表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
138/672

第百三十八話

 ご飯が炊けるまでの間にじゃが芋と人参、玉葱を収獲してオーク肉を追加。肉じゃがを作ります。糸こんにゃくが無いのは勘弁してほしい。急に思い立ったから用意していなかった。


 ご飯も炊けてじゃが芋も柔らかくなったので容器に盛ってまずは奉納。少し試食した所、他の作物同様お米も絶品でした。これは収獲してお土産にしなければ。


 取り敢えず六合分のお米を籾の状態で確保。使う前に家庭用精米機で精米するので、ここで精米まではやらないでおく。


 体力と精神力が回復したので迷い家を出る。空歩で二十一階層の渦へ行き、周囲に人が居ない事を確認し妖狐化を解く。


 二十一階層は荒野になっていた。俺は斧槍から双剣に装備を変える。ここの敵は素早いので斧槍は不向きなのだ。


 二十ニ階層への最短ルートを歩いていると、黒い影が迫ってきた。猪程の大きさの影は、双剣の間合いに入る寸前に煙のように消えてしまった。


 俺は足元右の自分の影に向かって剣を突き出す。影から飛び出して来たモンスターは体を捻って回避した。


 距離を置いて対峙する黒い兎は影兎というモンスターで、別名が後衛潰しと言われている。影に潜る魔法を駆使しこちらを翻弄。前衛を無視して後衛を潰すという特徴がある。


 魔法職や荷物持ちが潰されて先に進むのが難しくなる為、こいつのせいで長い間ダンジョン攻略が進まなかったそうだ。


 大きい為襲撃兎のような蹴りは繰り出して来ないが、影に潜られるとパーティーの誰が狙われるか予測しにくいので迎撃しにくい。


 基本的には後衛に行くのだが、中々後衛を潰せないと前衛を先に潰そうとする個体も居るので決め打ちは出来ない。


 しかし俺はソロなので、影に潜っても俺の影からしか出てこない。こうなると脅威度は格段に減ってしまう。


 一度目の突きは躱されたので、二度目は横に薙ぎ払い浅くだが傷を負わせる事が出来た。五度ほどそれを繰り返すと、消耗に耐えられなくなった兎の動きが鈍る。


 上手く躱せずに入った一撃が左の前足を切り飛ばす。着地でバランスを崩した兎に駆け寄り双剣の連打を叩き込んだ。


 無事に影兎を倒したものの、やはり体力と精神力の消耗が激しい。パーティーなら軽減されるだろうけど、完全に休めない状況でこれはキツイだろう。


 俺は最短ルートから外れてもう一羽の影兎と戦う。傷は受けなかったものの、やはり体力と精神力、時間を結構使ってしまった。


 影兎が出した大きな魔石をリュックに入れて地面に置き、妖狐化を発動。リュックを持って迷い家に入った。


 迷い家の畑には各種野菜が実り、水田には黄金色の稲穂が揺れる。お米も野菜同様、収獲してもまた復活するようだ。


 これ、調味料さえ蓄えればダンジョンでの長期生活もストレス無く出来てしまいそうだ。組む人次第だが、最下層も狙えるかもしれない。


 取り敢えず今日の探索はここまでにしよう。夕食は昼に作った肉じゃがで済ませる。


 お風呂に入り、髪の毛と尻尾を乾かしてブラッシングを行う。モフモフの尻尾維持の為なら労力は惜しみません。


 敷いた布団の上で尻尾をモフりながら考える。二十二階層に行けない事は無いが、行って戻った時に影兎とブロンズゴーレムを倒しながら戻るのは少々キツイ。


 遭遇するのが其々一回なら良いのだが、複数回数遭遇すると休息が必要になり安全を考えるならもう一泊したいところだ。


 しかし、今回は一泊二日の予定だ。落とし亀のように無視できれば良いのだが、ブロンズゴーレムも影兎も追いかけて来て氾濫の原因になってしまう。


 今回はここまで。明日は地上に戻ろうと思いつつ自身の尻尾を抱いて眠りにつくのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
選択で焼けるのならゴーレムの体も焼けません?
食料を持ち込まなくとも自生してるの改めてずるいなと思いました笑。他の探索者さんが知ったら今までの苦労を思い出して泣いちゃうよ。 フワフワの尻尾気持ちよさそうだなあ。 舞に知られたら抱き枕にされそう。…
[良い点] ただでさえ新米は美味しいのに、穫れたてでさらに迷い家産か・・・。 主人公の家族はもうコンビニおにぎりとか食べられなくなりそう。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ