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第四百四十二話

「あっ、良くぞご無事で!お疲れ様でした」


「ダンジョンより陸軍のパーティーが帰還しました。はい、四人とも無事なようです」


 渦から出ると、ダンジョン監視の任に就いている近衛の人が俺たちを見付け一人は労を労い一人はどこかに報告をした。戻る日程が分からなかったので心配を掛けてしまったようだ。


「お疲れの所を恐縮ですが、お戻りになられたら控えの間にご案内するよう申し使っております」


 連絡をしていた近衛が俺達を先導する。特別攻略部隊が使っていた部屋に行くのかと思ったが、控えの間という事は陛下がお出ましになるのだろうか。


「こちらにてお待ち下さい」


「お疲れ様に御座います。お飲み物は何に致しましょうか」


 控えの間に通されると、先導してきた近衛は戻って行き室内に居た侍従が飲み物のリクエストを聞いてきた。俺達はコーヒーを頼み席に着く。偽装用に背負っていたリュックサックは椅子の脇に降ろした。


「ここに通されたという事は、陛下に謁見して攻略を報告するのかな?」


「伍長、リーダーの本領発揮する時です!」


「久川、私にだけやらせるつもりか!」


 俺の呟きを聞いた久川上等兵が報告を冬馬伍長に押し付けようとしたが、伍長がそれに食ってかかる。過酷なダンジョン攻略から帰還したばかりの割には元気である。


 先程の侍従が戻りコーヒーを配膳する。迷い家にもコーヒーは持ち込んでいたが、それとは比べ物にならない味だ。まあ、場所が場所なので当然か。


 他では飲めないであろう美味しいコーヒーを堪能していると、侍従長が入室した。更に見覚えがある近衛の人が入り、続いて天皇陛下が入って来られた。その後ろからまた見覚えがある近衛が入ると扉を閉めた。


「ご苦労でした。元の配置に戻りなさい」


 侍従長が控えていた侍従に指示を出し退室させた。これでこの室内に居るのは玉藻の正体を知る者のみとなった。攻略の報告をするにあたって戦利品を出す必要もあると思ったので優から玉藻に変わっておく。


「玉藻様、攻略お疲れ様でした。普段の攻略より遅いお帰りでしたので心配しておりました」


「それは済まなんだ。少々深く潜った故、戻りが遅くなってしもうたのじゃ」


 やはり陛下に心配を掛けてしまったようだ。また皇居ダンジョンに潜るなら、この点を改善しなければならないな。


「どこまで潜って来られたのですか?」


「三十二階層じゃ。これがスリープシープの魔石じゃよ」


 椅子の横に置いたリュックサックからスリープシープの魔石を取り出して見せる。優のままで報告する場合を考えて、この魔石と羊毛の一部をリュックサックに入れておいたのだ。


「何と、たった四人で三十二階層まで!」


「しかもスリープシープを倒されたのですか!」


 陛下と侍従長が驚きの声をあげ、近衛の二人は目を剥いて魔石をガン見している。到達記録タイでも驚きだっただろうに、これまで誰も倒せなかったスリープシープを倒したとなれば驚くよなぁ。

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― 新着の感想 ―
さすがに戻ったばかりで陛下と謁見、しかも限りなく私的に近い状況でとは思わないよなぁ 冬馬さんたちも関中佐と同様に胃が痛くなってそう(笑) 逆に優君は割と慣れてしまった感じですかね
冬馬伍長が内心ホッとしてるのと報告したかった欲がせめぎ合ってそうw
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