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第百ニ十五話

「まあ、だからと言ってそれか出来るかどうかは別問題だがな。こちらもスキルを使わせてもらう」


「スキル?巫山戯たスキルで何が出来る!」


「そうだそうだ、少々強かろうが、この人数に勝てるものかよ!」


 手に手に農具を取り俺を取り囲んだ連中は数の優位に浸って大事な事を忘れている。あんたらがチヤホヤしていた阿呆は俺に手も足も出なかったのだが。


「やっちまえ、手加減なんかするんじゃねぇぞ!」


「うりゃあ!」


 掛け声と共に一斉に農具が振り下ろされる。俺は大盾を構えて前方に移動し、前からの攻撃を受けて後ろと横からの攻撃を躱した。


「な、何じゃそりゃあ!」


「大盾なんて何処から出したんだよ!」


 棒を持っていただけの俺が、いつの間にか大盾を持っている。アイテムボックスという概念が無いこの世界の人間には訳が分からないだろうな。


「これが着せ替え人形の効果。事前に着せ替え人形に着せておいた装備と換装出来る」


 と親切に説明しながらも鋤を大盾で受けられたオッサン二人を大盾で弾く。予想外の展開に棒立ちとなっていたオッサンは面白いように転がっていった。


「で、出鱈目だ。そんなスキル、あってたまるか!」


「それについては同感だな。巫山戯たスキル名とは裏腹に反則的な効果だよ」


 鎌を持ち叫んだオッサンに近づく。反射的に鎌を振ってきたが、簡単に大盾で防ぐ。反動で腕が上がったので、更に押し上げてやる。


 武器を持った手が上がり無防備になった腹に蹴りをお見舞いした。こちらもゴロゴロと転がり、アニメなら補正が必要な状態となった。


「お、おい、次はお前が行けよ」


「いや、お前が行けば良いだろ。鋤より鍬の方が強いって」


 俺に勝てないと漸く理解したオッサン連中は、次の犠牲者に誰がなるかで揉めだした。


「馬鹿野郎、勝てないなら頭を使え。もう一人のガキを人質に取るんだよ!」


 自称選ばれた人間が許せない言葉を叫んだ。舞は両親と共に少し離れた場所で見ていた。守りに行くには三人のオッサンを躱さなければならない。


「くっ、ガキ、こっちに来なさい!」


「舞には触れさせない!」


 先程転がしたオッサンが持っていた鎌を拾ったオバサンが家族の方に走り出す。それを見て母さんが舞を抱きしめ、父さんが二人を庇い仁王立ちする。


「死にたくなかったらそのガキを・・・痛ぁい!痛い、痛い、痛い!」


 鎌を振り回し舞を強奪しようとしたオバサンは、鎌を落とし泣き喚いている。滝本家の連中も、父さんと母さんもいきなりの展開に唖然としていた。


「まさか、初めての実戦投入がモンスター相手じゃなくて人間とはね。ああ、ある意味モンスターだから問題ないかも」


 喚くオバサンの肩には鋭い穂先が突き刺さっている。助けに行こうにも間に合わなかった。ならば遠距離攻撃すれば良い。


「な、な、な、何で女に!何だよその武器は!」


「スキルは二つ、着せ替え人形と女性体と言った筈だ。一見役立たずなスキルだがな、これのように女性限定の特殊効果が使えるようになるという利点がある」


 自称エリート君に説明してやり、柄の長さを俺の身長くらいに縮める。再び柄を長くし、驚きのあまり硬直するオッサンの腹に叩きつけた。


 斧や槍の部分ではなく柄の部分で払ったのだが、その威力は凄まじい。勢いよく飛ばされたオッサンは倒れて動かなくなった。


「息はしているようだから生きてはいる。次の奴もそうとは保証出来ないけどね」


 大事な家族に手を出されたんだ。もう死なないようになんて手加減はしてやらない。

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― 新着の感想 ―
[良い点] こりゃあ滝本本家は全員が逮捕ですね。 本当なら全員を縛ってダンジョンの奥に捨ててきたいくらいですが。 それにしても、コイツら酷い。 教育って本当に大切ですねえ。 本家全員が愚か者とい…
[一言] 優君の怒りは良く分かる 読者としても、こいつら死んだ方が良いとは思う でも法治国家だからなぁ この場合も殺しちゃったら過剰防衛に問われそう 今後も考えてスタンガンとかの非殺傷兵器も用意した方…
[一言] 問答無用で一人残らず丸腰でダンジョンのモンスターハウスに投げ込んでエサにして己の愚かさをあの世で後悔してもらいましょうか。授業料は命ですね。
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