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第四百二十三話

 翌朝。昼に作る予定の潮汁用のアサリの砂抜きを仕込み、ダンジョン攻略に向かう。いくら美味しいからといって連続で海産物ばかり食べてると飽きるのではないかと心配してしまう。


 二十七階層は森林で、迷宮だった水中ダンジョンの時と違い囲んで攻撃出来た。その代わりリザードマンも自由に動けるので囲うまでが大変だった。


 どちらが楽かと言われれば水中ダンジョンの方が楽だと思う。結構素早いので動きを制限出来る迷宮フィールドの方が戦いやすい。


 しかしフィールドの変更など出来るはずもないので、囲えるように誘導しながら攻撃し倒していく。因みに、俺は神炎を使わず扇の斬撃と体術のみを使っている。


 神炎で燃やしつつ間合いを取れば労少なく倒せるが、それに頼ってばかりでは先で進めなくなる。地力を上げつつ二十八階層への渦を目指した。


 思ったより時間がかかり、昼前に渦に到着した。迷い家に入り昼食を食べてから次の階層に挑む。


「次の敵は鉄カブトです。防具ではなく、鉄のように硬い大きなカブト虫ですね」


「発見した人、もう少し違う名前は浮かばなかったのかしら」


 アサリの潮汁を啜りながら説明する井上上等兵に久川上等兵がツッコミを入れる。あまりにもストレート過ぎるネーミングに突っ込みたくなる気持ちはわかる。


「斬撃と刺突が通用するのは関節や翅を開いた下の胴体ですね。また戦鎚に頼る事になりそうです」


 固いモンスター相手だとそうなるのは仕方ない。久川上等兵の負担が増えそうだが頑張ってもらおう。


 二十八階層は洞窟フィールドになっていた。迷宮ほど狭くはないが四人で並んで戦うには狭く、天井もあまり高くないので空歩を使った空中戦も無理だろう。


「羽音が・・・来る!」


 虫が飛ぶ羽音をキャッチし、無意識に狐耳がピクピクと動く。少し先の二股に分かれた道の右側から軽自動車程の大きさのカブト虫が飛んできた。


 真っ直ぐに俺達に向かい飛んできた鉄カブトを右に跳んで避ける。冬馬伍長と久川上等兵は左に跳んだようで、俺の横には井上上等兵が膝をついている。


「結構速いですね。正面からなので距離感を掴みにくいです」


「フィールドが洞窟で良かったかもしれぬな。迷宮では避ける場所がほぼなかろう」


 通路を防ぐように飛んで来られたら盾で受けるか転がって避けるかするしかない。低空飛行で来られたら転がって避ける事も出来ないからかなり厄介な事になるだろう。


「壁に突き刺さってくれたら楽なのですが・・・そうは問屋が卸さないみたいですね」


 避けられたと知った鉄カブトはすぐに着地し足を器用に動かしてこちらを向いた。日本のカブト虫と違い、先の尖った二本の角が真っすぐ伸びている。


「あれに刺されたら痛そうじゃな」


「痛いどころか貫通すると思いますよ」


 強敵ではあるが、俺の軽口に応える余裕はあるようだ。怯えや気負いは無さそうだし、まずは攻撃してみようか。

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― 新着の感想 ―
上位個体に金カブト、ミスリルカブトおらんのか!
砂抜き…神炎で砂だけ燃やす手は、まだ思いついていないのか それともきちんと砂抜きした方が美味しくなる? さすがにこの世界でも鉄兜は既に時代遅れですよね?
>鉄カブト 思わず避妊具を連想した自分はきっと汚れている いやほら海軍での呼称とは言え軍人さんに言われるとね?(必死の言い訳) 狭すぎてもアレみたいだけど逆に開けたフィールドでも飛行能力が低いとかで…
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