第七話
「これ、両方とも聞いたことが無いスキルね。使い方は分かるかしら?」
「はい、大体理解出来ます」
俺が授かったスキルは二つだった。「着せ替え人形」と「女性体」というもので、どう考えても戦闘系スキルではないだろう。
「女性体は女体化や男体化の亜種かしら。効果を教えて頂戴」
「女性体は使うと女体化するようで、元に戻る事も出来そうです」
スキルを授かりステータスで確認すると、その使い方が瞬時に理解出来る。なので浮かんだ内容をお姉さんに伝えた。
「元に戻れるというのは聞いたことが無いわ。多分新種として登録されるわね。着せ替え人形も初めて聞くのだけど、そちらの効果は?」
「人形を呼び出して服や装備を着せると、瞬時に着せ替えが出来るというスキルらしいです。二つまで呼び出せるようですね」
神様からダンジョン攻略を依頼された身としては戦闘に役立つスキルを得られると思っていた。しかし実際に得たのは女体化と着せ替えだ。神様は何を思ってこのスキルを選択したのやら。
「特に危険は無さそうね。スキルを試しに使ってもらえるかしら?」
「では着せ替え人形を使います」
スキルを意識すると、目の前に等身大のデッサン人形が現れた。これに服を着せる事で入れ替えが出来るようだ。
「付随スキルとして洗浄と修復が付いてます。これに着せた服や装備は自動的に洗浄されて修復されます」
「それは便利ね。試しに着せ替え能力を使ってみてもらえるかしら」
着せている服が無いのに使えるかと意識を向けてみたら、一応使える事が分かった。しかし今ここで使うのは少し抵抗がある。
「どうしたの、使えないのかな?」
「いえ、一応使えるのですが、着せ替え人形に何も着せていない状態だと能力を使った瞬間に全裸になるようで・・・」
思春期真っ只中の男子中学生が推定二十代後半の女性と二人きりの室内で全裸になるというのは流石にマズイだろう。お巡りさんを呼ばれても文句を言えない立場になるのは間違いない。
「そ、それはちょっと不味いわね。ここは監視カメラもあるし場所を変えましょう。それと、お母さんに立ち会って貰った方が良いわね」
お姉さんは顔を真っ赤にしてそそくさと部屋から退出する。俺もそれに続いて家族の待つ部屋へと歩いた。
「優、お疲れ様。どんなスキルを授かったんだ?」
部屋に入るなりお父さんが質問してきた。俺が答えて良いのか分からないのでお姉さんを見ると、無言で頷いた。これは答えて良いという事だろう。
「俺が授かったスキルは二つ。着せ替え人形と女性体だった」
「「「えっ」」」
お父さんとお母さんと舞の困惑した声が重なった。