第七十四話
作者「良かったな優、読者の皆さんが可愛いと褒めてくれたぞ。お礼にゴスロリとかニャンコパジャマ姿でも披露するか?」
優「可愛いのは玉藻だから!男の俺じゃないから!」
作者「大丈夫、男の娘の優も可愛いから」
ギルド内は騒がしいので外に出る。お昼時なので線路をくぐり、お肉屋さんの二階で営業しているすき焼き屋さんで腹を満たした。
お肉屋さん直営なので値段は安いが量もあり味は文句なし。家の近くだったら頻繁に通いたいと思わされるお店だった。
俺は予定を変更して一度帰る事にした。加工を待って受け取ってから帰るつもりだったが、玉藻捜索で騒がしいのでダンジョンに入る気がしない。
となると上野に居て何をする?という事になり、動物園でモフモフを見る位しか思いつかないので帰る事にしたのだ。
ただすぐに帰るのではなく、また高架線を潜って大通りまで歩き、有名家電量販店に入る。売り場の案内を見て目的の物を売っている売り場まで直行した。
買おうと思っているのはカメラだ。長く使う訳では無いので、高い物は必要ない。映像と音声を撮れてスマホにそれを転送する機能があれば良い。
適当な機種を買いリュックに放り込む。そのまま駅に向かい家の最寄駅に向かった。車内は混んでおらず、座る事が出きたので楽だった。
スマホでネットを見てみると、上野で目撃された獣人少女の話題で溢れていた。援護されたパーティーの証言としてゴーレムを素手で撃破したとの情報があり、多くのパーティーがスカウトの為に探索しているらしい。
「これ、属性盛りすぎだろ。アニメのヒロインかよ」
「狐耳に尻尾だけでも十分なのに、可愛い上にスタイルも良いし巫女服って・・・」
「そこにゴーレムをソロで撃破する実力じゃ、スカウトしない理由がないよなぁ」
近くに座っている大学生らしきグループも玉藻関連のニュースを見ているようだ。容姿まで広まっているようだが、すれ違った探索者が撮影していたのだろうか。
勝手に姿をネット上に晒された事に思うところはあるけれど、削除を求めても完全に消す事など不可能に近い。それに、そこから手繰られるのも嫌なので放置するしかない。
複雑な思いを持ちつつも家に無事帰宅した。両親はまだ診察時間で仕事中。舞はリビングでスマホを弄っていた。
「舞、ただいま」
「おにい、おかえりなさい。早かったわね」
「加工出来るのが早くて明後日だから、一度帰ってきたんだ。完成の連絡が来たら取りに行く」
舞との会話を終わらせ、洗面所で手洗いをして自室に入る。リュックを下ろして人心地ついた。そこで一つミスしている事に気づいた。
部屋を出て医院の方に向かう。待合室には数人の女性が診察待ちをしていたが、入ってきた俺に気づき話しかけてくる。
「優ちゃん久しぶりね。ダンジョンで怪我とかしてない?」
「結構深くまで潜ってるって聞いたけど、無理していない?」
「優ちゃんが怪我なんてしたら、おばさん達悲しいからね」
俺が産まれる前からのお得意様達なので、俺のことを親身になって心配してくれる。今世では良い人達に囲まれているとつくづく思う。
「ご心配おかけしてすいません。かなり余裕を持って潜っていますから大丈夫です」
お母様方に笑顔で応対して、ここに来た目的である母さんに話しかける。
「母さんただいま。一旦帰ってきたけど、夕食の支度で必要な買い物ある?」
「おかえりなさい、優ちゃん。そうね・・・ハマチのお刺身にしようと思っていたから追加で買ってきてくれると嬉しいわ」
「了解、買ってくる。他には無いね?」
予定を変更し連絡なしで帰ってきたので、俺の分の夕食は用意されていないのだ。危うく今日の夕食が白米だけになる所だったよ。




