹部を斬りつけた。左右で四撃叩き込んだがオークは辛うじて堪え、横殴りに棍棒を振るう。


 大盾に換装し棍棒を上に弾くと、弱ったオークは勢いでたたらを踏んだ。再度双剣に換装し両手の剣を腹に突き刺すと、さしものオークも耐えきれずに魔石へと変化した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] こんなに可愛い男の娘なのに男扱い、まさにオークに真珠だよ
[一言] しばらくはオーク相手に優君としての戦闘技術を磨くのが良さそうですね ダンジョンの間引きにもなるから軍としては願ったり叶ったりかな そういえば特定の階層だけスルーしてたらそこから氾濫が起きた…
[良い点] 更新ありがとうございます [気になる点] 「男女差別は非難されるぞ」つまり優君は玉藻ちゃんの時と同じように襲ってほしかったと…_〆(・ω・。)メモメモ [一言] 優君の内なる声が聞けてう…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ