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第七百四十七話

「ニコライが行くのに、何で余はダメなんだ・・・」


「陛下は公務がありますからね。玉藻様、どうか無事にお戻りを」


「ありがとうございます。必ず無事に戻ります」


 冬休みに入り、皆を迷い家に入れて皇居ダンジョンに潜る。見送りに侍従長さんと陛下が来られたのだけど陛下は未練たらたらだった。


 俺は侍従長さんに首根っこを掴まれた陛下から目を逸らしてダンジョンに入る。助けを求める捨て猫のような目で俺を見る陛下なんて見なかった。うん、俺は何も見なかった。


 ダンジョン内部は何度も通った道だ。次の階層までの最短距離を突っ走る。目的は三十六階層の鷹を越えて先に進む事なので、途中のモンスターは道を塞ぐ最低限の物だけを倒していった。


 間引きを兼ねているので倒していった方が良いのだが、浅い階層のモンスターを狩るより深い階層のモンスターを狩る方がダンジョンが消費する魔力が大きい。


 なのでここで時間をかけるより深く潜ってから間引きした方が効率が良いのだ。しかもレアドロップが出た場合の価値も深い階層の物の方が高い。その点からも先を急いだ方が良い。


「玉藻お姉ちゃん、久し振りのダンジョンだから少し戦ってみたい」


「そうじゃのぅ、いきなり強敵と殺るよりは肩慣らしをしておく方が安全じゃな」


 昼休憩時に舞から提案され、途中で少し戦闘して行く事になった。寄り道したのは十一階層。突撃牛は弱い訳では無く、もし舞が迎撃に失敗してもすぐフォローすれば大事に至らない程度というのが理由だ。


「これは結構難しいな。簡単に発動させるアーシャは凄いな」


「お父様、コツを掴めば早く作れるようになりますわ」


 ニック、動きたくても動けない突撃牛が涙目になってるから早くトドメを刺してやってくれ。ちょっと可哀想になってきた。


 現在の状況を説明すると、慣性制御で静止させた突撃牛にキューブの魔道具でトドメを刺していた。そこにアーシャが自分もやりたいと言い出し、ニックや両親も参戦してきたのだ。


 戦った経験のない素人が十一階層で戦闘なんて普通に考えたら自殺行為以外の何物でもない。しかし、接近する突撃牛はアーシャが千里眼で見て知らせ、舞が慣性制御で止めてしまう。突撃牛は置物と化してしまうので危険はほぼ無いのだ。


 後はキューブの魔法を使って一方的に攻撃すれば突撃牛は魔石に変化する。勿論、少数ではあるが魔石ではなくお肉に変化もしてくれる。


「ここまで来れる探索者は多くない、危険な階層な筈なのじゃがのぅ」


「玉藻お姉ちゃんがそれだけ規格外だって事よね」


「突撃牛を完全に動けなくしている舞ちゃんも規格外だと思います」


 呆れを含んだ俺の呟きに舞が突っ込むが、そこにアーシャからの突っ込みが追加された。かなりの広範囲に居る突撃牛全てを見ているアーシャも大概だと思うぞ。


「ずっとこうしておる訳にもいかぬ。そろそろ先に進む故迷い家に戻るのじゃ」


 突撃牛を一方的に倒して満足した両親とニックは戦利品のお肉と魔石を抱えて戻っていった。舞とアーシャも笑顔で戻っていく。


 尚、この時補充したお肉の一部は夕食の厚切りステーキとなってスタッフ一同が美味しくいただきました。

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― 新着の感想 ―
最近侍従長の余の扱いが何気に酷いのだが 何故に、解せぬ。 とある現人神の呟き
うむ、こんな陛下の姿を臣民に見せるわけにはいかない 優君は何も見なかった。イイネ?
仮に迷い家の常駐スタッフを公募なんてしたらどうなってしまうのか、とふと。きっと一番簡単に地獄をつくる方法だとおもうw
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