第百十三話
作者「ダンジョンの来歴が追放ざまあ系とのご指摘が!」
優「確かに、人の為に頑張ったのに捨てられて元の世界は滅亡だもんなぁ」
作者「ダンジョンを主役で一本話を書けるかも(笑)」
「それではお言葉に甘えて質問させていただきます。ダンジョンの秘密を今ご教授頂いたのには理由がお有りでしょうか」
「この空間に人は呼べぬ。妖体化を授かり初めて神社に訪れたのは先日であろう。それ故じゃ」
優の姿で参拝した時に呼ばれなかったのはそれが理由か。それなら去年までの参拝で何もなかったのも頷ける。
「去年まで参拝しても違和感が無かったのは、スキルが無かったからですね」
「話が早いのぅ。妖体化を得るまでは呼べぬ故語りかけても意味ないとの判断からじゃ」
そりゃそうだとしか言いようがない。あれ?迷い家のお社の参拝した時に何もなかったぞ?
「迷い家のお社の参拝した時にも違和感はありませんでした。そもそも、そこに伝言を残して貰えれば良かったのでは?」
「それはお主のスキル故正式な寺社ではないから無理じゃ。伝言については予想じゃが、これだけ長い伝言は出来なかったのではないか?」
言われてみれば、あの長い説明を伝言出来たかは疑わしい。前に聞いた伝言はそう長い物では無かったし、あれから無い事を考えるとそうそう使える物でも無いのだろう。
「詳しい事は宇迦之御魂に聞くが良い。そなたのスキルに関しては儂は関与していない故説明出来ぬ」
「畏まりました。私から聞きたい事はもう御座居ません。素戔嗚様よりご要望などありましたらお聞きしたいと思います」
「ならば、時間がある時にでもそなたが居た世界の武術について聞きたい。この世界では無手の技が廃れておるでのぅ」
ダンジョンの発生により、対人技術である無手の武術は消えてはいないものの伝える者は少なくなっている。武の神である素戔嗚様はそれが寂しいのだろう。
「承りました。必ずや時間を作り再訪する事をお約束致します。私は前世で武を嗜んではいませんでしたが、知りうる限りのお話をさせて頂きます」
「それは楽しみな事じゃ。じゃが焦る事は無いぞ。宇迦之御魂の依頼を優先すれば良い」
課せられた使命を優先しろと言いつつ嬉しそうな素戔嗚様のお顔が薄れていく。気がつくと俺は氷川神社の賽銭箱の前に立っていた。
「き、狐巫女さん、貴女今どこから出てきたんですか?」
声のした方を見ると、この神社の巫女さんが箒を手にへたり込んでいた。俺が戻ってきた瞬間を目撃したらしい。
「驚かせてしまったようで済まぬのぅ。素戔嗚様にお呼ばれしておってな」
「へっ?えっ?素戔嗚様って、御祭神の・・・」
「そなたにも報告の義務はあろう。神主殿への報告は仕方ないが、出来れば余り広めないでくれると嬉しいが」
巫女さんの手を取り、立つのを手助けしながら頼む。神社内での異変を上司に報告するなというのは無体な願いなので話す人を限定してくれと頼んだ。
「言いませんよ。と言うか、言ってもどれだけの人が信じてくれるか・・・」
「素戔嗚様に再訪するよう申し遣った故、また邪魔させてもらう事となる。その時は良しなに頼む」
茫然自失状態な巫女さんを背に歩き出す。かなりの時間が経っていたようで、太陽は傾き逢魔時が近付いていた。
神社の敷地から出ると道を外れ、スキルを解いて男に戻る。今日はとんでもない事実をとんでもないお方から聞いてしまった。
かと言ってこれを他言してもどうにもならないし、それ以前に信じてもらえるか分からない。
今日はっきりしたのは、俺は宇迦之御魂様にもお会いした方が良いという事。御祭神となっているのは伏見稲荷神社か。遠いなぁ。
作者「モンスターが溢れるようになったのは、この世界でモンスターも吸い出されてセーフティーが壊れた結果だ」
優「この世界で起きた変化だから神様方も把握してないのか」
作者「ダンジョン作成の経緯は、その世界の神々からの報告でこの世界に伝えられました」




