42話
「あれって、Eternalじゃない?」
「嘘!hal様がいる!?」
「隣にいるのって、akiだよね?」
「あの動画の子もいるよ。名前何だっけ?」
あれだけ騒ぎを起こすと、周りにいるファンにも気づかれてしまう。
「ここじゃ人目がつくので、移動しましょう!」
英人が治喜らをなだめて、こっそり移動する。
会場に入り、Eternalの楽屋に向かう。
「治喜先輩と空高先輩、Eternalと顔見知りだったんすね」
「まあ、雑誌で何度か一緒に撮影したことはありますし」
「事務所同士つながりがあるから、バックダンサーやらせてもらったんだよ」
Eternalに聞かれないよう、こそこそ話す。
「特に同い年の左右田さんとは話をする機会が多くて」
「普通に話すのは問題ねえが、この状態だと何か勘づかれそうで、怖え」
もちろん、入れ替わりなんていう超常現象は、経験でもしない限り、思いつかないであろう。
でも、周りに様子がおかしいことはあまり悟られたくなかった。
みんな改めて気を引き締めている。
そんな中、とりわけ群里は緊張しており、聖夜は群里に言われた変装はしたままであるが、他人事であるためか、気にせずに歩いていた。
照がちらちら視線を向けているが、気づいていない。
そして、楽屋に到着した。
「そっちの子も、変装外しちゃえば?」
灯が聖夜に促すが、
「ダメ!」
群里がそれを止める。
「え、もしかしてすごい有名人なの?ってか、君誰?」
「えっと…」
群里が口ごもっていると、
「グリくんだよね…」
照が声をかけ、サングラスを外す。
「やっぱり、グリくんだ!」
へにゃと、ほどけたような笑みを浮かべる。
「あの数年前流行った子役の!?」
「面影がないな…」
灯は大声を出し、火皇は呆然として、驚きを隠せない。
「よく分かったな、変装していたのに。俺は名前を聞いて、やっと思い出せたんだが」
「当然です!僕とグリくんの付き合いは長いんですから」
そう言われて、この照も群里と同じ時代に子役として活躍していたことを思い出した。
「久しぶりだね、グリくん」
「あ、ああ…」
しかし、今の群里の中身は聖夜。
もちろん、聖夜自身は照とは初対面で、芸能事情にも疎かったので、そのことは知る由もない。
「なんか雰囲気変わった?」
「グリは大人になったの!」
群里は照から聖夜を引き離しつつ、腕にしがみつく。
「君は?」
照の目からは嫉妬がうかがえる。
「ボクは、北見聖夜!ボクとコイツは一心同体なんだから!」
「言い方」
ある意味間違ってないなと、入れ替わりを知る面々は内心思っているが。
「へえ、その北見くんはグリくんの真似して、なんなの?気でも引きたいの?」
背後から吹雪いている情景が見えるほど、冷ややかな空気だった。
「修羅場だあ…」




