第四十話
第三十八話の最後の方で玉藻ちゃんが上空から見守る描写が抜けていた為加筆致しました。
いつも感想や誤字報告をいただきありがとうございます。
呆ける四人を尻目に散らばっている戦利品を回収していく。コンビニのビニール袋(大サイズ)それぞれ二袋分の魔石と豚肉を収穫する事が出来た。
こんな事もあろうかと、小さく畳んだコンビニ袋を多く用意しておいたのが功を奏した。複数の有名チェーン店の物をランダムで使っているので、身元の特定には繋がらないだろう。
「これだけ倒せば暫くリポップせんじゃろう。自力で戻れるかえ?」
「あっ、ああ、大丈夫だ」
まだどこか上の空状態の四人だが、オークは出ないだろうしダンジョンから出るだけなら犠牲を出さずに行えるだろう。
「では、達者でな」
両手にビニール袋を下げて立ち去る。締まらない終わり方ではあるが、戦利品を放置して帰るのは勿体無い。すぐに換金は出来ないが、迷い家で保存しておく。武器を買い男のままでオークを倒せるようになったら少しづつ売っていけば良いだろう。
彼等から見えないだろう場所まで走り、ビニール袋を迷い家に放り込む。身軽になって空歩で上空へと駆け上がり、四人の動向を監視する。
「・・・取り敢えず任務は完了だ。地上に戻る。だが、その前に報告する内容を詰めなければならない」
「そうだな、獣人との遭遇は報告必須だがありのままを報告する必要はないだろう」
片手剣持ちの発言に魔法スキル持ちが同意する。あれこれと話し合っているが、トレインを起こしたのが俺で彼等がそれを鎮圧したと報告するつもりらしい。
嘘がバレないよう細部まで詰めて確認した彼等は戻る魔法陣に向かって歩き出す。
「そんな嘘、すぐにバレるだろうになぁ」
まず、彼らにその実力がない。もし殲滅したのなら、戦利品はどうしたという話になる。本当に彼等が殲滅したのなら、大量の魔石を持ち帰る筈だ。
大体、この世界には嘘を見抜くスキルという物も存在する。軍ならば情報を扱う部署にそれを持つ人材を確保しているだろう。
報告を受けた軍がそれを信じるかどうかによるが、不審な点を感じたならば確認に動く確率は高いと思う。今まで未確認だった狐獣人の情報だ。軍なら重視するだろう。
四人が戻る魔法陣に入ったのを確認して迷い家に入る。すぐに戻って彼等と鉢合わせしたくないので時間を潰す。
投げ入れていた袋を家屋にしまってお稲荷様の社に参拝する。女神様の伝言は無かったが、そうそう神様からの連絡事項なんて無いだろう。
ついでに畑からトマトと胡瓜を収穫して囓る。味付けせずとも十分に美味しい野菜が食べ放題というだけでも破格なスキルだ。
一時間ほど経ったので戻る事にする。ゴブリンとの接近戦をしたくなかったので五階層に上がってから男性に戻った。幸いな事に誰とも会うことなく地上に戻る事が出来た。
軍に玉藻の存在がバレる以上、暫くは玉藻にならない方が良いだろう。いつかは軍にアプローチする必要があるが、軍の動きを見てから考えたいと思う。




