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第三百五十四話

「おっ、居た居た。優君お疲れ様、こいつらを引き取れば良いんだね」


「お疲れ様です。少しですけど干し芋とバナナチップスありますよ?」


「おおっ、それは嬉しい。中佐はいつも独占しようとするから我々は余り口にできなくてね」


 見慣れた軍服を着た二人の情報部員さんが到着し、犯人の二人を引き渡した。感謝の気持ちとして手持ちの干し芋とバナナチップスをありったけ渡しておく。


「旅先なので余りありませんが」


「いやいや、優君お手製の干し芋は美味しいから少しでも有り難い。市販品だと物足りなくて」


 解毒薬を探した時に取り出した二人の持ち物も渡し、犯人に睡眠薬と思われる注射をした情報部員さんは一人づつ犯人を担いで去って行った。


「父さん、母さん、舞。皇帝陛下と皇女殿下を託された訳だけど・・・」


 皇帝家の親子を迷い家に保護し神炎で治癒するか否か。それは家族の安全に関わる問題なので俺の一存で決めるつもりはない。


「母さんは優の判断に任せるわ」


「医師としては患者を見捨てたくはない。だが判断は優に任せる」


 母さんは完全に俺に判断を託し、父さんは医師の立場から救いたいとは言うものの最終的な判断は俺に託した。


 舞は何も言わず俺を見ている。助けて欲しいけど色々な問題があるから言葉にしないという感じだ。目は口ほどに物を言うとは良く言ったものだ。


 俺も個人的には二人を助けたい。故国を追われ、付き従う者達の犠牲の上にやっと辿り着いた先で父親まで命を落とすなんて可哀想過ぎる。


 厳密にはすぐに皇帝陛下の命が絶たれる訳では無いが、毒がその命を奪うまでに犯人の組織を突き止め解毒薬を入手出来る可能性は極めて低いと言わざるを得ない。


 自国の天皇陛下や共にダンジョンに潜るパーティーメンバーにも正体を明かしていないのに他国から来た皇族に明かすというのには忸怩たる思いがある。だけど個人の拘りで救える命を救わないという選択は取りたくない。


「かなり面倒な事になるかもだけど、ごめんね」


「優、親というものは子供に迷惑をかけられてナンボなんだぞ」


 父さんが俺の頭を乱暴に撫でる。母さんと舞も俺の選択を支持してくれるようだ。


「皇女殿下、これから俺はスキルで姿を変えますが驚かないで頂きたい」


「姿を変える、ですか。世の中にはそんなスキルもあるのですね」


 一気に玉藻になるよりも女性体となってからの方が驚きが少ないと判断し、まずは女性体を発動する。俺は動きやすい服に大盾を持った女性の姿へと変化した。


「その姿は先ほどの・・・」


「これは女性体という女性になれるスキルです。武具を持っているのは着せ替え人形というスキルの効果です」


 この姿は賊の銃弾を防いだ時に見せているので、皇女殿下に驚いた様子はみえなかった。


「そしてこれがもう一つのスキル、妖狐化です」


「なっ、なんと神秘的で美しい!」


 妖狐化を発動して玉藻の姿になった。皇女殿下は狐獣人の姿になった事よりも巫女服に気を取られているような気がする。

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― 新着の感想 ―
ヒロインが女の子に!?
出張中に突如与えられたこの任務 任務の重要性秘匿性故に食料調達もままならぬ この状況を鑑みるに准尉相当官からの差し入れを 我ら二人で食い尽くしても不可抗力である 小官はこう考えるが貴官の考えは如何に?
そういえば自国の天皇陛下にすら秘密にしていたんだっけ まあアチラは緊急性も無かったし、陛下も神の使徒ということで情報開示を迫ったりはしなかったしな 皇族に何か危難があった時には必ずお助けすると誓約して…
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