41話
「よっしゃ!今日も晴天!ライブ日和!」
二週間が過ぎ、フェス当日となった。
5月半ばの夏に近い気温に、雲1つない青い空。
天気予報も、雨の気配が全くない快晴の日だった。
今回のフェスの会場は、駅に近く、事務所主催のよりも大きかった。
売店も多くあり、開場時間前ではあるが、たくさんの人でごった返していた。
空高が叫んでいても、それをかき消すくらいであった。
千蔭たちは帽子や眼鏡で変装をしている。
とりわけ、群里の姿となっている聖夜は、サングラスにマスクと念入りであった。
「暑い…」
マスクから見える肌は赤く火照り、湯気が出ているように見える。
「北見さんは取ってもいいんじゃないですか?今回は私たち3人だけですし」
「群里につけろと言われていてな…」
「だって、この中でメディア出演経験が一番多いのはボクなんだよ!しっかり、変装しないと」
しかし、唯一の素人の聖夜となった群里は、特に何も身につけていなかった。
「イケメンで注目浴びるのは否定しないが、今の群里の姿を見ても、気づく奴は少ないと思うけどな…」
「チカ、そういうこと言わない。シー!」
「…それに今日は会いたくない奴がいるから、気づかれたくないんだよね。エルになったボクは関係ないとはいえ」
「誰か今日の出演者に知り合いでもいるのか?グリの知り合いなら、話を合わさないといけないので、話を聞きたいのだが」
「…俺も今の入れ替わっている状態では会いたくない奴がいるんだよな」
「私もです。絡まれたら、面倒なんですよね」
遠い目になったり、ため息ついたり。
千蔭自身も久しぶりに自分の体、親友の千蔭に会うかもしれないので、どう話したらいいかと気まずい気持ちになっている。
「ハルっちとアキっちだ!」
改札出たばかりのところでそんな声がした。
「「げ」」
治喜と空高は声を合わせて、同じように引き攣った表情になる。
声の主が誰だと振り返る。
そこには、3人の青年、火皇・灯・照がいた。
「久しぶり!びっくりしたよ、2人もアイドルデビューするなんて!俺、全然聞いてないー」
治喜と空高に気さくに話しかける灯。
「同業者にも言わないように箝口令がしかれてま…たからな」
治喜は他人の前だから、空高のフリをするが、とっさのためぎこちない。
「アキっちって、同業者とか箝口令とか難しい言葉使えるんだね」
「っくそ!私にバカのフリは難しい!」
「あ?誰がバカなんだよ!」
「ハルっちが怒っているのレアだな。写真撮っちゃお」
「やめてください!」
治喜も空高も完全に真似できず、灯は面白がってカオスな空間ができあがっていた。




