第七百十九話
予約投稿で投稿日指定が出来ず、投稿が遅れてしまいました。
時間の指定はできるのに、何故か日にち指定画面が開かないのです。
フロアに一般客や店舗スタッフが残っていない事を確認して、護衛に囲まれながら建物から脱出した。その足で県警が設置した臨時対策本部に向かう。
「ダメです、配置されている警官達では足止めすらままなりません!」
「我らは犯罪者の相手が仕事で、人外は想定していないからなぁ・・・」
予想外の事態に頭を抱える本部長。俺やアーシャへの襲撃は想定していても、まさか怪物が現れるなんて夢にも思っていなかっただろう。
「本部長、戦況は?」
「神使様・・・対象を製薬会社の敷地内部に留めるべく警官隊が奮闘しています。しかし成果は薄いと言わざるを得ません」
所轄の警官では装備はジュラルミンの盾が精々だろう。それで怪物に立ち向かえと言うのは酷な話だ。しかし警官隊は臣民を守るためにそれを行っている。
「もしもし中佐、上尾の事件の報告は・・・受けていますか。では交戦の許可を・・・はい、ありがとうございます」
俺は神使であると共に帝国陸軍情報部所属の中尉でもある。事件に巻き込まれたのであれば上司に報告しなければならない。
「本部長、警官隊を下げて下さい。彼らの装備では犠牲が増えるばかりです」
「しっ、しかし、神使様の身を危険に晒す訳にはいきません。報告では板橋ダンジョンに出た者と同じ可能性が高いそうです。勝てずとも時間を稼げば自壊するでしょう」
警察でも板橋の件の情報ほ共有されているようだった。本部長の言う通り、板橋では身体が崩壊して自滅した。それは間違いなかった。
「だが本部長、今回の怪物が板橋の者と全く同じだという保証は無い。もし同じ者により改造された者だとしても、完成度が高くなっている可能性は否めない」
実際、林原さんは身体の崩壊を起こさなかったのだ。強化の方向性が違う為とも思われるが、それは彼らを改造した者に問わないと確定した答えは出てこないのだ。
「本部長、奴が隣接する団地の方向に!団地にはまだ人が残っています!」
「何だと!避難命令は出した筈では無かったのか!」
製薬会社の林は西がカリオ上尾に、北が団地に隣接している。ちなみに東は古い住居や店舗が点々と存在し、南は県道を挟んではいるが東と同じだった。
「元々警官隊か配置されていたカリオと違い、警官の派遣に時間がかかりました。それと、ベランダから怪物を撮影している者も・・・」
「SNSの数字と自分の命、どちらが大切かも判断できんのか!」
誰でも世界に情報を発信でき、名を広める事が可能となったSNS社会。これはその弊害と言ってもいいだろう。
「優お兄さん、この状況で玉藻様になって戦ったら野次馬増えて避難の妨げになりませんか?」
「そんな事は無い・・・とは到底言えない状況だよなぁ」
アーシャの指摘は多分正しい。それでも優のまま斧槍で戦えば警官隊の犠牲を減らす事が出来るだろう。
「お姉ちゃんのままでも有名なのだし、それはそれで撮影者が増えそうな気がするわ」
「舞、さらっとお兄ちゃんの思考を読まないでくれ。そして正論で殴るのを止めてくれ」
それを言われると、お兄ちゃんは身動き取れなくなるのだよ。全く、有名になんかなるものではないよな。




