第四百二十一話
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迷い家を出た俺達は地図を頼りに二十二階層への渦に向かう。当然、その道中では影兎に襲われるのだが。
「そこっ!」
「お見通しです!」
冬馬伍長の影に移動した影兎は飛び出した瞬間に井上上等兵の槍に弾かれ、久川上等兵の戦鎚に叩かれ魔石へと変化した。
「妾の出番が無いのじゃが・・・井上上等兵は午前中の鬱憤晴らしとしても、冬馬伍長と久川上等兵も調子が良すぎじゃないかのぅ」
今回は冬馬伍長の影に来たが、他の影に来ても即座に反応して倒してしまっている。攻撃力だけでなく察知能力まで上がっているような気がする。
「一刻も早く終わらせて海鮮パーティーやりたいです」
「到達記録を塗り替えてバーベキューセットを軍の予算から買うことを認めさせます!」
「有給貰って玉藻様の海岸で遊びたいです!」
三者三様、欲望に忠実な回答を頂きました。確かにあのウニ丼は美味しかったけど、ここまで発奮する程だったかな?
まあ、順調なのは良い事だ。だけど、結構な強敵の筈なのにバーベキュー目当てで雑魚のようにあしらわれてる影兎達は泣いて良いと思う。
攻略はサクサク進み二十二階層に到着した。相手はビッグトードで地形は草原。となれば迷い家に収容されている原付が猛威を振るう。
これまた難敵な筈のビッグトードは全員が無視されて、戦闘に入る事無く二十三階層への渦へと到着した。
「間引きという観点では倒した方が良いのじゃが・・・」
「他の階層で戦うので問題ありません!」
冬馬伍長の言う通り、二十二階層を無視しても他の階層で間引けば問題は無い。そして二十三階層に降りて赤獅子と対峙した。
「MP満タンの私達に敵はない!」
「蛤が私を待ってます!」
「その為に消えてもらいます!」
気合いが入り過ぎた三人によりフルボッコにされる赤獅子。あのウニ丼、バーサク付加する特殊効果でも付いていたのだろうか。
結局、二十三階層もほぼ俺の出番が無いまま二十四階層への渦に到着。今日はここで夜を明かす事にした。
迷い家に入り、順番に風呂に入る。汗と汚れを落としたら夕食の準備を行う。三人は畑に行き野菜を収穫し、俺は卓上コンロと網をテーブルにセットする。
収穫した野菜を切って皿に並べ、途中で入手したオーク肉と蛤も並べ準備は完了。網の上に各々具材を乗せて焼いていく。
焼けたら醤油や焼肉のタレなど好みに応じたタレを付けて食べる。ダンジョン産のお肉と迷い家産の野菜という極上の食材はただ焼いただけでも美味しい。
そして待ち望んだ時が訪れる。蛤が口を開け、醤油を垂らされる時を今か今かと待ち侘びている。
「この暴力的な匂いは反則です、いただきます!」
醤油だけで味付けされた熱々の蛤を口に入れると、濃厚な潮の香りと貝の甘味が口の中に広がっていく。
「玉藻様、ちょっと海岸まで行ってきます」
「食べ過ぎぬよう程々にするのじゃぞ」
結局、三人は大きな蛤を三つづつ追加で食べた。蛤は食べ過ぎると翌日むくむらしいけど、三人は大丈夫かな?
 




