第四百七十八話
「専属の者達との顔合わせを行おうと思うのですが、よろしいでしょうか?」
「今皇帝陛下と皇女殿下がいらしていますが、そちらが良いなら大丈夫です」
今度は侍従長さんだった。後ろに専属の人達と思われる侍従さんやメイドさんを連れている。俺が皇帝陛下と皇女殿下が来訪していると告げると一瞬だけ表情が強張った。
「陛下と殿下もご存じですよね。それならば支障は無いでしょう、お願いします」
玉藻の正体を告げる予定なのでそれを知らない者の同席はマズイのだが、ニックとアーシャは知っているので何の問題もない。
俺が戻るのに続いて侍従長も入室し、他の侍従達とメイドさんも入室した。侍従さんが四人、メイドさんも四人の八人がこの部屋付きになるようだ。
「この方達が滝本家の方々だ。見て分かると思うが、皇帝陛下と皇女殿下とも親交のある方達だ。呉呉も失礼のないよう励むように」
侍従長さんが選んだ人達なのだから平民という身分で侮っていたなんて事は無いと思う。だけどロシア皇帝親娘と親しいと告げられて気を引き締めたように感じた。
「そして滝本中尉には重大な秘密がある。現在それを知る者は天皇陛下や皇帝陛下、皇女殿下に陸軍の一部の者達だけだ。万が一にも漏らす事など無いようにな。では滝本中尉、お願いします」
「了解です。マスコミなどでも報じられているので知っているかもしれませんが、俺には着せ替え人形と女性体という二つのスキルがあります」
質問されるかもと間を空けたが、侍従さん達は全員知っていたようで誰も質問しなかった。なのでそのまま続ける事にする。
「そして、私には女性体スキルで女性となった時のみ使える三つ目のスキルがあります。それがこの妖狐化です」
女性体を発動して黒ゴス姿に変わり、一拍置いて妖狐化を発動。玉藻に変化すると専属の人達は目を見開いて驚いていた。
「質問があるなら受け付ける故、遠慮なく申し出るが良いぞ」
「えっと、本当によろしいのでしょうか?滝本中尉が宇迦之御魂神様の神使である玉藻様で間違いないのですね?」
「そうじゃ。妾は玉藻になると別のスキルを使用可能となるのじゃ。冬馬パーティーが三十二階層まで到達したのはそのスキルを活用した結果じゃな」
恐る恐る念を押してきた侍従さんに頷くと、俺が玉藻である事を再確認してきた。俺は肯定し他にもスキルが使えるようになる事を明かした。
「私達にそのような重大な秘密を明かされたという事は、室内で玉藻様になる事があるのでしょうか?」
「妾がよく使うスキルに迷い家という便利な物があってのぅ。ここでも使う故、そなたらも承知しておいて欲しいのじゃ」
論より証拠と迷い家への入り口を出す。舞が嬉しそうに見えるのは、海で遊べるからなのか海産物取り放題とバーベキューを期待しているからなのか。
「ここに入ると別の空間に存在する迷い家に入る事が出来るのじゃ。迷い家には妾が許した者しか入れぬのでな、ダンジョン内だろうと安全に休めるという訳じゃよ」
専属の皆さん、多すぎる情報量にオーバーヒートしてそうだけどこのまま続けても大丈夫だろうか。




