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第三百四十話

 途中で一泊し無事に地上に戻った俺はリュックに移しておいた魔石を換金する事にしたのだが、うっかりミスで面倒な事になってしまった。


「それでは本当に二十七階層に到達されたのですね」


「ええ、ステータス画面もお見せしたでしょう」


 売った魔石にはリザードマンの魔石も含まれていたのだ。つまり、このダンジョンではまだ誰も到達していない二十七階層まで行ってきた事がバレてしまったのだ。


「二十七階層への渦は南東方向に行って・・・」


「距離はどれくらいありました?」


 受付嬢さんは次から次へと質問を重ねてくる。俺はそれに丁寧に答えていった。しかしそこに横槍を入れてくる者が居た。


「君、二十七階層から帰ったというのは本当かね?」


「あっ、主任。ステータスも確認したので本当ですよ」


 受付嬢の背後から声をかけていた男性は少し考える素振りをみせた。嫌な予感しかしないので帰って良いですかね。


「パーティーメンバーはどこに?何人で潜ったのかな?」


「俺はソロで潜っているのでパーティーメンバーは居ませんよ」


 嘘をつく必要は無いのでそのまま答えた。下手に嘘をついてパーティーメンバーを連れてこいと言われても困るしね。


「それはあり得ないだろう。二十階層を越えるのは複数のパーティーが協力しても難しい。それをソロでなんてあり得ない」


 主任さんの言い分にも一理ある。しかし、それを覆してしまうトンデモなスキルを保持しているので可能になっているのだ。


「しかし、ステータス画面で確認したんですよ?」


「ならば二十七階層に到達したのは間違いないのだろう。だが、ソロでなんて話は信じられない。他のメンバーは全滅して一人だけ生き残った・・・いや、全滅するように仕向けたか?」


 主任の推理はとんでもない方向に進んでいる。まさかその推測を真実だなんて言わないよな?


「もし本当にソロで探索したのなら、どうやって休息を取ったのか話してもらおう」


「探索者に手の内を明かせと?それは横暴でしょう」


「普通なら複数のパーティーでしか到達出来ない階層に行った事を信じろという方が無理だと思うが?それが出来ないならその魔石は窃盗された物として扱う」


 無茶な事を言われているが、ソロで二十七階層に到達するのが常識外の行動なので暴論とも言い切れない。


「主任、それは流石にやり過ぎです!」


「もしもソロで安全な休息を取れる方法があるのなら、探索による到達階層は飛躍的に深くなる。これは公益の為なのだよ」


 公共の利益の為ならば個人の権利を侵害しても許される。権力者側が便利に使える大義名分を持ち出されてしまった。


「それを私の名で発表すれば返り咲ける。私はこんな不遇ダンジョンの主任なんかで終わる人間ではないのだ!」


「主任・・・」


 なんと、追求する理由は思い切り個人的な理由だった。受付嬢さんも呆れた様子で主任を睨んでいる。これ、無視して帰っても良いよね。

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― 新着の感想 ―
半球睡眠を習得しているってことにすればソロでも適度に休憩が取れる言い訳にはなると思うなぁ
こんな時は 「助けて〜関えもん」 でもこの世界F子F雄先生 いるのかな?
何で、この国のダンジョン関係の偉い人たちにはクズが多いんですかね? 水中村の連中もそうだけど、ここもかよ 優君が軍人で情報部に所属していることを知った後の反応が楽しみだな
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