第七百五十六話
さて、三十九階層を探索しよう。アーシャのスキルでこの階層は一本道の先に大きな部屋がある事が判明している。そしてモンスターが見当たらない事も。
モンスターが見当たらない。それはモンスターが居ないと同意義ではない。地中や壁、天井に隠れていたり不可視という可能性があるのだ。
慎重に奇襲に備えながら進む。地中からの奇襲に備えて空歩を使う事も忘れない。しかし、そんな用心を嘲笑うかのように何事もなく広い部屋に着いてしまった。
「かなり広いし天井は見えない程高いのぅ。見た目は何もおらんようじゃが・・・」
まずは壁沿に進みながら壁を調べる。これといって仕掛けなどは無さそうで、結構な時間を使って入り口に戻ってきた。
「ふむ、モンスターも居なければ次の階層への渦も無し。何らかの仕掛けがあるようじゃな」
あるとすれば部屋の中央だろう。戻る訳にもいかないし、覚悟を決めて行くしかない。警戒を怠らず部屋の中央へと進んだ。
『挑戦者の到着を確認、戦歴を確認しました。最少討伐種、グランドモール。召喚します』
「なっ、頭の中に!」
念話とでも言うものだろうか。部屋の中央付近まで来ると脳内に響く声が聞こえた。そして俺を囲むように五つの魔法陣が発生し、三十七階層に出てきたモグラが現れた。
「先ほどのメッセージからするに、こ奴らを倒せという事じゃな」
急ぎ空歩で高度を取ると、先ほど俺が居た場所を石の槍が多数通過していった。お返しにモグラの一匹に神炎さんを叩き込む。
「ここの床は掘れぬようじゃな。地中に潜れぬモグラなぞ神炎の良い的じゃ!」
部屋の外周に沿うように走り石の槍を避ける。部屋の中央に居るモグラは偏差射撃が出来ないようで、俺の背後を石の槍が通過していった。
カウンターで神炎さんをプレゼントしているが、流石は三十七階層のモンスター。中々魔石にかわらないし炎に包まれながらも反撃の手は緩まなかった。
しかし対象を燃やし尽くすまで消えない神炎さんから逃れる事は叶わない。一匹一匹魔石に変わっていき、五匹のモグラ全てが魔石へと変化した。
『試験終了。合格と認定します』
再度脳内にアナウンスが響く。しかし、部屋に変化は見られない。四十階層への渦も出ず、先に進む事も出来ない。
「ここが最終階層ならば、クリアという事で地上に戻る渦でも出る筈じゃがな」
ラノベなどではそういうダンジョンが多いが、この世界のダンジョンではそんなサービスは無いようだ。まあ、全員が空間魔法を使える世界の産物なので必要無いと言われたらそれまでだ。
再度部屋の中を探索するが何もない。三十八階層に戻る渦までの通路も確認したが、隠し通路のような物も見当たらなかった。
念の為三十八階層への渦に入ってもみたが、三十八階層に戻っただけで再度渦に入れば三十九階層に
戻れた。
「もしここが最奥ならば、ダンジョンを制御する施設に行ける筈なのじゃがなぁ・・・」
かつてイタズラ好きな神と知識欲旺盛な神が訪れたという制御施設。どうやったらそこに行けるのだろうか。




