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第六百十話

 もう一つの宝箱を目指して歩く。アーシャが宝箱の位置を示し、舞が突撃牛を魔石や牛肉に変え、三人娘がそれを拾う。


「妾だけ何もしておらぬのぅ」


 普段なら神炎さんに突撃牛を焼いてもらうのだが、その役目はキューブに取られてしまっている。出番を取られた神炎さんは泣いているかもしれない。


「そもそも、この探索自体が玉藻様の迷い家頼みですが?」


「玉藻お姉ちゃんのモフモフは、モフれなくても見るだけで舞達を癒すからね?」


 俺のぼやきに対して冬馬伍長と舞から即座にフォローが飛んできた。冬馬伍長は兎も角、舞は高速でキューブを揃えながらこちらを見ているが何でそれで揃うのさ?


 そんな訳で道中の戦闘は危なくなる事もなく、ただ魔石と牛肉が増えただけで終わった。俺達の目の前には宝箱が鎮座している。


「では開けます」


 いつものようにアーシャと舞が宝箱を開ける。冬馬伍長は何も言わず宝箱を凝視していた。


「おおっ、やった!」


「伍長、良かったですね!」


 冬馬伍長が歓声を上げ、久川兵長が祝福する。宝箱には白銀の剣身を持つ片手剣が収納されていた。


「玉藻様、試し斬りをしたいのですがよろしいでしょうか?」


「うむ、使ってみるがよい。皇女殿下と舞は迷い家で待機じゃな」


 念願の新たな剣を入手した冬馬伍長は子供のようにはしゃいで試し斬りの許可を求めた。却下する理由は無いので即座に了承する。


 十二階層への渦に向かって歩いていると突撃牛が向かってきた。冬馬伍長が前に出て俺達は少し後ろに下がる。


 突撃牛は最も近い冬馬伍長に狙いを定めて突進してきた。伍長はサイドステップでそれを躱すと牛の首に剣を振り下ろす。


 突進を躱された突撃牛は足を踏ん張りブレーキをかける。その最中、斬られた首がポロリと落ちて魔石へと変化した。


「この剣、凄い切れ味です。刃が何の抵抗もなく通りました」


「となると、突撃牛では威力の検証には役不足かのぅ」


 十二階層の火鷹も十三階層のコボルドも、防御の高さでは突撃牛に劣る。新たな剣の真価を見るには適さないだろう。


「次に堅いモンスターが出るのは十三階層の跳び百足じゃな」


「玉藻様、この剣に慣れたいので斬らせて下さい!」


 神炎さん、この階層での出番は無くなったようだ。まあ、次の階層では神炎さんに頼る事になりそうだから待っていてもらおう。


「むっ、次の獲物が来たようです。今宵の剣は血に飢えていますよ」


「おい、井上。伍長を止めた方が良くないか?危ない人になりかけてるぞ」


「こういう時は見てないふりをするべきですよ」


 辻斬りみたいな事を言いだした冬馬伍長を心配する久川兵長に、スルーしろと諭す井上兵長。一時的な物だろうし、俺も井上兵長に同意だな。


「ふっふっふ、先程は首だったので手応えが無かった。次は胴体を真っ二つに・・・へぶっ!」


 突撃牛の突進を避けて胴体に一撃を入れようとした冬馬伍長は、突進を避けた際に転びコロコロと転がってしまった。


 俺達は勿論、突進を躱されて方向転換しようとこっちを見ていた突撃牛まで唖然としているのだが・・・この空気、誰かどうにかして下さい!

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― 新着の感想 ―
しまらなねぇ…
鑑定できるアイテム手に入れてるんだからすぐ使おうよ 変なアイテムが多いんだから こけたのデメリットでしょ、たぶん
冬馬さん何故に最後に転がったんだろう? 単に浮かれててポカをしただけなのか、剣に何かデメリットがあったのか
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