第三百三十七話
背中に飛び乗って滅多刺し戦法で赤獅子を倒して進む。何度か振り落とされてしまったが、赤獅子も必死なので仕方ない。
二十四階層の幻狐はフィールドが味方をしてくれた。荒野で砂礫があったのでそれを掴んで投げつければ幻は消えてしまう。
幻を見破られた幻狐なんてただのモフモフだ。噛みつきや引っ掻きを躱して足を掴み、動きを封じた上で満足するまでモフりまくった。
玉藻の尻尾に比べれば劣るモフモフではあるが、モフモフがあればモフるのがモフモフ好きの性分というものだ。
この階層は推定で半分以上がマッピングされていない。モフモフ狩りをしながら宝箱を探そうかという誘惑に駆られたが振り切って次の階層に進む。
次の階層は大部屋が連なったフィールドだった。三個の部屋が二列に配置された全六部屋という部屋数だけ聞けば狭く感じる階層だが、その一部屋がかなり広い。
どの位広いかは上手く説明出来ないが、スレイプニルが全力で走り回っても全く問題ないと言ったら厄介さを分かって頂けるだろうか。
勢いをつけて突進してくるスレイプニルを躱しつつ脚にトンファーで傷を付けていく。赤獅子の時のような大盾で防ぎ背中に飛び乗る戦法などやる気も起きない。
自分より大きな巨体が凄い勢いで突進して来るのだ。受け流すように盾を構えたとしても結構な速度で弾かれて鬣を掴む事なんて出来ないだろう。
時間と体力を使いつつもスレイプニルを倒した。優でも倒せる事は実証出来たので、玉藻となって空から二十六階層への渦を目指す。
渦に着いたがここで一休みする。迷い家に入りさつま芋の天ぷらとじゃが芋の天ぷらをお茶請けに宇治茶を飲んで落ち着いた。
次の二十六階層はマップが無い。丘陵フィールドという事しか判明しておらず、二十七階層への渦の位置も探さねばならない。
これ、推測だけど軍の人間がここまで来たけど電鹿の階層が狩りをしにくいフィールドだったからここで引き返したのではなかろうか。
角が沢山欲しいから電鹿が狩りやすいかどうか確認して、狩りやすかったら軍の直轄にして狩りにくかったら放置したのではなかろうか。
飽くまで推測だけど、こんな不人気ダンジョンの深い階層まで潜る物好きなんてそうそう居ないだろうし、そういったダンジョンの間引きをするのは軍だから当たっている可能性は高いと思う。
話は逸れたが、二十六階層をどうするかだ。ここで引き返すのも日程が中途半端になる。地図は作らないまでも二十七階層への入り口の位置くらいは確認しておこうか。
優で探すと電鹿の相手をしなければならないので時間がかかる。なので玉藻のままで空を走って探すとしよう。
もし時間をかけても見つからなければ引き返せば良い。二十五階層に戻る渦の場所を忘れたら戻るのが大変になるから、それだけは注意しないといけないな。




