第六百九十九話
「当日の護衛計画ですが、幾つかのプランを立てて参りました」
まず提示されたのが、施設ごと借り切り他の客を完全に排除するというもの。これは警戒する対象が店員のみに限られるのでアーシャの安全を確保しやすい。
「週末に施設貸し切りは流石に・・・お店に迷惑かかり過ぎるわ」
「無人の店舗を回るというのもシュールじゃしのぅ」
本部長にとっては一番良いと思われる選択肢に舞が難色を示した。俺もどちらかと言うと反対である。俺も舞も庶民なので、集客が多い週末にショッピングモール貸し切りなんて申し訳なくて耐えられそうにない。
カリオの二人は自分達の意見を言わなかったが、舞と俺が難色を示した途端強張っていた表情が緩んでいた。
「次は、御三方に目立たぬよう変装してもらうプランです。元々の計画と同じですが、警官を増員しています」
これは既に策定された計画を手直しした物なので、県警にとってはやりやすいだろう。しかし、一つだけ問題がある。
「その場合、妾は滝本優で行く事になるのぅ。この姿では誤魔化しようがない故な」
妖狐の姿でどう変装しようとも、玉藻である事は隠しようがない。まあ、これはカリオの二人が居るからの発言だ。
元々はレイスの布で目立たないようにして行く計画だった。しかし、あの布は玉藻の存在を意識から流させる程の効果はないのだ。なので優の姿で行く事になる。
だが、優での防御を担う落とし亀の大盾は失われてしまった。いざという時の事を考えると、迷い家をすぐ展開できる玉藻でいた方が安全度が増す。
舞の慣性制御を抜ける攻撃を受けるとは思いたくないが、楽観視して後に後悔するのは御免だ。実際、緒方元少将のスキルは舞のスキルでは防げないだろう。あれは足の小指が痛くなるだけだったが、もっと大きな威力の攻撃を齎すスキルがあるかもしれない。
「最後は、周囲を警官で固めさせていただく方法です。野次馬が集まり危険度が高い上、移動速度が落ちる可能性が高いのでお勧め出来ません」
「でも、玉藻お姉ちゃんと一緒にお買い物出来るわね。お姉ちゃんにお洋服を着てもらうチャンス!」
「巫女服も素敵ですが、玉藻お姉様とお揃いのお洋服も着てみたいです!」
一番危険だと言うのに舞とアーシャは乗り気なようだ。カリオの二人も期待に目を輝かせている。施設としてはこれが一番美味しいだろうからな。
「アーシャの安全を考えるとのぅ・・・」
護る立場として考えてしまう俺としては、この選択肢は外したい。本部長も同じ意見なので、俺に頑張ってくれと目力でエールを送ってきている。
「巫女服と浴衣以外の服を着る玉藻お姉さんを見たいです」
「玉藻お姉ちゃん、ダメ?」
目をうるうるさせて俺を見る舞とアーシャ。カリオの二人も期待を込めて俺を見る。本部長俺をじっと見つめているが、その目は「頑張って却下して下さい!」と訴えている。
えっ、決定権は俺にあるの?話し合って決めるのではなくて?




