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第五十二話

学校の検診で素肌を晒す事への是非が問題になっているようです。

優君のお父さんのように握手で診断出来れば解決なのですが、現実にスキルなんてありませんからねぇ・・・

 無事に中間試験も終わり六月に入った。学年上位の順位を維持出来て胸を撫で下ろしている。今日は久々に2015ダンジョンに潜る。


 この一ヶ月程の間に俺への熱も薄れたようなので、今日は男の姿で潜る事にした。玉藻への探索も切り上げてくれていれば有り難い。


 ギルドは相変わらず閑古鳥が鳴いている状態だった。受付の横を抜けダンジョンに入る。今日はギルド員さんに何も言われなかった。


 降りていく階層で周囲を観察していたが、前回居たような玉藻探索員らしき人は見当たらない。こちらも諦めたのだろう。


「では、鬱憤晴らしも兼ねて狩りますか」


 九階層に着いた俺は十階層への道から外れて女性体と妖体化のスキルを発動する。久々の玉藻なので体を動かし違和感が無いかをチェックする。


 問題無い事を確認し、落とし亀を求めて歩き回る。穴が開いた瞬間に空歩を発動して穴から脱出、狐火で亀の丸焼きを作っていく。


 今日の亀狩りの目的は、ごく偶にドロップする落とし亀の甲羅を得る事だ。この甲羅を落とし亀の大盾に加工してもらい装備するつもりだ。


 この落とし亀の大盾、前世で言う不遇武器(防具)という奴である。使用者は国内で十指に満たないのではなかろうか。


 性能は良い。魔鉄の大盾よりも強く、重さは少し重い程度。大盾は重量で相手を抑えるという使い方もあるので、軽すぎても問題となる。


 では何故に不遇なのか、まずは材料の入手方法。九階層まで降り、クソ堅い落とし亀を倒さなければならない。しかも、ドロップ率が低い為かなりの数を倒す必要がある。


 そして出た甲羅を持ち帰らねばならない。大きくて嵩張り、それなりに重量もある甲羅を持つ以上、一人は戦闘から離脱する事になる。


 甲羅か完成品を購入しようにも、希少でそこそこ高値が付こうとも出すのにも持ち帰るのにも多大な手間が掛かる甲羅で儲けようなんて探索者は居ない。


 九階層を通過する探索者は落とし亀に遭遇してもスルーしてしまい倒さない。穴の中なので追いかけてくる事もなく、氾濫の原因にもならないからだ。


 故にたまたま倒されて甲羅が市場に出る事すらほぼ無い上に、大盾という防具を使おうとする探索者もほぼ居ないので需要もなく問題にもならない。


 大盾に限らず、大剣や大戦斧、戦鎚といった大物を使う探索者は少ない。大剣使いや大盾使い等の特化スキルや身体強化を授かった人しか使わないからだ。


 特化スキル所持者は少ないし、身体強化スキル所持者もかなり少ない。腕力強化スキルはそこそこ居るようだが、彼等は大物を使わない。


 腕力だけが強化された場合、持ち上げる事が出来ても振るう事が出来ないのだ。ダンジョンで持ち歩く必要もあるので、腕力だけ強化されても扱えないのである。


 そんな状態な上に、身体強化スキル所持者は大剣等の派手な攻撃を出来る得物を好む。なので余計に大盾は不遇となっているのだ。


 しかし俺はヘラクレス症候群の力で扱う事ができるし、着せ替え人形の効果で六種類まで武装を変更出来る。ならば使わないという選択肢はない。


 市販品の大盾を買おうにも、需要がないからオーダーメイドとなり高額となる。しかし原料持ち込みならば加工賃プラスアルファで買えるので手が届く。


 多少目立つかもしれないが、戦力強化の為には少しくらいの妥協は必要なのだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 盾も鈍器の一種ですから、優君のパワーで振り回せば必殺の凶器になりますね
[良い点] 落とし亀の大盾の愛用者がそんなに少ないとはな〜 そりゃあそうか、、、重たいと大変ですからねえ。 だが優くんからデメリット無しで運用できますからね。 完成が楽しみです。 [気になる点] 魔…
[良い点] 優くんの能力考えると極端な武器はそれぞれ1は欲しいですよね 超防御、超攻撃力、超遠距離武器、超速武器 それに得意なのやらバランス取れてる武器で間を埋めていく感じで [一言] 肌を見せる健診…
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