第四百三十話
作者「昨日の夕方、返信出来てなかった感想に返信しまくったけど・・・」
優「去年の書き込みに返信されて『えっ、今になって?』と戸惑った人も居ただろうなぁ・・・」
お茶を飲みながら待つ事二分ほど。三人が現実に帰ってきたので説明を続ける事にする。モフる手の早さが早くなったのは心を落ち着かせる為かな?
「そして、進む事を優先し戦闘への順応は次の機会に回そうとも思うておる」
「それは玉藻様主体で戦い、私達の戦闘は控えるという事ですか?」
少し悲しそうな顔で冬馬伍長が尋ねる。自分達が戦力として充てにされていないと感じたのだろう。ある意味その通りなのだが、これにもちゃんとした理由がある。
「今の武器で慣れたとしても、武器を持ち替えたら同じ武器種でもまた習熟し直す必要があるじゃろう。種類が変更になる可能性もあるしのぅ」
ダンジョン産武器などそうそう入手出来ない。冬馬伍長の片手剣や井上上等兵の槍は需要が高いので市場に出てもすぐに無くなってしまう。
久川上等兵の戦鎚は需要は少ないが持ち帰る労力が多大なので発見されても放棄される事もあるという。無理に持ち帰ろうとして全滅でもしたら元も子もないからね。
故に三人の武器をダンジョン産に更新しようとした場合、かなりの時間がかかる上に武器種が変更される可能性もある。なので三人がモンスターとの戦闘経験を積むのは武器を替えてからの方が効率が良い。
「確かにその通りですね」
「玉藻様、どこまで先を見通しているのですか!」
「まだ中学生ですよね・・・」
俺の場合前世の経験があるからね。社会人としての経験もそうだけど、書籍化していない泡沫作家とはいえファンタジー物の小説も書いていたのだ。それくらいの段取りは想定出来る。
「では、新たなモンスターは一度全員で戦って倒せる事を確認するが、その後は玉藻様の神炎にお任せするという事で良いな?」
「「はいっ!」」
冬馬伍長の問いに二人の上等兵も同意したので方針が確定した。この所料理で活躍していた神炎さんも、本来の用途である戦闘で活躍出来るので喜ぶ事だろう。
迷い家から出た俺達は朱カブトを焼きながら三十階層への渦に到達した。夕刻に差し掛かっていた為ここで一泊し、明日一日をかけて三十階層を突破するつもりだ。
「玉藻様、武器を更新するとなったら暫くダンジョンに潜りませんね」
「その間に水着やパラソルを用意して海を楽しみましょう!」
入浴と食事を済ませ、尻尾を丹念にブラッシングしながら嬉しそうに未来予想図を語る井上上等兵と久川上等兵。
「シュノーケルと銛も必要ですね。鮑やサザエ、伊勢海老を獲ってバーベキューです!」
「そうじゃなぁ・・・」
ブラッシングしながら海鮮バーベキューに思いを馳せる冬馬伍長。それに対して俺は生返事を返した。それは見果てぬ夢だと思っているからだ。
妙齢の美人三人組が到達世界記録に並んだとなれば、陸軍は大々的に喧伝するだろう。カメラ映えする美人軍人をマスコミも追いかけるに違いない。
そんな中、休みをとって迷い家でバカンスなんて陸軍広報部が許すだろうか。俺が広報部の人間ならばここぞとばかりにマスコミ対応の仕事を入れる。
それを今告げて意欲を削ぐのは得策ではない。なので沈黙を貫くが、彼女達はいつそれに気づくだろうか。




