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第百三十七話

 ブロンズゴーレムの左ストレートをしゃがんで躱す。しかしそれはフェイントで、右足による蹴りが襲ってきた。


 すぐに立つことも出来なかった俺は柄を短くした斧槍で受ける。攻撃自体を受ける事には成功したものの、勢いまでは殺せず後ろに転がされる羽目になった。


 追撃せんと迫るブロンズゴーレムから逃れる為妖体化を使い玉藻に変わる。後ろに飛び退りつつ空歩で上空に逃れ一息ついた。


「ふう、流石に連戦はキツかったかのぅ。体力もじゃが精神力の消耗が響いておる」


 初戦から二体のブロンズゴーレムを倒し、三体目と戦っていた。自分ではあまり意識していなかったが、反応速度や判断力が落ちている。


 ブロンズゴーレムは盛大に混乱しているだろう。有利な戦況になったと思いきや、相手の姿が変わり宙に浮いているのだから。


 その上火の玉を生み出しぶつけ続けているのだ。反撃しようにも相手は空中なので為す術がない。


「狐火をこれだけ当てても沈まぬか。やはり重量武器が一番のようじゃな」


 効果が薄いとはいえ、全く無いわけではない。一方的に狐火の爆撃に曝されたブロンズゴーレムは、逃げる事も反撃する事も出来ずに魔石へと変化した。


「漸く沈んだか。安全じゃが手間がかかるのぅ・・・おや?」


 標的だったブロンズゴーレムを倒した為、次々と生み出していた狐火は待機状態で俺の周囲に浮いている。


「いつの間に三つ出せるようになったのじゃろう?」


 俺の右と左、前に浮かぶ狐火。二つしか出せなかった筈なのだが、今は三つ浮いている。


「まあ、強くなったのは良い事じゃ。今は少し休むとしよう」


 地上に降りて大きな魔石を手に取る。それを近くに置いておいたリュックに入れて背負うと迷い家を発動した。


「おやつ代わりに胡瓜でも・・・こっちもとは」


 見慣れた筈の畑の脇に黄金色の絨毯が見える。その正体は重そうな穂を実らせた稲だった。畑に加えて水田まで生えていた。


 ・・・生えたという言い方が正しいかは分からないが、そうとしか表現出来ないのでそういう物だと思って欲しい。


 取り敢えず母屋に入りリュックを置く。お湯を沸かし緑茶を淹れて縁側に座った。黄金色の輝く稲穂の向こうには、赤いトマトや緑色の胡瓜が実る畑が見える。


 そんな長閑な風景を見ながら熱いお茶を啜る。これぞ日本の原風景と言いたくなる、心落ち着く光景だ。


「・・・考えても分からんじゃろうし、ありのままを受け入れるとしようかのぅ」


 宇迦之御魂様に会う機会があったら聞いてみよう。素戔嗚様は俺のスキルは分からないと言っていたからな。


 緑茶を二杯飲み干し、漸く心が落ち着いてきた。疲労を癒やす為に迷い家に入ったのに、更に混乱してしまった。


 さて、問題の水田だが稲は収穫しても問題ないように見える。気分転換にもなるし収穫してみよう。


 穂に近い部分を数本纏めて掴んで鉄扇で切る。それを台所から持ってきた鍋に入れていく。


 鍋が一杯になったので脱穀と精米作業に移る。千歯扱きも精米機も無い迷い家なので、手作業で全て行わなければならない。


 ・・・なんて手間のかかる事はせずに済むのが玉藻さんである。まずは狐火で藁の部分を焼きます。次に籾殻を焼き、米糠も焼いていきます。


 するとあら不思議、鍋の中には綺麗に精米された白米だけが残りました。燃やす物を指定出来る狐火だから出来る芸当である。


 宇迦之御魂様も、まさかこのスキルを精米に使われるとは夢にも思わなかっただろうな。

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― 新着の感想 ―
[一言]  米、乾燥させてないのに固形なのか。まぁ、狐火で乾燥させたんかね。
[気になる点] はさがけしないってのは、「えー」って感じですが
[一言] なんて便利な狐火! もしかしてトマトも湯剥きしなくても皮を取り除けるのか!? お魚の鱗取りも簡単にできちゃう!!
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