第三百九十九話
部員さん達への説明が終わり、午後から冬馬パーティーの三人への説明を行う。彼女らは次に行うダンジョン攻略の打ち合わせと言って呼び出しているそうだ。
「しかし中佐、罪悪感が半端ないのですが・・・」
「それを感じる必要はありませんよ」
カレーを付けたカツを頬張りながら呟けば、気にするなと返された。俺と中佐は早めの昼食を食べている。俺がカツカレーで中佐がカツ丼だ。
このカツカレーとカツ丼は、情報部の部員さんが最寄りのお弁当屋さんまで行って買ってきてくれた物だ。最年少で軍属の身でありながら、先輩であり上位の階級の軍人にお使いさせて罪悪感を抱くなというのは無理がある。
「失礼します。冬馬伍長以下二名、到着しました」
「ご苦労。そこに座ってくれ」
食後のお茶を飲んでいると冬馬伍長達がやって来た。俺が居る事に驚いているようでチラチラと俺を見ている。
「冬馬伍長、お久しぶりです」
「優君、久しぶり。君も呼ばれてきたのかな?」
冬馬伍長は次のダンジョン探索に絡むのかとは聞いてこなかった。これは俺が次のダンジョン探索に関わるかどうか分からないので自分達がどんな用件で来たのかを悟らせない為だろう。
「彼には次のダンジョン探索に参加してもらう。だが、優君は参加しない事になるかな」
「はっ?参加するけど参加しない、ですか?」
混乱した様子で久川上等兵が聞き返す。こんな言い方されたら混乱するのも無理はない。
「もしかして、参加はするけど後方支援で直接には参加しないという事ですか?」
「いや、違う。それを説明するには優君のスキルについて説明する必要がある」
俺のスキルと言われて更に混乱する三人。三人は共にダンジョンに入って女性体も着せ替え人形も知っている。
その力を体験しているのでスキルを説明と言われても何が何だか分からないだろう。なのにこんな言い方をする辺り、関中佐も人が悪い。
「ご存知の通り、俺のスキルは着せ替え人形と女性体です。ステータスオープン!」
俺は説明を始めながらステータス画面を出す。その際俺だけではなく皆にも見えるようにしておいた。
「ご覧の通り、スキル欄には着せ替え人形と女性体が表示されています」
俺の説明に疑義を挟む内容も無いので三人は黙って聞いている。ここからが話の本題だ。
「そして女性体のスキルを使います。スキル、女性体!」
俺の体が女性の物となり着ている衣装がドレスアーマーに変化する。三人は前にこの姿を見ているので驚きはない。だが、井上上等兵が表示されたままのステータス画面を見て変化に気が付いた。
「えっ、ちょっ、そのスキルは・・・」
「何よ、どうしたのよ?」
動揺する井上上等兵に冬馬伍長と久川上等兵が訝しげな目線を送る。かなりの驚きを見せる井上上等兵に注意が向いて俺のステータス画面の変化に気付いていない。
「ステータス画面、ステータス画面を見て!スキルの欄!」
「ステータス画面って・・・えっ、何これ!」
「ステータス画面ならさっき見て・・・よ、妖狐化?!」
表示が変わったスキルの欄を見て三人は時が止まったかのように動かなくなった。




