第二百三話
毎日の日課を熟しつつ夏休みの宿題も済ませていく。俺も舞も宿題はとっとと片付ける派なので早々に終わらせる。
合間にお肉の補充を行ったりセベク神やホルス神の木像を彫ったりと充実した日々を過ごし、父さんが出張する日を迎えた。
今回は前回と違い、北上せずに西へと向かう。市を隔てる川を渡り、隣の市から高速道路に乗る為だ。
「空いてるし思ったよりも楽だな」
「よく何キロ渋滞とかテレビで言ってましたけど大丈夫そうね。はい、どうぞ」
助手席の母さんが缶コーヒーを開けて渡しながら答えた。舞は俺の隣で後ろへと流れていく風景を楽しそうに眺めている。
「予想よりかなり早く着きそうだが開いているかな」
「フードコートもあるみたいだし、そっちでも良いと思うよ」
今日は朝食を途中のサービスエリアで食べてみようという事になっている。渋滞を見越して早めに出てきたので、レストランの営業が始まっていないかもしれなかった。
車は順調に進み、朝食を食べる予定の上里サービスエリアに到着した。結構車が停まっていたけれど停められる場所はすぐに見つかった。
「父さんは生姜焼きにしようかな」
「私は肉汁うどんで」
レストランは朝六時から営業していた。店員さんは何時に出勤して来ているのだろう。メニューはどれも美味しそうで舞は海老フライ御膳を、俺はわらじカツ丼を注文した。
「舞ちゃん、食べきれるの?」
「もし食べきらなかったらお兄ちゃんに手伝ってもらうから大丈夫!」
舞が頼んだ海老フライは結構量が多そうだった。母さんは朝から量がある揚げ物という選択をした舞を心配している。
「優のカツ丼も多そうだがな。まあ、無理そうなら父さんが食べるさ」
結論から言うと舞も俺もちゃんと完食しました。カツでご飯が見えないという食べ応えのあるカツ丼だったが、美味しかったので問題なく完食できた。
「ねえ、パン屋さんもあるよ。見ていこうよ」
「流石に八時過ぎじゃパン屋さんは営業して・・・営業してるな」
恐るべし、上里サービスエリア。こんな早朝からお店屋さんが開いているとは。高速道路のサービスエリアとはこういう物なのだろうか?
先程お腹いっぱい食べたにも関わらず、おやつ用にメンチカツサンドやメロンパン、フルーツサンドなどを買い込んでしまった。
「お昼ご飯、これで充分なのでは?」
「お兄ちゃん、それはそれ、これはこれだよ」
舞はしっかり運動をやっているし、父さんが健康チェックを欠かしていないから多少多く食べても問題ないか。




