第八話
お姉さんが準備する物があるというのでこの場で待つ事に。その間にスキルの説明を三人に行った。
「つまり、お兄ちゃんは男の娘にも女の子にもなれるという事ね」
「少々引っ掛かる部分はあるが、概ねその通りだ」
「スキルを使って見せる必要があるけど、その時に服を着ていない状態になるから私が立ち会うと。勿論立ち会うわよ」
舞の発言に突っ込みたい部分はあれど、スキルの内容は正しく家族に伝わったようだ。非戦闘系スキルで変なスキルだったにも拘わらず、家族からは落胆したような感じは受けなかった。
それどころかお母さんと舞は目をキラキラさせて喜んでいるように見えるのだが・・・息子や兄が女性になるなんてスキルで喜んでいるというのは流石に無いだろう。
「お待たせしました。別室で優君にスキルを使って貰うので、お母さんに立ち会いをお願いします」
「先程優から聞きました。勿論立ち会いますとも」
「お母さん、私も立ち会いしたい!」
三人で移動しようとした瞬間、舞から立ち会いたいと意思表明をされた。いくら実の妹とはいえ、思春期の女子に一糸まとわぬ姿を見せるのは抵抗がある。
「えっと、舞、今は手続きを優先しないと・・・」
「構いませんよ。では妹さんにも手伝っていただきましょうか」
やんわりと断ろうとした言葉をお姉さんに遮られてしまった。舞は視線でお姉さんに感謝を伝え、お姉さんは舞にサムズアップしている。
「優、減るものではないしここは諦めて」
「減るよ、俺の精神がゴリゴリと音を立てて減っていくよ!」
抗議するも受け入れられる事はなく、そのまま更衣室と書かれた部屋に入る。三人はさっさと入っていったが俺は女子更衣室と書かれた部屋に入る事を躊躇してしまう。
「優君、どうせ女体化して堂々入れるようになるのだから遠慮する必要は無いわよ」
「いやいやいや、入りませんよ!男性に戻れるのに堂々と女子更衣室に入るなんてしませんて!」
男性に戻れないならまだしも、俺は任意のタイミングで男性に戻れるのだ。なのに女子更衣室に入るのは道徳的に問題しか無いだろう。
「優君も例に漏れないのね。過去に女体化した人も道徳心が高くて、女体化による問題は起きていないのよ。なのでその系統のスキルを授かる人は道徳心と自制心が高いと言われているわ」
「お兄ちゃんならそのまま女子更衣室に入ってもすんなり受け入れられそうな気もするけど」
舞、それはお兄ちゃんが女の子に見えると言う事かな?お兄ちゃん泣いてしまうぞ。そしてお母さんとお姉さん、納得だと言わんばかりに首肯するのを止めて下さい。
「兎も角、今は無人ですし上に報告もして了解を取っているので問題ありません。お父さんを待たせているのですから、さっさと終わらせましょう」
そこまで言われては意地を張る事も出来ない。俺は観念して思春期男子憧れの場所、女子更衣室に足を踏み入れるのだった。