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第五百二十五話

「妹さんは兎も角、殿下の登録となれば納得だ。と言うか、何故皇女殿下が探索者登録するのだ?」


「理由の一つはダンジョン探索に極めて有用なスキルだから。もう一つはご本人の意思だからですよ」


 舞とアーシャの合体技となるが、新たな階層の地図を訪れてすぐに作成出来るのは大きい。普通ならば何処にあるか分からない次の階層への渦を探して歩き回らないといけないのだ。


 広大なフロアの中をただ探すだけでも苦労する。草原や荒れ地のような見晴らしの良いフィールドならぱまだ良く、森林や洞窟などでは渦の近くに行かないと発見出来ない。


 それに加えて強力なモンスターとの戦闘まで熟さなければならないのだ。地図を作成してきた先人達の苦労たるや如何程の物だったのか。


「中尉のスキルも大概だと思うが・・・その中尉がそこまで言う程に?」


「それ程です。我々陸軍は間違いなく到達階層を更新していきます。その際彼女らの力が有るか無いかで数倍の差が出ると思いますよ」


 早期に渦が見つかれば良いが、中々発見出来ない場合もある。そのロスが完全に無くなる二人のスキルの有無で攻略速度は大きく変わる。


「ですが、だからと言って殿下が陸軍と共にダンジョンに潜りたいと希望しても・・・」


「宮内省は猛反対するでしょうな。そうか、それ故の探索者登録か」


 探索者登録をしたからと言って、大手を振ってダンジョンに潜れる訳では無い。しかし、探索者がダンジョンに潜る事を止める法律も存在しない。


 これがベストな選択とは思わないが、少なくともベターではあると思う。どう足掻いても百点満点を出せないのならば、まずは六十点を取っておく。


「宮内省はこの事を知って・・・いる訳が無いか、知っていたら絶対に止めるだろうから。もし苦情が来たら関に回すからな」


「ありがとうございます。舞、身分証明書と銀行の通帳を」


 舞は学校の学生証といつも使っている銀行の通帳をギルド長に手渡した。その横ではアーシャが困り顔で俺を見ている。


「えっと、銀行の通帳は持っていないのですが・・・」


「ギルド長、口座への紐付けは後でも出来ますね?」


「ああ、窓口に探索者証と通帳を持ってくれば出来る。出来るがやるなよ?窓口が大混乱に陥るからな」


 ギルド長は釘を刺すと受け取った学生証と通帳を持って出て行った。少しして戻ったギルド長の手には二人の探索者証があった。


「これで二人とも探索者だが、本当に殿下をダンジョンにお連れするのか?」


「浅い階層ならば地上よりも安全ですよ。モンスターは全て敵ですが、人間は敵か味方か分かりませんからね」


 モンスターは現れたら全て叩けば良い。しかし、人間はそうはいかない。それに敵だとしたらどんな攻撃をしてくるのかも分からないのだ。


「そうか、そう考えるとダンジョンの方が安全とも言えるのか」


「嫌な考え方ですけどね」


 ともあれ目的は達成出来た。長居してギルド長の仕事の時間を奪うのも悪いので、俺達はギルド長にお礼を言って上野ギルドを後にした。

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― 新着の感想 ―
今日までの友が明日は敵になることもあるのが人間ですからね ダンジョンへの挑戦者を鍛えるために攻撃してくるモンスターは、ある意味では純粋な存在なのかも
常に神炎で周囲100mくらい火の海にして敵を焼いておけば地上でも安全じゃね?(終末の発想)
もうちょっと立場が軽ければダンジョン攻略への協力は良い宣伝材料になるんだけどねぇ。 せめて、迷家が公開できる状態なら安全性の担保になるって言っても本末転倒だし、何か良い抜け道無いですかねぇ。
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