第百八十三話
物語を始めて今日で半年となりました。予想を遥かに超える読者様に読んでいただき、感謝すると共に驚愕しております。
お陰様でお気に入り数九千、PV数六百三十万となりました。
ゴールデンウィークが明け、学園では中間試験に向けて授業が進んだ。今回は前回のような延期もなく、予定されていた日程で行われた。
まあ、氾濫なんて早々ある物ではないしあったら堪らない。予定通りになるのが当り前なのだ。
「うぅっ、もっと頑張らなくちゃ」
「舞、学年二十七位は充分に立派な成績だからな」
俺の成績と比べて落ち込む舞を励ます。市立よりもレベルが高い私立中学校で百二十人中二十七位なら褒められるべき成績だ。
両親も褒めているのだが納得しない舞は次の期末試験に向けて闘志を燃やしている。根を詰めすぎないよう注意して見守らなければ。
「そういう優ちゃんも頑張りすぎないでね」
「俺はダンジョンに潜ったり趣味に没頭したりしてるから大丈夫だよ」
俺は週末にはお肉の補充に行ったりのんびりと仏像を彫ったりして息抜きはやっている。この前は乾闥婆王を彫り中々の出来栄えになった。
そして土曜日に関中佐がうちに来訪した。今日のお土産はなまはげのおくりものというお菓子だった。
「関中佐、こういうお菓子はどこで探して来るのですか?」
「東京で買ってる訳じゃないからね。部下が出張で買ってきた奴を持ってきてるから俺のチョイスじゃないから!」
俺の突っ込みに弁解する関中佐。土産になる物がこれしか無かったのか、これが一番まともだったのか気になるが脱線は程々にしないとね。
「本日お伺いしましたのは、優君が軍属として登録する事についてお話する為です。優君には賛成してもらっていますが、ご両親は如何でしょうか?」
「元々優は軍に入る事を望んでいましたし、反対する理由はありません」
「私も異存はありません。軍の方と潜るようになれば一人で潜るよりも安全でしょうし」
両親が賛意を述べ、関中佐は少し緊張が解けたようだった。鞄から数枚の書類を取り出しテーブルに並べる。
「こちらが軍属の規定を纏めた書面と軍属になる事への同意書になります。ご確認をお願いします」
規定には所属した場合の服務規程や報酬、守秘義務等が書かれていた。俺は関中佐の直属となり要請があった時だけ軍務に就く事になるようだ。
「優、何か疑問や不満に思う所は無いか?」
「特に無いよ。でも、いきなり情報部って良いのかな?」
情報部はエリートの集団だ。時には軍の高官ですら得られない情報を扱い、独立した指揮系統は階級的に上官であろうとも他部署の人間からの命令を拒否する事も可能としている。
お国への忠誠と高い能力を持つ者だけが所属できる少数精鋭部隊。それが情報部なのだ。
「優君のスキルは有用過ぎるからね。他部署からちょっかい出されないようにするにはこれが最善なのさ」
確かに情報部ならば階級を盾に理不尽な命令をされる事を防止出来る。しかし、その人事を通すのはかなり大変だったのでなかろうか。
「加えて優君を守りやすくもなる。警察に潜入していた大陸の間者が優君のスキルを調べていた。有用ならば洗脳して大陸での覇権争いに使うつもりだったそうだ」
「なっ・・・そんな事が!」
中佐のカミングアウトに両親も俺も絶句してしまった。玉藻の正体がバレた後には海外からの干渉があると予想していたが、まさか現段階で目を付けられるとは思わなかった。
「優君が正式に軍属となれば他の部署も巻き込んで動けます。手を出そうとする奴等には目に物見せてやりますよ」
そう言い残して関中佐は上機嫌で帰っていった。軍を頼るという選択をしたのは最良の選択だったと強く思うのだった。




