第三百六話
作者「いつの間にかPVが一千万を越えてた」
優「作者、随分と軽いな」
作者「正直、多いのか少ないのかわからん」
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平原や荒野といったフィールドを原付で走り抜け、一行は十階層に到達した。オークは神炎だけで倒せるか微妙なので原付から降りて全員武器を持つ。
「玉藻様、似合っていますが違和感が凄いですね」
「似合っているのに違和感があるとは矛盾した感想じゃのぅ」
「巫女服に扇は似合っているのですが、ダンジョンで用いる武器として見ると扇は違和感ありまくりですから」
久川上等兵の突っ込みはよくわかるが、この扇は巫女服と共に与えられた装備なので変えるのに抵抗を感じてしまう。
それに武器としても優秀なので変える理由もない。打撃力が乏しいという欠点はあるが、欠点のない武器などありはしない。
「それよりも、早速お出ましじゃぞ」
美人四人の存在を嗅ぎつけたオークが鼻息荒く走ってきた。とりあえず先制として神炎を顔面にヒットさせる。
いきなり顔面を焼かれたオークは両手で顔を覆うが、走り寄った冬馬伍長が左腕を肘から切って落としてしまう。
更なる攻撃に狼狽したオークは次に駆けつけた井上上等兵の槍に左胸を突かれ、呆気なくその命を散らし魔石へと変化した。
「わ、私の出番が・・・」
「まあ、タフとはいえ十階層じゃからのぅ。二十階層に到達したそなたらには力不足な相手じゃな」
オーバーキルと言える戦力なので仕方がない。実は先ほどの神炎は威力を抑えて放っていた。連携の確認をする為にわざと抑えたのだ。
オーク肉を一つ確保し十一階層へ。突進してきた突撃牛の顔面に神炎を放ち、勢いが落ちた突撃牛の足を冬馬伍長が切り転倒させる。そこに井上上等兵の槍が突き刺さり、動けなくなった牛を久川上等兵の戦鎚が叩き潰した。
「最初に玉藻様の魔法が入るとこんなに楽に狩れるのね」
「魔法スキル持ちが優遇される理由がわかります」
迷い家で蒸かし芋を食べながらしみじみと語る冬馬伍長と井上上等兵。久川上等兵は既に食べ終わり俺の尻尾をモフっている。
その後十六階層まで順調に進み、今日の探索はここまでとなった。夕食のオーク肉カレーを食べながら今日の総括を話し合う。
「戦闘は問題ないのじゃが、原付はイマイチかのぅ」
「戦鎚を持ったまま乗れないのが痛いですね」
「一桁階層での時短と体力温存には良いと思います」
冬馬伍長は肯定してくれるが、ぶっちゃけ迷い家に三人を入れて俺が空歩で走り抜ける方が速い。走るだけなら体力もそんなに消費しないので、利点が無いとは言わないが薄いと言わざるを得ない。
「新しい階層で次の階層への渦を探すなんて時は重宝しそうですよ」
「そうじゃな。渦を探してひたすら歩くのは想像しただけで嫌になりそうじゃ」
今は先人達が作った地図を使えているが、じきに地図がない階層まで到達するだろう。そうなると渦を探し出すと同時に地図の作成を行わなければならない。
地図が何階層まであるかはダンジョンによって違うのだ。
「・・・地図作りは戦闘より大変だと思うのは妾だけかのぅ?」
前世のラノベで騎士団とかで戦闘より事務仕事の方が大変、なんて描写を見たことがあったけど、まさか自分がそれを体験する事になるとは・・・




